【ロシア文化フェスBlog】日本のなかのロシア〜豊島区・雑司ヶ谷霊園〜

2016-06-01

今回は豊島区にある雑司ヶ谷霊園でロシアを探してみましょう。

スクリーンショット 2016-07-23 10.01.14

ラファエル・フォン・ケーベル博士(Рафаэль фон Кёбер 1848年 – 1923年)は、ロシアのニジニノヴゴロド出身のドイツ系ロシア人で、明治政府のお雇い外国人として来日し、東京帝国大学(現 東京大学)で教鞭をとった哲学者です。幼い頃からピアノの才能があり、モスクワ音楽院では、あのチャイコフスキーやルビンシテインに師事しました。卒業後は、音楽家の道ではなく、ドイツで哲学を学びますが、来日中には、東京音楽学校(現 東京藝術大学)でピアノを教えていたほか、1901年(明治34年)の日本女子大学校(現 日本女子大学)開校式のための『日本女子大学校開校式祝歌』を作曲したり、1903年、日本におけるオペラ初演の際に、ピアノ伴奏を担当したとも言われています。日露戦争から第一次世界大戦への過酷な時期を日本で過ごしたケーベル博士は、晩年にロシア正教からカトリックに改宗したため、その墓にはカトリック十字架が立てられています。

スクリーンショット 2016-07-28 23.58.07

大変学生たちに慕われていたというケーベル先生の教え子のひとりであった夏目漱石は、後年に随筆『ケーベル先生』を著しています。小説『こゝろ』のなかで先生が墓参りに通う舞台にもなっている雑司ヶ谷霊園には、そんな夏目漱石のお墓もあります。

来日中に、ケーベル博士の専属料理人を務めていたのが、千代田区神田 淡路町の西洋料理店「松栄亭」初代店主の堀口岩吉氏でした。当時、駿河台のケーベル邸を訪れた夏目漱石は、ここで御馳走になった“洋風かき揚げ“をいたく気に入り、初代が開店する際にメニューに加えたといわれています。創業明治40年からの古き良き時代の味は、今も看板メニューとして愛され続けています。

なお、『日本のなかのロシア』をさらに詳しくお知りになりたい方には、『日本のなかのロシア』シリーズ全4冊(東洋書店ユーラシア・ブックレット)や、『ドラマチック・ロシア IN JAPAN』1〜3(生活ジャーナル、東洋書店)をご参照ください。

【ロシア文化フェスBlog】日本のなかのロシア〜北区・染井霊園〜

2016-05-30

ロシア文化フェスティバルblogより)

今回は、豊島区にある染井霊園でロシアを探してみましょう。園内には染井の地が発祥と言われているソメイヨシノ約100本があり、桜の春はもちろん四季折々の美しい並木道をつくっています。

この墓地のすぐ隣には、かつて東京外国語大学の西ヶ原キャンパスがありました。そしてロシア語科を卒業した作家の二葉亭四迷のお墓もここにあります。ロシア語科に入学した学生は、最初の授業で教室を飛び出し、皆でこの偉大な大先輩のお墓にご挨拶に伺うというのが恒例でもありました。

スクリーンショット 2016-07-29 0.03.46
△本名である長谷川辰之助之墓と記されています。
 

ロシアの南下政策から国を守るために敵の国情を知ろうとロシア語を習得する過程でロシア文学に出逢い、当時まだ未熟だった明治文学に理論的支柱を与えることになった『小説総論』や言文一致体で執筆された小説『浮雲』を発表。さらに、ツルゲーネフ『あひゞき』『めぐりあひ』などを翻訳しました。文学者としてはもちろん、朝日新聞の特派員としてロシア・ペテルペテルブルグへ赴くなど、終生政治的関心も持ち続けました。(『日本のなかのロシア』より)

1104090029

さて、桜の名所として名を連ねる日本の墓地ですが、一方で森のように緑が溢れるロシアの墓地も覗いてみましょう!

スクリーンショット 2016-07-22 13.37.16

モスクワの観光名所のひとつでもある Новодевичье кладбище(ノヴォデヴィチ墓地)は、ひとつひとつのお墓が彫刻のようユニークで、詩が刻まれていたりするのでお散歩を楽しむ人も多い場所です。

スクリーンショット 2016-07-22 13.37.38

ここにはロシアで尊敬され愛されているたくさんの文化人・著名人が眠っています。まるでその人を象徴するようなお墓は、どれもこれも綺麗に手入れされ、お花でいっぱいです。

スクリーンショット 2016-07-22 13.40.02

△文豪ゴーゴリ

スクリーンショット 2016-07-22 13.41.37

△アヴァンギャルドな作風で知られる詩人マヤコフスキー

スクリーンショット 2016-07-22 13.42.23

△作曲家ショスタコーヴィチ

スクリーンショット 2016-07-22 13.43.00

△サーカスの道化師ユーリー・ニクーリン。
今でも彼の名を冠したニクーリン・サーカスは大人気!
たくさんの動物に囲まれていて今にもサーカスが始まりそう。

スクリーンショット 2016-07-22 13.43.39

△バレリーナのウラノワはお墓まで美しい・・・!

スクリーンショット 2016-07-22 13.44.12

△エリツィン初代ロシア大統領
ロシアの国旗がモチーフになっていてとにかく大きい!

ロシアへいらっしゃったらぜひ訪れてみてくださいね。なお、『日本のなかのロシア』をさらに詳しくお知りになりたい方には、『日本のなかのロシア』シリーズ全4冊(東洋書店ユーラシア・ブックレット)や、『ドラマチック・ロシア IN JAPAN』1〜3(生活ジャーナル、東洋書店)をご参照ください。

【ロシア文化フェスBlog】日本のなかのロシア〜台東区・谷中霊園〜

2016-04-30

ロシア文化フェスティバルblogより)

桜色から若葉色へと日本列島が美しい春のグラデーションを見せています。日本からモスクワの植物園に贈られた桜もちょうど今、見頃を迎えているそうです。

この春、ロシア文化フェスティバル IN JAPAN事務局には、まさに“サクラサク”ような嬉しいニュースも届きました。昨年の登録ブログラムのなかでも大きな注目を集めた舞台『信長-NOBUNAGA-』の作・演出・振付・出演をはじめとする、1年間の様々な活躍が認められ、藤間蘭黄さんが「平成27年度(第66回)芸術選奨文部科学大臣賞」を受賞されました。さっそく事務局へご報告にいらしてくださった藤間蘭黄さんの喜びの声も、また機会がありましたらぜひご紹介出来たらと思います。(過去関連ブログ;奇跡の『出逢い〜Встреча〜』こちら

さて今回は、GWにもオススメの日本のなかのロシアをご紹介したいと思います。

スクリーンショット 2016-04-28 12.38.16

桜の名所としても知られる谷中霊園。ここには、日本においてロシア正教会の創建者と言われるНиколай Касаткин(ニコライ・カサトキン)が眠っています(霊園案内図 乙2号 新1側)。

スクリーンショット 2016-04-28 12.38.25

ニコライ・カサトキン司祭は1861年に来日、それから1912年に永眠するまでずっと、その生涯を日本全土での正教の伝道に捧げました。御茶ノ水には日本正教会の首座主教座大聖堂である東京復活大聖堂教会がありますが、ここはニコライの名をとってニコライ堂と呼ばれています。その功績が広く世界に認められて、日本最初の聖人として列聖されています。

スクリーンショット 2016-04-28 12.38.54

柵で囲まれた敷地の入り口の門には鍵がかけられていますが、事務所にお願いすると鍵を開けてもらうことが出来ます。ロシア正教信者の方がお参りにいらっしゃることも多いそうです。

スクリーンショット 2016-04-28 12.35.10

ロシアでは春を代表する花として愛されている黄色いミモザが供えられ、墓前は灯りがともっているようでした。

また、谷中霊園には、元駐ソ連大使の佐藤尚武の墓(霊園案内図 乙10号 11側)もあります。彼は、第二次世界大戦の際、ソ連との関係を維持し、日ソ間が戦火を交えることのないよう、ポツダム宣言の早期受諾を進言しました。

スクリーンショット 2016-04-29 12.40.29

付近には寺院も多く、玉林寺に幕府のロシア語通訳村上貞助の墓が、大正寺にプチャーチンと交渉した幕府全権・川路聖の墓もあります。

またこの時期、下町散歩を楽しむ観光客も多い谷根千(谷中・根津・千駄木)には、つつじ祭りや紫陽花祭りなど花を愛でることができる名所もあります。

そして、ちょっと疲れたらこんなひとやすみはいかがでしょうか。大正の頃からほとんど変わらない佇まいの町屋を使い、昭和13年に創業した「カヤバ珈琲店」では、昭和の風情と味をそのまま残した喫茶店内で、珍しい飲み物をお楽しみ頂けます。

スクリーンショット 2016-04-29 12.48.29

コーヒーフロートやミルクセーキなど、喫茶店の定番メニューのなかでも一番人気だというルシアン(Russian)という飲み物。

スクリーンショット 2016-04-29 12.48.58

コーヒーとココアを半分ずつブレンドした飲み物で、懐かしいような優しい甘さがほっとさせてくれます。なぜルシアンと名付けられたのかは・・・先代しかしらない迷宮入りの謎なのだそうです。

スクリーンショット 2016-04-29 12.48.39

台東区のロシア、ぜひ見つけてみてくださいね。

なお、『日本のなかのロシア』をさらに詳しくお知りになりたい方には、『日本のなかのロシア』シリーズ全4冊(東洋書店ユーラシア・ブックレット)や、『ドラマチック・ロシア IN JAPAN』1〜3(生活ジャーナル、東洋書店)をご参照ください。