【英国のなかのロシア】娘マーガレットはロシアへ嫁ぎ・・・秋のフェントン・ハウス

2021-09-11

ブリティッシュ・ガーデンの秋を訪ねて、フェントン・ハウス(Fenton House)へ。

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およそ17世紀~18世紀の美しい建物が並ぶ閑静な住宅街ハムステッドの一角にあります。

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もともとは裕福な商人の邸宅だったそうで、その後さまざまな人に受け継がれ、1793年に商人フィリップ・フェントン(Philip Fenton)がこの屋敷を購入しました。もともとはヨークシャー出身で、当時のロシア(現在のラトビアの首都リガ)に拠点をおいてバルト海を中心に英国との貿易などで成功していたというフェントン氏が亡くなった後、甥にあたるジェームズ・フェントン氏が相続しました。ジェームズ・フェントン氏は、リガ で結婚し7人の子供に恵まれました。

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△ジェームズ・フェントン(左)の長女マーガレット(右)はリガ で生まれました。1796年に家族とともにこの英国のフェントン・ハウスへやってきて、結婚までここで暮らしました。1814年にEdward Clive Bayleysと結婚し、サンクトペテルブルクで新婚生活を送りました。6人の子供に恵まれましたが、唯一の男の子だったエドワードを出産した後の1821年に、マーガレットは39歳の若さで亡くなってしまい、スモレンスク墓地に埋葬されました。このポートレートは、フェントンハウスで暮らしていた1805年頃に描かれたものだそうです。マーガレットの生涯も、そしてサンクトペテルブルクでの日々もとても興味があり、いつかまた調べてみたいです。

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どの部屋のインテリアも美しく、調度品にも陶器のコレクションにもうっとりしてしまいます。実は残念ながらフェントン氏のコレクションではないのですが(!)、ナショナル・トラストの素晴らしい鍵盤楽器コレクションがこのフェントン・ハウスで展開されています。どのお部屋にもみたことのないような美しいピアノが置かれていて見事にアクセントになっています。さらにはピアノ・ミュージアムといっても過言ではない屋敷内では、17〜18世紀のハープシコードなどをピアニストが実際に演奏している音色が常に聴こえてくる粋な演出も。数曲ごとにお部屋と演奏するピアノを変えるため、音色の違いも楽しめます。作曲家メンデルスゾーンが1829年9月4日に7歳の少女(Miss Honora Tayler)のために書いたというCapriccio in E minorの楽譜も展示されていました。

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△レディ・ビニング(Lady Binning)はこのフェントン・ハウスの最後の所有者で、その後はナショナル・トラストが管理してミュージアムとして公開しています。お部屋ごとに落ち着いたパステルカラーに塗り分けられた壁、カーテンや刺繍などファブリック類もとても女性らしい優しい雰囲気でまとめられたインテリアで、優美な曲線を描くまろやかな色合いの調度品、そして陶器コレクションをはじめとするロマンチックな小物の数々・・・どのお部屋にもお気に入りの愛するものたちが大切に陳列され、居心地良くまとめらていました。

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△ドイツのマイセンのものが多いよう。マーガレットがロシア・サンクトペテルブルクから持ち込んだインペリアル・ポーセリンはないかしら・・・?なんて気になりつつ鑑賞しましたが、見つけられず。

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秋の草花でいっぱいのガーデンへ・・・

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△四季それぞれの美しさがありますが、秋のお庭の可愛らしさは特別です。アップル・ピッキングも大人気!(今年は残念ながら中止予定)

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△たくさんの種類のりんごや洋梨、キッチンガーデンにはかぼちゃも。

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△かつては外壁に時計がついていたためクロック・ハウス(Clock House)と呼ばれていました。(正面の白い丸の部分が時計跡)このあたりではじめに登場した赤煉瓦造りの建物だったそうです。

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△かごいっぱいの可愛らしいもぎたての小さな林檎は「ご自由にどうぞ!」甘酸っぱいりんごを齧りながらの庭園散策もまた素敵です。

Fenton House
住所: Hampstead Grove, Hampstead, London, NW3 6SP
URL:www.nationaltrust.org.uk/fenton-house-and-garden

【英国のお気に入り】ソーセージ・ロール

2021-09-10

英国での手軽な軽食でよく見かけるのがソーセージ・ロール!

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△ソーセージをパイ生地でくるんで。ヴィーガン・ソーセージロールもいつも隣に見かけるのもイギリスっぽい!

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△なかは、日本のソーセージに比べて、ひき肉がしっかり感じられます。ミートパイも人気。

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△フィッシュ&チップスだけでなく、ソーセージ&チップスもありますし、ソーセージ&マッシュもパブ飯でよく見かけます。

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△もちろん、フル・イングリッシュ・ブレックファーストの主役でもあります。

ロシアでもサシースキ(ソーセージの意)と呼ばれるソーセージをパイ生地で包んだものがあって、軽食スタンドなどでよく売られていました。朝食でも。ロシアのソーセージは、イギリスのひき肉がしっかりした味わいに比べて、日本のソーセージに近い食感でした。一時期、日本のようなタコさんウインナーのポスターが町中に貼られたことも。

【ロシアのなかの日本】【モスクワの流行】タコさんウインナー in Russia

【ロシアの食材】パパにも出来る!ソーセージ

【英国のなかのロシア】エリザヴェータ・フョードロヴナに再会!世界遺産ウェストミンスター寺院

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ロンドンの必ず訪れたい観光名所として挙げられるウェストミンスター寺院(Westminster Abbey)。隣接する国会議事堂や聖マーガレット教会とともに世界遺産に登録されています。英国王室の教会として、戴冠式をはじめ、歴史的な国の行事や式典の舞台となってきました。そんなウエストミンスター寺院でもロシアに出会えるのをご存じでしょうか?今年のお誕生日はここに来ようと決めていました。

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△チケットを購入しなくても外観から見ることができる場所に、20世紀の殉教者たちの銅像が並んでいます。

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△この左から4番目が、エリザヴェータ・フョードロヴナ(英語:Grand Duchess Elizabeth 露:Елизавета Фёдоровна)です。ウガンダのヤナニ・ルアム大司教と、アメリカのマーチン・ルーサー・キング・ジュニアの間に立っています。

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△エリザヴェータは、ドイツのヘッセン大公ルートヴィヒ4世とアリス王妃の次女として誕生しました。最後のロシア皇帝ニコライ2世の妻アレクサンドラ皇后の姉にあたります。(長女ヴィクトリヤВиктория、次女エリザヴェータ Елизавета、三女イレーナ Ирена、長男エルンスト・ルードヴィヒ Эрнст Людвиг、次男フリードリヒ Фридрих、四女アレクサンドラ Александра、五女マリヤ Мария 7人の兄弟姉妹でしたが、次男のフリードリヒは幼くして事故死、またジフテリアの流行で五女マリヤも4歳で亡くなってしまいました。)

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△幼い頃に母アリスを亡くし、祖母にあたるイギリスのヴィクトリア女王のもとで育てられました。(写真はRomanov Empire – Империя Романовыхより。ヴィクトリア女王を囲んで、女王の義理の息子にあたるヘッセン大公ルートヴィヒ4世と孫たち:ヴィクトリア、イレーナ、エルンスト・ルードヴィヒ、エリザヴェータ、アレクサンドラ)。長女ヴィクトリヤは、現在のエリザベス女王の夫である故エディンバラ公フィリップ殿下の祖母にあたります。(☆ロマノフ家の末裔にあたるエディンバラ公フィリップ殿下のご逝去・・・悲しみに包まれるイギリス

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“ヨーロッパで最も美しいプリンセス”と称されたエリザヴェータ・フョードロヴナは、心優しく慈愛深い女性でした。ロシアのセルゲイ大公(セルゲイ・アレクサンドロヴィチ・ロマノフСергей Александрович Романов アレクサンドル2世の五男)と結婚。(そこに居合わせた皇帝ニコライ2世が、エリザヴェータの妹アレクサンドラを見初めて結婚に至ったと言われています。)信心深い美人姉妹の二人は、ロシアへ嫁ぐとロシア正教に改宗し、ロシア名を名乗り、ロマノフ王朝の崩壊する日までロシアの民と共に生き、ロシアに人生を捧げました。

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△1891年にセルゲイ大公がモスクワ総督となりますが、1891年悲劇が起こります。クレムリン内の宮殿からニコーリスカヤ塔(Никольская башня)の出口へ向かう途中、革命家のテロリスト、イヴァン・カリャエフ(Иван Платонович Каляев)の投げた爆弾で殺害されてしまいます。すぐにその場に駆けつけたエリザヴェータ・フョードロヴナは、騒然とした現場に的確な指示を与えると、血の海の中で膝まづいて無残にばらばらとなってしまった愛する夫の亡骸を自らの手で拾い集めたと言われています。後に監獄のなかのカリャエフに福音書を差し入れ、面会を申し出て「私個人としては、もうあなたを許している」と伝えたことは今も伝説になっています。

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△子どもに恵まれなかったエリザヴェータ・フョードロヴナでしたが、夫セルゲイ大公の弟パーヴェル大公の2人の子どもドミトリーのマリヤを引き取り、献身的に養育しました。そして二人が成長し、夫が亡くなった後もロシアを離れることなく、宝飾品や絵画などの家財を売り払い、貧しい人や病の人のためにモスクワにマルフォ・マリンスカヤ女子修道院を開いて、生涯を通して慈善活動に奉仕しました。

関連

 ☆優しさに包まれるマルフォ-マリンスカヤ修道院

 ☆【ロシア正教】マルフォ-マリンスカヤ修道院で過ごすひととき

あまりにも波乱万丈な人生の最後もまた悲劇的でした。ロシア革命でボリシェヴィキに拘束されて、ロマノフ家とともにエカテリンブルクの鉱山の廃坑に閉じ込められ、爆弾で殺害されてしまいます。後にその遺体はエルサレムに運ばれ聖マリヤ・マグダレナ教会に葬られました。

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マルフォ・マリンスカヤ修道院は“ロシアナウンサー“として私が勤務していたロシア国営国際ラジオ局「ロシアの声」のすぐ近くにあり(☆【ロシアの声】懐かしの放送局『ロシアの声』!ピャトニツカヤ25)、放送のあとで日向寺チーフアナが連れて行ってくださったその日から、私にとってここは特別な場所で、エリザヴェータ・フョードロブナは守り神のように感じています。その後も何度となく足を運び、列聖されたエリザヴェータ・フョードロヴナにはモスクワだけでなく世界のさまざまな場所でもお目にかかりました。(関連【イスラエルのなかのロシア】〜モスクワ広場のロシア正教会〜【英国のなかのロシア】ここはモスクワ?ロンドン?ロシア料理Мари Vanna (マリ・ヴァンナ)のロンドン店【ロシア正教】必見!ニコライ・ヤポンスキーのイコンと音楽家たちのイコン)出産前には、日向寺アナウンサーが、エリザヴェータ・フョードロヴナのイコンと絵葉書をモスクワから贈ってくださったことも・・・!

そして今、今度はイギリスの中心、ウエストミンスター寺院で再会出来るなんて運命的で、なんだか導かれてここにいるように感じてしまいます。

それでは、素晴らしいウエストミンスター寺院の中へも入ってみましょう!

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△美しい“バラ窓”

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△ステンドグラスの素晴らしいイギリスの教会。これは2018年に完成した現女王エリザベス2世の治世を祝う『女王の窓』

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△所狭しと並ぶ記念碑や彫刻、そして足下には石の記念板が埋め込まれています。この石板の上を通らなければ歩けないほどたくさん広がっているので、ちょっぴり遠慮しつつ恐る恐る上を通ります。赤いポピーの花で飾られているのは無名戦士の墓(☆英国では赤いポピーのRemembrance Day&ロシアではゲオルギーのリボンの戦勝記念日

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△ウィンストン・チャーチル元首相 

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△左はチャールズ・ダーウィン。右は2018年に加わったスティーブン・ホーキング博士のお墓。すでにたくさんの棺があって、床下にはほとんど空きスペースはないのだとか・・・ 

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△いつかパイプオルガンの音色も聴いてみたい・・・!

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△アイザック・ニュートン

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△ウィリアム王子とキャサリン妃のロイヤル・ウェディングを思い出します!

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△主祭壇の手前にある、床の丸い部分に、戴冠の椅子が置かれるそうです。

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△エリザベス1世。たくさんの礼拝堂があり、歴代の国王たちがここに眠っています。

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△詩人たちの墓所にもずらり。ジェーン・オースティン、ブロンテ姉妹、ルイス・キャロル、ディケンズのお墓もありました。

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△ウィリアム・シェイクスピア(☆【イギリス国内旅】ストラトフォード=アポン=エイヴォンへシェイクスピア巡礼の旅!そして名物ジャイアント・スコーン)や、作曲家ヘンデルもあります。

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△聖母の礼拝堂 

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△戴冠式の椅子

「20世紀の殉教者たち」は、クイーンズ・ダイヤモンド・ジュビリー・ギャラリーズ(The Queen’s Diamond Jubilee Galleries 女王の即位60周年を記念して命名)にも銅像が置かれています。(寺院のなかで繋がっているため、別チケットを併せて購入しておきます。残念ながらこちらは写真撮影禁止でしたが、素晴らしい展示でした・・・!)108段の階段を登っていくため、ウエストミンスター寺院内部を上からよく眺められるだけでなく、窓の外にはウエストミンスター宮殿(国会議事堂)も見えますし、なによりも屋根の梁の部分にたくさんの可愛らしい動物モチーフの彫刻がついていて気に入りました!雨が降ってくると、ぱらぱらと雨が寺院の屋根を叩く音も心地よく、ちょっと力が抜けたような表情の白い石の動物たちが雨に濡れそぼって苔むした緑が色濃くなるのもよかったです。