【英国のなかのロシア】鳥を夢見たロシア人と日本人!サイエンス・ミュージアムでワクチン接種

2021-06-01

(2021.06)医療従事者や高齢者からワクチン接種が進み、「もう打った?」「1回目?2回目?」が挨拶がわりになっているロンドンです。50歳以上は3月上旬頃〜、45歳以上は4月中旬頃〜、NHSからの連絡が来ていたようです。ユニークなのは、教会のなかや博物館のなかなども接種会場になっていること。

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△いつも子どもたちに大人気のサイエンス・ミュージアムも接種会場のひとつになっています。

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△ワクチン接種開始直後は、予約して行っても1時間半待ちの行列・・・なんて聞いていましたが、すでにワクチンセンターはこの通り、ウォークインでも並ぶことはありません。40代以下はアストラゼネカとファイザーの選択ができるようで、それぞれの接種後の反応なども話題になっています。接種後は15分ほど会場内で様子をみて、異変がなければ終了です。なんと、このまま博物館を見学して行っていいですよ、とのこと。 

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産業革命の起こったイギリスですから、蒸気機関などの展示は充実しています。そして宇宙コーナーでは、もちろん宇宙大国ソ連&ロシア関係もたくさん見ることができます。

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△ソユーズについては、こちらをどうぞ!(☆モスクワ通信『宇宙飛行士の星の街(前編) ガガーリン宇宙へ!ソユーズ誕生』モスクワ通信『宇宙飛行士の星の街(後編)国際宇宙ステーション』

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とても広く、幅広い分野に分かれているので、この日は乗り物の歴史に関するエリアへ。特に興味を惹かれたのは、飛ぶことを夢見た人たちについて。古くは神話の世界から空を飛ぶ馬や神が登場します。特にイカロスの話は有名で、迷宮(ラビリンス)に幽閉されてしまったイカルスと父親は蜜蝋で固めた鳥の羽根で翼をつくり、空を飛んで脱出。父はイカロスに「蝋が湿気でバラバラにならないように海面に近付きすぎてはいけない。また蝋が熱で溶けてしまわないように太陽にも近付いてはいけない」と忠告したが、イカロスは自らを過信して、太陽に向かって飛んでいった結果、墜落して死んでしまったというストーリー。

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△なんと、日本でも似たようなストーリーが・・・!?源為朝(後に鎌倉幕府初代将軍となる源頼朝と、そして異母兄弟の義経の叔父にあたる人物?)とその息子とされる人物が、八丈島に流されてしまい、為朝は安全に海を渡って息子を本土に戻すために大きな凧を作ったが・・・人間が空を飛べるようになるまでの道のりはまだ遥か遠く悲しい結末になってしまったそう。(北斎・画)

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△そして自ら作った羽をつけて跳ぼうと試みたロシア人の絵もありました。どちらも初めて知り驚きました!いつか時間を作って調べてみたいです。

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△このJALの飛行機を輪切りにして取り出した展示、とっても面白いですね!

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△ゲームで体験できるコーナーや企画展、カフェスペースも。

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△The Clockmaster’s Museumも

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△ユニークなお土産もたくさん!ユーリー・ガガーリンのものもありますね。(ロンドンのユーリー・ガガーリン像についてはこちら☆【英国のなかのロシア】ロンドンにもある!宇宙飛行士ユーリー・ガガーリン像

 

【英国のお気に入り】くまのプーさんに会える!ハリーポッターの爬虫類館がある!ロンドン動物園

ロンドン動物園(ZSL LONDON ZOO)へ行ってきました!1828年開園の歴史ある動物園です。ライオン、象、熊など・・・ロンドン動物園のもとになった動物たちは、ロンドン塔から。(関連☆世界遺産ロンドン塔を満喫!おすすめレストランと夜の鍵のセレモニー

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年間パスを持っている親友親子と行ったのですが、長いロックダウンの代わりに私たち親子の分も無料で入園できることに。上野動物園とロンドン動物園、そしてモスクワ動物園も、ふたつのエリアに分かれている園内の雰囲気はとても似ていますが、ロンドン動物園はとにかく入園料が高いのです。(時期によって異なりますが約30〜35ポンド。公式サイトはこちら。※一方、イギリスでは国立の博物館は無料です。)

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△エントランスには、日本語とロシアのWELCOMEも見えます!

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園内は建物や看板、ちょっとした小物までスタイリッシュ!くすりとさせてくれるデザインも多くて、そんな可愛いものを見つける楽しみもたくさん。

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△A・A・ミルン著の童話『クマのプーさん』ゆかりの場所でもあります。愛する息子のために書かれたこのおはなしの主人公プーさん(ウィニー・ザ・プー Winnie-the-Pooh)は、息子の大好きなテディ・ベアがモデルになっているといわれていますが、実は息子さんがクマ好きになった理由がこのロンドン動物園にいたクマだったのだそう。第一次世界大戦中の1914年、ある軍医がイギリスへ向かう途中に、二束三文で売られているかわいそうな子グマを見かけ、ウィニーと名付けて旅の道連れにして可愛がっていました。その後、ロンドン動物園に引き取られたウィニーは、たくさんの子どもたちの人気者になり、そのなかに動物園が大好きだったA・A・ミルンの息子もいたのだそうです。

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△世界中で愛され読み継がれている絵本『はらぺこあおむし』の作者であるアメリカの絵本作家エリック・カールさんが今年2021年5月に亡くなりました。息子も私も大好きな1冊・・・!園内では『はらぺこあおむし』をテーマにした遊び場や写真スポット、ワークショップがありました。

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△野原にぽつんと建っていたのは時計塔ビックベンBig Benならぬ,蜂たちのバグ・ベンBug Ben。

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インドをテーマにしたエリアが広がります・・・!開放的な雰囲気の園内にはカフェもありましたが、たくさんの親子連れがランチを持参してピクニックしていました。

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△馬だけでなくいろんな動物に乗れる動物園らしい回転木馬。綿あめは、イギリスでもロシアでも大人気!

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△水遊びでびしょ濡れ!太陽が洋服を乾かしてくれるまでのんびりアイスクリームを食べて待ちます。

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△『ハリーポッターと賢者の石』に登場する爬虫類館(Reptile House)もありました。

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△するりとガラスを抜けて出てきた大蛇とハリーが話すシーンを思い出します。

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トラ、ライオン、ゴリラ、キリン、シマウマ、オカピなどたくさんの動物たちに出会えました。ゾウなどのさらに大型の動物は、ロンドンの北のウィプスネイド動物園(Whipsnade ZOO)で出会えるそうです。

ちなみにロシアで初めて1864年に創設されたロシアの動物園では、白熊や白いトラ、白い狼、そして日本風にデコレーションされた鶴のエリアや、大人気のパンダに出会えます。

【モスクワで子どもと楽しい!】モスクワ動物園 2018

【モスクワ通信】120年の歴史に幕・・・食料品店エリセーエフスキー

2021-05-30

ロシア文化フェスティバルblogより)

2021年4月、ロシアの観光名所のひとつとしても人気のあるモスクワの食料品店エリセーエフスキー(Елисеевский)が、その長い歴史に幕を閉じることになったという衝撃的なニュースが流れました。帝政ロシア時代にタイムスリップしたかのような豪華絢爛な店内に初めて足を踏み入れたときの衝撃は、今も忘れられません。

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△モスクワの中心クレムリンから続くトヴェルスカヤ通りに面する一等地に店を構えていました。この建物は18世紀末に建築家マトヴェイ・カザコフ(Матвей Казаков)によってエカテリーナ・コズィツカヤ(Екатерина Козицкая)の邸宅として設計されました(トヴェルスカヤ大通りとコズィツキー横町の角に建っています)。クラシックな街並みに馴染んで目立つ看板がないため外観からは少し入口が分かりにくいのですが、中央の扉を押して建物内に入り、右手側が食料品店エリセーエフスキー、左手側がソ連の雰囲気を味わえるファミリーレストランのВареничная №1 (ヴァレニチナヤ No.1)になっています。

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△邸宅はその後、ジナイダ・ヴォルコンスカヤ(Зинаида Волконская)の芸術サロンとなり、なんとあの詩人プーシキンやチュッチェフ、文豪ツルゲーネフなどもここを訪れていたのだとか・・・!たくさんの文化人が集い、前菜をつまみながらお酒を酌み交わし、優雅に音楽にあわせて踊ったり詩の朗読を楽しんだりしたのかもしれません。1901年に食料品店が開業してからも、“詩人マヤコフスキーがここでサラミを買った”なんていうエピソードもたくさん残されていて、想像するだけでワクワクしてきます。

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△中央の扉をくぐって建物内へ

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△食料品店の入口にはお店の創始者でオーナーだった大富豪グリゴリー・エリセーエフ(Григорий Григорьевич Елисеев)の胸像が飾られています。1864年サンクトペテルブルクの裕福な商人の家に生まれたグリゴリーは、外国でワイン醸造について学んだ後にロシアに戻り、祖父のピョートルが1813年にサンクトペテルブルクで開いた小さなお店から始まった家業を継ぎます。その後「エリセーエフ兄弟商会」が設立され、事業がさらに拡大していきました。1898年にモスクワの現在の建物がある場所を購入し、改築して1901年にエリセーエフの名を冠したブランドストアである高級食料品店をオープンしました。

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△グリゴリーと最初の妻マリヤは、息子7人と娘1人に恵まれました。3男のセルゲイ・エリセーエフ(Сергей Григорьевич Елисеев)は日本研究者・東洋学者として知られており、当時の東京帝国大学留学中には夏目漱石を師と仰いでいたそうです。1914年に妻マリヤを失った後、19歳年下の2人目の妻ヴェラと再婚。1920年にパリへ亡命し、そこで生涯を終えました。

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△では、いよいよ店内へ。葡萄の房ように垂れ下がる見事なクリスタルのシャンデリア、ステンドグラスに優美な柱・・・重厚でゴージャスな内装は息を飲むような美しさで目に入るものすべてに圧倒されてしまいます。創業当時から変わらぬ雰囲気なのだそう・・・!

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△宮殿のような店内と不思議なコントラストを醸し出しながら、野菜&果物コーナー、精肉や魚類コーナー、冷凍食品やお惣菜・・・とエリアごとに食料品が並びます。

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△ソ連時代には国営となりГастроном № 1(ガストロノム No.1 )と店名が変更されたこともありましたが、食糧難の時代にもずっと変わらぬ姿で営業を続け、モスクワ市民の憧れの高級食料品店としての地位を誇ってきました。当時ロシアでは珍しかったオリーブオイルやフランスのトリュフ、新鮮な牡蠣やエキゾチックなフルーツ、世界中から集められた豊富な種類のコーヒーや紅茶、サフランやシナモン、ナツメグなどのスパイス類などがいち早く紹介され、ブームの火付け役としてここから人気が広がっていった食品も多いのだそうです。新生ロシアになり、お店は再びエリセーエフスキーの名前を取り戻し、2004年の大規模なリニューアルによってグリゴリー・エリセーエフのスケッチなど貴重な資料をもとに美しく復元されました。

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△場所柄いつも観光客でいっぱいで、帝政時代にタイムスリップした気分で店内を見学してから、パッケージが美しいチョコレートや紅茶など記念にお土産を購入するツアーも多いようです。ずらりと並ぶ美しい野菜や果物、お肉、冷凍食品などロシアの台所事情を覗けるのは楽しいですし、気になるお惣菜をあれこれ購入して試してみることもできます。初めてのロシア旅行の際に、本で読んでからずっと興味を持っていたロシア料理“煮こごり”や“毛皮を着たニシンのサラダ”に出逢い感動したことを思い出します。

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△ワイン売り場へ向かう入り口の上にも、エリセーエフの肖像画が飾られていました。もともとはシェレメチェフ伯爵の農奴で庭師だった祖父のピョートル・エリセーエフスキーは、クリスマスの夜に新鮮なラズベリーを届け、その心遣いに感謝した伯爵から自由を与えられて、商人としての第一歩を踏み出しました。食のサプライズで人を喜ばせたいという想いはピョートルから子孫へ、かつて見たことのないような食料品店を作りたいと考えていたグリゴリーに、そして現在まで受け継がれています。

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△通路の壁面はミニギャラリーになっていて、貴重な写真や絵画でお店の歴史の一部を知ることができます。

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△こちらがワイン売り場です。Eliseev’s Store and Cellars of Russian and ForeignWines( Магазин Елисеева и погреба русских и иностранных вин)として創業時からロシア国内外のワインを扱っていたエリセーエフスキーだけに、ワインやアルコール類がずらり。

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△エリセーエフはディスプレイにもこだわりを持っていたと言われています。

エリセーエフ兄弟商会は、1903年にはサンクトペテルブルクのネフスキー大通りにも店を開き、エリセーエフの食料品店は唯一無二の存在感でロシア二大都市に君臨してきました。モスクワ店の改装も手掛けた建築家ガヴリエル・バラノフスキー (Гавриил Васильевич Барановский)が建てたサンクトペテルブルク店は、アール・ヌーヴォー様式(モデルン様式)の美しい建物で、20世紀の主要な価値を象徴する「産業」「貿易」「芸術」「科学」の彫刻で彩られています。2012年には、100年以上前の貴重な写真やスケッチをもとに建物内を詳細を再現して、洗練されたレストランやお店、2階には劇場も備えたフードホールとして再オープンを果たしました。

エリセーエフの店の名前は、ロシアを代表する名作のなかにも見ることができます。たとえば、トルストイの『アンナ・カレーニナ』には「(中巻21章)新しい牡蠣の入荷したエリセーエフの店からたった今やってきたオブロンスキーは・・・」(新潮文庫 木村浩訳)という場面があり、食通のオブロンスキーを描写しています。また、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』のなかでも「(1巻 第1部 第2編 8章)ファクトリーのワインにエリセーエフ兄弟商会の蜂蜜酒ですか、こりゃたいしたもんだ、神父さん!・・・」(光文社 亀山郁夫訳)というように、ステータスの証としてこの食料品店の名前が登場しています。

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△モスクワの店舗の前の石畳に埋め込まれたマーク

2021年4月、モスクワ店の突然の閉店が報じられてから、どんなときも豊かに潤っていた店内の棚からあっという間に商品が消えてしまい、がらんとした店内にはその美しい姿を永遠の記憶に留めようとカメラを手に訪れる人が後を立ちませんでした。惜しまれつつその扉を閉じた食料品店エリセエフスキーは現在モスクワ市によって歴史的建築物として保存されていますが、この場所が再び息を吹き返したくさんの美味しい食料品で満たされる日は来るのでしょうか・・・!

 

«Елисеевский»(モスクワ) Address: Tverskaya St, 14, Moscow

 «Магазин купцов Елисеевых»(サンクトペテルブルク) Address: Nevskiy pr, 56, Saint Petersburg

 

参考文献

«Магазин купцов Елисеевых» https://www.kupetzeliseevs.ru/

Елисеевский магазин – место, где живет дух старой Москвы