モスクワにいるロシア人の友人とのZoom

2022-05-02

日本政府は8日、ロシア人外交官や通商代表部の職員など8人の国外退去を求め、対するロシア政府も28日、報復措置として日本人外交官8人の国外退去を発表しました。

くっついたり離れたり、またくっついたり・・・を繰り返しながら、それでも少しずつ少しずつ歩みよっていたように信じてきた日本と隣国のロシア。私が生まれてから、文化面で最も両国間の距離が近づいたように感じたのは、私がモスクワに暮らしていた2019年から20年にかけての史上初の日露交流年の1年でした。多くの先輩方の手で草の根で深い交流が紡がれてきた文化面のさまざまな分野が、この交流年の枠内でこれまでの金字塔ともいえるような記念イベントを実現させました。(☆【日露交流年】〜まとめ〜

多くの人の関心興味や理解が得られる世界とはいつもどこか一線を画し、ナンバーワンではないかもしれないけれど常にオンリーワンではある、そんな圧倒的な存在感を発揮しているロシアという国の姿は、ロシアとの文化交流に尽くしてきた私たちの姿そのものでもあります。

未知の森に足を踏み入れるように、戸惑ったり憤りを感じたり涙したりことはきっと数知れずあったことでしょう。荒野を開拓するように、決して簡単にはいかないことに何度も打ちひしがれたことがあったことでしょう。それでも、これまで地道に心を込めてやってきた日露交流のあれこれが笑顔で報われた、両国にとってご褒美みたいな祭典でした。

今回この厳しい措置が日露間でとられたのは、私が生まれてから記憶しているなかで初めてのことでした。

モスクワの友人とZoomで話します。政治には触れないところで「変わりはない?」「体調はどう?」とお互いの近況報告。モスクワの生活は、ロシア人の彼女の感じるところでは「今も全くいつも通り」なのだそう。「皆、普通に学校へ行って、会社へ行って、お店で買い物し、レストランに行ったり散歩したり・・・。値上がりした商品があったり、西欧の薬や化粧品で入手しづらくなったものはあるけれど、(それを購入していたセレブ層や外国人は国外へ)、ロシアにも同様の商品はもともとあるから、生活で困っているというようなことはないの。すくなくてもロシアで暮らす私たちロシア庶民にとっては。」どこか申し訳なさそうに、ロシア人の彼女は答えます。「精神的にはもちろん、気が晴れることはないけれど、でも子どもたちもいるし、両親もいるし、前を向いて目の前の日常を家族と共に生きていくしかない。」そう、自分に言い聞かせるように語る彼女の言葉は、そのまま私にも当てはまります。

強く平和を祈りながらも何がその解決につながるのか明確な答えが見つからず、行き場のない途方もない悲しみを抱えながら。

どういう方向へ向かいどういう形を迎えても、日本とロシアの間にはまた先の見えない長い長い冬が訪れてしまいました。

ワールドカップがモスクワで開催され、オリンピックがソチで開催され、たくさんの日本人観光客がロシアを訪れ、新しいロシアを発見していました。10年以上もの間毎年継続して開催されてきた「ロシア文化フェスティバル IN JAPAN」で、毎年たくさんのロシア人が来日していました。気軽にロシアへ旅行したり、留学や仕事でモスクワで生活したり、そんな当たり前にも思えたことが再び訪れる日が見えなくなってしまいました。

言葉を発するべきなのか黙するべきなのか、あるいは何らかの言葉を見つけるべきなのか・・・

誰のために、何のために、意味のあることは救いになること必要なこととは・・・

Zoom越しの友人と私の関係はいつもどおり変わらないのに、日本とロシアの間は変わってしまいました。

 

【英国のなかのロシア】【イギリス国内旅】チャーチル元首相が晩年を過ごした邸宅、絵になるチャートウェル

2022-05-01

学校のハウスでチャーチルになったことがきっかけで、なんとなくチャーチル元首相にまつわる場所をコレクションする息子と私のプロジェクト。(関連☆【イギリスの学校生活】帽子で組分け!?“ハウス“とチャーチル巡り

イースターホリデーにはロンドンから足を伸ばし、念願のウインストン・チャーチル元首相が晩年を過ごした邸宅とアトリエへがあるチャートウェル(Chartwell)へ。豊かな自然に囲まれた美しい庭は、油絵画家としての顔も持つチャーチルの作品のなかでもよく登場していますし、ガーデンニングにも造詣が深かったチャーチル自身が手をかけた庭も見応えがあります。

△1924年(チャーチル 49歳)から亡くなる1965年までの約40年間をここで過ごしました。英国で最も敬愛されるサー・ウィンストン・チャーチルの政治家としての偉大な功績は、ロンドンのWar Museumにて、そしてここChartwellでは、ひとりの人間としての魅力をさまざまな側面から知ることができます。夫として父として家族と過ごした思い出のつまった部屋やゆかりの品々がたくさん。

△オーディオガイドや地図などを手にファミリー・トレイルも楽しめる広大な敷地。ツリーハウスなどの子供たちの遊び場やミサイルの落ちた跡(!)なども。

 

△チャーチルが作りスイミングプールとして気に入っていたという池には黒鳥が!よくここで物思いに耽っていたという池には、金魚や鯉が泳いでいます。

△Lady Charchill’s Sitting Room 幼い頃から絵が得意だったチャーチルでしたが、40歳を過ぎて再び積極的に絵筆を持つようになり、名前を伏せて挑戦したコンクールで優勝するほどの腕前だったそう。この部屋の奥に飾られた雪のチャートウェルを描いた一枚『Winter sunshine, Chartwell』がその作品です。

 

△Drawing Room クロード・モネがロンドンのチャーリング・クロス橋を描いた絵『Charing Cross Bridge』が飾られていましたが、絵とガーデニングを愛し、豊かな自然ののなかのアトリエと邸宅で晩年を過ごし・・・モネの生き方に影響を受けていたのかもしれません。(関連☆【フランスのなかのロシア】〜展覧会の絵に描かれたチュルイリー公園、モネと睡蓮〜

△膨大な蔵書が几帳面に並べられたライブラリー

△レディー・チャーチルのベッドルーム。10最年下の妻クレメンタインは、生涯かけがえのないパートナーであり心の支えでした。

△政治家として活躍するなかで各国から贈られたもののなかに・・・ロシアの陶磁器も!

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△デカブリスト広場にある青銅の騎士像。モデルはピョートル大帝です。(関連☆【ペテルブルクで出逢う偉人シリーズ】国民的詩人プーシキン

△ロシアの皇帝御用達陶磁器インペリアル・ポーセリンでしょうか・・・!(関連☆【水の都サンクト・ペテルブルクを訪ねて】〜まとめ〜

△(左)このシガーケースは、チャーチル元首相の90歳のお誕生日を記念して吉田茂元総理から贈られたものだそう。今年2022年には、「桜植樹プロジェクト」で、日本の桜の木がチャートウェルに植樹されたそうです。

△(右)画家としての才能だけでなく、作家としてノーベル文学賞も受賞しました。(スウェーデンのノーベル博物館についてはこちら☆北欧スウェーデン・ストックホルム 市庁舎、旧市街のノーベル博物館

 

△Study ここで数多くの名スピーチが誕生しました。

 

△Dining Room

△VictoryのVを示す笑顔のチャーチル元首相。でも最も輝かしい功績は、妻を結婚してくれるよう説得できたことだ、なんて素敵な言葉も。

 

△キッチンガーデンの煉瓦塀は、大部分をチャーチル自らの手で積み上げて完成させたものであることが記されていました。初夏にバラが満開になるというローズ・ガーデン!つづくローズ・ウォークは、1958年金婚式を祝して子どもたちから贈られたのだそう。クレメンタインに一目惚れしたチャーチルは、ブレナム宮殿のバラ園でプロポーズ、ふたりにとってバラは特別な花なんですね。

△アトリエStudioには絵のコレクション!邸宅内もたくさんの絵画で彩られています。

△ママレード色の猫Jockに出逢えたらラッキー!と聞いていました。この猫はチャーチルが飼っていた猫の子孫にあたるのだそうで、チャートウェルの守り神!?ショップにはこの猫ちゃんのグッズもたくさん。

 

△1966年からナショナル・トラストによって一般公開されています。

“イングランドの庭”と呼ばれるケント州には素晴らしいお庭がたくさんあります。

関連☆

 

 

【英国のなかのロシア】ハロッズで出逢う『ウェッジウッド・パークランド』

2022-04-30

英国を旅立つ友人への贈り物を求めて英国の老舗百貨店ハロッズへ。(関連☆【イギリスのなかのロシア】老舗高級百貨店ハロッズのなかでナチュラシベリカ発見!

英国らしく、ロイヤル・クラウン・ダービー(Royal Crown Derby)のペーパーウェイトを選びました。その売り場の横には・・・ウェッジウッドのパークランド(Wedgewood Parkland)!

△英国の陶器の街ストークオントレントで、ウェッジウッドの工場やミュージアムを楽しみ、アフタヌーンティーで出会ったのがこのシリーズでした。ウェッジウッドを愛し世界から訪れる目の肥えたお客様たちの期待に応えるためにウェッジウッドのティールーム専用にデザインされたというこのシリーズは・・・なんと私の愛するフロッグ・サービスの現代版!

関連☆ワールド・オブ・ウェッジウッドで工場見学&アフタヌーンティー【英国のなかのロシア】【イギリス国内旅】

ウェッジウッドの評判がヨーロッパ中に広まっていた1773年、ロシアの女帝エカテリーナ2世が注文したディナーセットが『フロッグ・サービス』。サンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館にコレクションの大部分が展示されていますが、オックスフォードのアシュモレアン博物館やロンドンのV&Aでも見ることができます。(☆アリス、ハリーポッター、そしてあの人物も!大学の町オックスフォード旅 前編【英国のなかのロシア】

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△『フロッグ・サービス』は、名前の通り、手描きの可愛らしい青カエルの紋章がついているのがポイントで、エカテリーナ2世が夏の別荘ツァールスコエ・セローのエカテリーナ宮殿に向かう途中に滞在したというケケレケクシネンスキー宮殿のために注文したものですが、ケケレケクシネンスキー«Кекерекексинен» とはフィンランド語で“カエルの沼”を意味していて、ここは“カエル宮殿”と呼ばれていたのだとか。

△1枚1枚に風光明媚な英国の景色が描かれていた『フロッグ・サービス』にインスピレーションを得て登場したのが、この『ウェッジウッド・パークランド』です。『フロッグ・サービス』で描かれていたいくつかの景色を用いることで、ウェッジウッドの芸術性や長い伝統への誇りを、そこにストライプをドラマチックに調和させることでモダンな魅力を醸し出しています。(右:Stowe plate 23cm 30£ 左:West Wycomb)

深い交流の歴史を持つ英国のなかで、ロシアを探す私の『英国のなかのロシア』プロジェクトのなかでも、最も興味を持っているのが、この『フロッグ・サービス』です。

関連☆【英国のなかのロシア】〜まとめ〜 (2022.02更新!)