【英国のなかのロシア】奴隷制廃止のきっかけは褐色の肌の伯爵令嬢!?プーシキンの孫も暮らしたケンウッド・ハウス

2021-09-20

(2021.06)ロンドン北部、都会のなかの緑豊かな森ハムステッド・ヒースのなかにある美しい白亜の邸宅ケンウッド・ハウス(Kenwood House)。この美しい邸宅から物語がはじまり、この邸宅を舞台に繰り広げられる映画『Belle(邦題:ベル〜ある伯爵令嬢の恋〜』を見てから、どうしてもここを訪れてこの絵を見てみたかったのです・・・!そしてまたここで、ロシアとの繋がりを見つけることになります。

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1779年にケンウッドハウスで描かれたこの肖像画に描かれている2人の美しい女性は、エリザベス(Lady Elizabeth Murray )と褐色の肌を持つダイド(Dido Elizabeth Belle)です。18世紀後半、まだ英国において奴隷貿易が行われていた時代に、二人はまるで姉妹のように育てられました。英国の、そして世界の奴隷制を廃止するきっかけとなった人物のひとりが、このダイドなのです。

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△ケンウッド・ハウスは、18世紀に英国において大きな影響力を持っていた判事の初代マンスフィールド伯爵ウィリアム・マレー(William Murray, 1st Earl of Mansfield)がここに土地を購入したことからはじまりました。子供に恵まれなかったマンスフィールド伯爵夫妻は、幼くして母親を亡くした甥娘エリザベスを引き取り育てていました。そこに甥のリンジー卿(Sir John Lindsay)が黒人の少女を連れて現れ、ここでこの子を育てて欲しいと頼みます。突然、血がつながっているとはいえ見も知らぬ女の子を、しかも奴隷の血を継ぐ黒人の少女をこの屋敷に迎える!?しかも法を司る主席判事(Lord Chief Justice of England)である自分が・・・!?

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イギリス海軍の軍艦の艦長だったリンジー卿は、奴隷の娘と恋に落ち、生まれた娘にダイド・ベル・リンジーと名付けました。母親を亡くしたダイドを連れてイギリスへ帰任したリンジー卿は、愛する娘を自分の代わりに愛情をかけて育て、“ふさわしい暮らし”ができる場所として、マンスフィールド伯爵のもとに預け、ふたたび戦地へと船を出したのでした。 

【The Music Room】

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血縁関係にあるのだから養育する義務がある、けれども晩餐会など公式の場ではたとえ家族であっても黒人を同席させるわけにはいかない、しかし食後の談話タイムなら大丈夫だろうか・・・法を犯さないよう細心の注意を払いつつ幾度も心の中で自問自答を繰り返しながらも、大切に育てられたダイドは、美しく賢く成長していきます。はじめはエリザペスの遊び相手として、成長したら侍女として考えていたマンスフィールド伯爵夫妻も、いつしかエリザベスとダイドをどちらも実の娘のように愛するようになります。

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【The Dining Room 名画コレクション】実は、英国を代表する画家ターナーやコンスタブル、そしてレンブラントの晩年の『自画像』やフェルメールなどの傑作を見ることができる美術館でもあるケンウッド・ハウス。

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△ターナー(Turner『The Iveagh Seapiece』または『Coast Scene of Fishermen Hauling a Boat Ashore』)関連☆海を描くイギリスのターナーとロシアのアイヴァゾフスキー!テート・ブリテン(Tate Britain)の『Tuner’s Modern World』へ

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△フェルメール『ギターを弾く女』(Vermeer『The Guitar Player』)

【The Library】この邸宅の改装を手掛けた建築家ロバート・アダムの傑作と誉れ高い部屋です。

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△マンスフィールド伯爵

そんな奴隷貿易のなかで起こったゾング号事件は、奴隷売買のために輸送していた黒人奴隷を不慮の事故を装って海へ、代わりに保険金を受け取ろうという企みの悲惨な事件でした。担当したマンスフィールド卿は、長い時間をかけて奴隷制廃止に向けて一石を投じる勇気ある判決を下しました。その心のなかに、黒人の奴隷の血をひく愛娘ダイドの存在があったことは言うまでもありません。

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事実に基づくラブストーリーとして展開する映画のなかで、ダイドは牧師の家に生まれ、奴隷の人権を守運動の矢面に立って活動し、英国を良くするために未来の法律家を目指す白人の男性と恋に落ちて結婚します。良縁に恵まれることが女性の最高の幸せだった時代に、奴隷の血を受け継ぐ黒人女性であったダイドが、自らの力で人生を切り開いていきます。

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さて、ダイドだけではなく愛する人とともに波乱万丈な人生を歩んだロシア人も、このケンウッド・ハウスで生活していました。6代目のマンスフィールド伯爵は1910年から1917年にかけてこの屋敷を、ロシア皇帝ニコライ1世の孫にあたる人物ミハイル・ミハイロヴィッチМихаил Михайлович(詳しくは、ニコライ1世の四男ミハイル・ニコラエヴィチМихаил Николаевичの次男)に貸していました。

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7人兄弟姉妹のなかでも、美男子だったミハイルは、社交界でのパーティに明け暮れ、花嫁捜しも難航。ついには、詩人アレクサンドル・プーシキンの孫ゾフィーと無断で貴賤結婚(当時、許されていなかった身分違いの恋)をし、ロシアを追放されてしまいます(写真左)。ドイツやフランスを転々としたのち、1900年頃にイギリスへ。はじめはStaffordshireにあるKeele Hallに滞在していましたが、ケンウッドハウスに居を移します。2人の娘はそれぞれ良家へ嫁ぎ(次女ナジェジダは、ヴィクトリア女王の曾孫の1人であるドイツ系貴族のLouis Alexander Mountbattenの長男ジョージと結婚。)ロシア革命後は、資産を失いケンウッド・ハスを離れて、娘たちからの援助で暮らし、イギリスでなくなりました。(Wikipediaより写真右:ミハイル・ミハイロヴィッチと子供たち)

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△素敵なカフェで、紅茶とソーセージロール、ヴィクトリア・スポンジケーキやスコーンなどを購入して、ピクニックはいかが?(☆【英国のお気に入り】ソーセージ・ロール

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△ドアから一歩足を踏み出すと、そこは初夏のハムステッド・ヒース!この景色はそう、もうひとつイギリスの人気映画『ノッティングヒルの恋人』でも登場します。

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△池は、男女にわかれた遊泳スペースもあり、ひんやり冷たい水のなかを水着姿の方が気持ちよさそうに泳いでいました。

ちょうど、初夏の西洋つつじも満開!

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【英国のお気に入り】The WOLSELEYのオムレツ・アーノルド・ベネット

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△訪れたのはThe WOLSELEYです。かつて英国最大の自動車メーカーだった1901年創業のWolseley Motors Limitedのショールームだった建物で、1975年にその歴史に幕を閉じた後は、バークレー銀行などが置かれていましたが、現在はグランド・ヨーロピアン・トラディショナル・スタイルのカフェレストランになっています。

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△石造りの店内は、黒と金が印象的なインテリア。個性的なシャンデリアと東洋風の家具デコレーションがなんとも独創的な空間を演出しています。

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△作家・劇作家・批評家のアーノルド・ベネットEnoch Arnold Bennett)の名前がついたオムレツ・アーノルド・ベネット(Omelette Arnold Bennett)は、薫製のタラ(コダラのHaddock)を玉ねぎ、生クリームや卵といっしょにとろりとまぜあわせてオーブンで焼いたもの。中は半熟でクリーミー、しっかりとした魚の旨味とコクがあります(レシピはこちら)。もともとは定宿にしていたロンドンのサヴォイ・ホテルのシェフが考案したメニューで、アーノルド・ベネットの大のお気に入りだったそう。

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△アーノルド・ベネット(右)と代表作(左)(お写真はWikipediaより)ジョージ・ムア(George Moore)に影響を受けていると言われていますが、ロシアの作家ドストエフスキーやトルストイの影響も感じられるといわれています。この主人公ANNAの佇まいはどこかアンナ・カレーニナを彷彿とさせませんか・・・!?もちろん、ストーリーは全く異なりますが、何か共通点を見つけながら読んでみるのも面白そうです。

ロシアでも、珍しいオムレツをいただけるお店がありました。24時間ユニークな世界の朝食が食べられるお店Cook’ karekuです。

 ☆24時間、世界の朝食を!Cook’ kareku

 ☆【モスクワのレストラン】夏はテラス!24時間世界の朝食がテーマのCook’ kareku

そして、ロシア人の名前のついたメニューといえば・・・日本に面白いものがあります。ロシアの俳優シャリャーピンの名前がついたシャリャーピン・ステーキ!帝国ホテルのシェフが考案しました。

 ☆【モスクワで出逢う偉人シリーズ】歌手シャリャーピン

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△ザ・ウースリー特製The Wolseley Battenberg。イギリス名物、華やかな色合いと優しいお味のバッテンバーグ・ケーキ(☆【英国のお気に入り】バッテンバーグ・ケーキ)です。

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イギリス伝統の味やウースリーのスペシャリテがまだまだ沢山ありそうなので、またぜひ訪れたいです。

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【英国のお気に入り】イングリッシュ・マスタード

【英国のなかのロシア】ロシア食材店 Дача (ダーチャ)

ロシア食材店Дача (ダーチャ)へ。

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気になるものをいくつか・・・

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△アイスクリームのコーナー。コップ型のスタカンチク、チョコがけ棒つきアイスのエスキモーなど、お馴染みのアイスがずらり。(☆ロシアで食べたい!アイスクリーム 〜まとめ〜

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△懐ソ派も大喜び!?СССР ソ連アイス、初めてみました。

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△ロシアでは冷蔵コーナーにあるスィロークも!日本でも最近、ロシアの新感覚スイーツとして冷凍コーナーで人気のようです。(☆【日本のなかのロシア】【ロシアのお菓子】スィロークの世界)おなじくトヴォロークを使ったお料理として定番のスィルニキ。朝食にもぴったりの優しい味です。

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△トヴォロークを使ったお料理で私の大好物は、ソチニク!トヴォロークを挟んだ生地をオーブンで焼いているので、レアチーズ入りのスコーンみたいなお味。ピロシキの隣にお店特製のソチニクもありました!

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△コロナ禍で再注目されているチャーガ!(☆美ST6月号でチャーガについてご紹介しました!

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【ロシアのチョコレート】ちょっぴり嬉しい白きのこ入り!ロシア版きのこの山!?

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△懐かしい素朴な味のコンデンスミルク味のクッキーは人気のお茶菓子です。ロシアのコンデンスミルクはミルク色でなくキャラメル色が多いのですが・・・(【ロシアの食】コンデンスミルクはキャラメル色!?実験してみた

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△胡桃クッキーも、可愛いマトリョーシカ ・チョコも、やっぱりキャラメル色のコンデンスミルク入り(☆【ロシアのお菓子】本物そっくり!?胡桃クッキー 

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△こちらも昔ながらの味、ひまわりの種。ぷっと上手に皮を出しながら、癖になって止まらなくなるひまわりの種をかじっている姿を見かけます。(☆【ロシアの食】ロシアの国花は・・・ひまわり!

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△クランベリー、ブルーベリー、シーバックソーン・・・ベリー類をミックスしたジュースは貴重なビタミン源、大好きなモルス!シーバックソーンは冷凍コーナーにも。(☆【ロシアの食】ロシア美人の素!?人気フルーツоблепиха(シーバックソーン)

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△ロシアでは蕎麦もよく食べます。日本のような麺の蕎麦ではなく、蕎麦の実を茹でてお粥にしたり、メイン料理のつけあわせにも。ロンドンのロシア料理レストラン『マリ・ヴァンナ』でもモスクワの本店でも、つけあわせの蕎麦の実がとっても美味しいんです。(☆【英国のなかのロシア】ここはモスクワ?ロンドン?ロシア料理Мари Vanna (マリ・ヴァンナ)のロンドン店

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さすが“ダーチャ”というだけあって、ダーチャの恵みも!?ロシア人は、ウィークデイを市街地で過ごし、週末は郊外の菜園つき別荘“ダーチャ”で過ごします。夏の採れたてのトマトやきゅうりは最高!たくさん採れた分は、塩漬けや酢漬けにして瓶に詰め、長い冬の間の大切なビタミン源として保存します。キュウリ尽くしのキュウリ祭りにも行ってきましたよ!☆【モスクワ郊外の村】ロシアの菜園つき別荘ダーチャで満喫する夏の一日 ☆【ロシア土産】ダーチャ・シーズンの幕開け!瓶フタは・・・ロシア土産!?【黄金の輪スーズダリでキュウリ祭り】〜まとめ〜

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△情報誌も置いてありました。 どの棚を見ても「あ!これこれ!」と手にとって語り出したくなる食材ばかり!また気になるものをご紹介しますね。