夏休み前は卒業シーズン!? 前編 〜9月始まりのロシア式スクールライフ〜

2025-06-23

6月、日本の子どもたちは1学期を終え、夏休みに向けて勉強と遊びの計画を立て始める季節。

一方、ロシアでは6〜7月は学校生活の一区切りの時期。欧米と同様に9月に新学期が始まるため、長い夏休みを前に、学年末、そして卒業式をむかえます。日本とは異なる年間サイクルのなかで、子どもたちは春から夏へと移っていきます。(関連 ロシアの子どもたちの音楽教育をのぞいてみよう〜ロシアの新星コンサート2024特集!

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△ロシアの四季の移り変わりや旬の食べ物を知ることが出来るスーパーマーケットの広告チェックは、生活の楽しみのひとつ!5月号にはよく、卒業式のテーブルに並ぶごちそうやパーティメニューが紹介されていました。

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入学式は「最初の鐘」、卒業式は「最後の鐘」

ロシアの入学式では、「最初の鐘」という伝統的なセレモニーがあります。

息子が通っていた学校でも、立派に成長した頼もしい最上級生が、まだ幼さの残る初々しい新入生の女の子と手を繋いで、全校生徒のまわりを1周しました。お兄さんに手を引かれながら一歩ずつ歩く姿に、見ているこちらも胸が熱くなったものでした。この「最初の鐘」は、ロシアの子どもたちにとって学びの始まりを告げる特別な瞬間です。

一方、学年末や卒業式では「最後の鐘」が鳴らされます。これは新たな人生の節目を象徴する儀式で、1年間の努力を讃え、未来へ向けたエールのようにも感じられます。

また、日本の卒業式には桜がつきものですが、ロシアでは5〜6月にライラックが満開を迎えます。卒業式の広告やパーティメニューの案内にも、香り高いライラックが描かれていて、まさにロシアらしい季節の彩りです。(関連 ライラック)

卒業パーティでは、子どもたちが先生に花束や贈り物を渡し、学びの締めくくりに感謝を伝えます。

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△こちらは同じスーパーの9月の広告です。ロシアの新学期は「勉強の秋」という雰囲気ですね。「最初の鐘」を鳴らすので、新学期を象徴するモチーフとして鐘も描かれています。

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△9月の新学期、学校の黒板にチョークで書かれていた可愛らしい絵。先生たちから「たくさんの新しい知識を得て、素晴らしい一年にしましょう!」のメッセージが添えられていました。

花束を手に、先生へ「ありがとう」を届ける日々

ロシアの学校では、大切な日に子どもたちが先生へ花束やプレゼントを贈る習慣があります。9月1日の「知識の日(День знаний)」や、10月5日の「教師の日」はその代表例。

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△9月1日は 「知識の日(День знаний)」とも呼ばれています。

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△スーパーの広告の表紙に特集された「教師の日」

子どもたちはきちんとした服を着て登校(女の子はよく、頭にふわふわの大きな白いリボンをつけます)。そして、先生へ感謝の気持ちを込めた花やプレゼントを手渡します。これは日本にはあまり見られない光景ですが、こどもたちやその保護者から先生たちへ、さらに教育への敬意を社会全体で表しているように思えます。

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△世界的に人気のロシア人子役モデル、アナスタシヤ・クニャゼワちゃんもInstagram(@knyazeva_anastasiya_official)でも、「教師の日」の様子が紹介されていました。

このように「教師の日」以外にも、ロシアには職業を祝う日が決められていて、「宇宙飛行士の日」などは特に盛大に祝われます。国営国際ラジオに勤務していたときには、5月7日のラジオの日は、社長が各部屋を周り皆に挨拶や差し入れをしてくださったり、局内みんなでおめでとう!を言い合ってミニパーティをしたりして祝っていました。消防士の日、エコノミストの日、警察官の日、法律家の日・・・ほかにもたくさんあります。

「新しい1年を迎える喜び」や「先生への感謝」、「学びへの敬意」――こうした気持ちは、国や文化を越えて響き合うものでしょう。

後編では、ロシアの文房具やノートの違いから見えてくる、「学びの道具たち」の文化をご紹介します。

アトリエから世界へ ― 芸術家ズラブ・ツェレテリを辿る旅 後編

2025-05-20

ジョージアとロシアを代表する芸術家であり、ロシア美術アカデミー総裁を務めたズラブ・ツェレテリを悼んで、前編では彼の作品が彩るモスクワの街並みや、壮麗なアート・ギャラリーをご紹介しました。

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△芸術家ズラブ・ツェレテリをテーマに自ら制作した作品

後編では、ジョージアの名のついた通り(ボリシャヤ・グルジンスカヤ通り)にあるもうひとつのツェレテリ美術館をご紹介。さらに世界各地や日本で出会える作品にも注目していきます。

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△ツェレテリのアトリエを改装した美術館は、「もうひとつの顔」に触れることができる場所です。

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△エントランスでは、国民的歌手アーラ・プガチョワが両手を広げて来館者を迎えてくれます。

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△アート・ギャラリーと同じく圧倒的なスケール感がありながら、どこか実験的で、遊び心を感じさせる空間が広がっています。

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△国際的な活動も盛んだったツェレテリは、“世界中に巨大な彫刻作品を贈る芸術家”としても知られていました。館内には、ツェレテリが参加した国際展の記録や、各国での活動もパネルで紹介されています。

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△ こちらは、アメリカ同時多発テロ事件の犠牲者を追悼して制作されたモニュメント『悲しみの涙(Слеза скорби/Tear of Grief)』の縮小版。高さ約30メートルの実物は、ニュージャージー州のハドソン川沿いに設置されています。中央には涙を象徴するしずく型のモチーフを配し、悲しみと連帯の想いを表しています。

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△『善は悪に勝る(Good Defeats Evil)』は、1990年の国連創設45周年を記念し、ソ連からニューヨークの国連本部に贈られた作品です。聖ゲオルギウスがドラゴンを倒す構図で、このドラゴンの部分は実際のミサイルの破片で制作されました。これは、1987年の中距離核戦力全廃条約(INF条約)に基づき廃棄されたソ連とアメリカのミサイルを用いたもので、核軍縮と平和の象徴として位置づけられています。(国連のHPより写真転載)

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△コロンブスが卵の殻の中から現れる姿を表現した『新しい人間の誕生』の縮小版。1995年のアメリカ大陸発見500周年を記念して、モスクワ市からスペイン・セビリア市へ贈られました。

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△ 屋外には、カラフルな彫刻が溢れる彫刻庭園も見どころのひとつ。

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△こんなふうに作品に入り込んで・・・

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△気に入った作品と一緒に写真撮影することもできます。

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△敷地内にはジョージア正教の教会や、

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△ジョージアの食堂やジョージアのパン屋さんも併殺されており文化を五感で味わうことが出来ます。

ツェレテリと日本

さて、ツェレテリ作品は、日本国内でも鑑賞することができます。

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△東京・港区の在日ロシア連邦大使館の絢爛豪華なシャンデリアがきらめく大レセプションホールには、

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△ツェレテリの銅版画『首都モスクワ、我がモスクワ』が圧倒的な存在感で展示されています。式典やコンサートを荘厳に華やかに演出しています。

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△また、ホールへ続く大階段を鮮やかに彩るステンドグラス作品『旗』もツェレテリの作品です。

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△こちらは、日ロ国交回復50周年を記念して制作された鳩山一郎元総理の銅像。モスクワ市から鳩山家に寄贈され、東京・文京区の鳩山会館に設置されています。

芸術に国境はない。

そう信じ、情熱と愛にあふれた創作活動をつづけたツェレテリの生涯は、多くの人々に刺激を与えました。

彼の手がけた力強い作品とエネルギーは、モスクワで、東京で、そして世界の街で、これからも生きつづけていくでしょう。

さようなら、ズラブ・ツェレテリ!モスクワで出会う巨匠の人生 前編

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2025年4月22日、ロシア現代美術界を代表する彫刻家、ズラブ・ツェレテリ氏が91歳でこの世を去りました。ソビエト連邦から現代ロシアへ、その激動の時代を駆け抜け、彼の手から生まれた巨大な彫像群は、ロシア、そして世界各地にそびえ立ちます。圧倒的なスケールと情熱は、私たちの記憶に深く刻まれました。

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モスクワ中心部の救世主ハリストス大聖堂で葬儀が行われ、故郷ジョージア(グルジア)のトビリシでも追悼式が行われました。1980年モスクワ五輪ではチーフアーティストに任命されるなど、ロシア芸術界を象徴する存在でした。生涯で手がけた作品は、なんと5000点以上。「モスクワ中が彼のアトリエのようだ」と言われるほど、街のあちらこちらにその足跡が残されています。

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△1923年、ジョージアのトビリシに生まれたツェレテリは、画家としてキャリアをスタートし、やがて彫刻家、建築家、そして芸術教育者へと多彩な道を歩みました。彼の名を広く知らしめた代表作のひとつは、モスクワ川沿いに立つ高さ約100メートルの『ピョートル大帝像』です。

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△そのほかにも、改修の際にデザインや彫刻を手がけたモスクワ動物園、コスモス・ホテル前のシャルル・ドゴール像など、市内には多くのツェレテリ作品が点在しています。

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△以前ご紹介した『モスクワ噴水コレクション』に登場する噴水のなかにも、彼の手による作品があります。クレムリン近くのマネージ広場で躍動する4頭の馬の噴水や、ニクーリン・サーカス前のクラウンの噴水などです。(関連ブログ☆モスクワ通信『モスクワの宝石箱!夏空にきらめく噴水コレクション』

今回のブログでは、追悼の思いを込めて、モスクワにあるふたつのツェレテリ美術館をご紹介します。

ズラブ・ツェレテリ アート・ギャラリー

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△ロシア美術アカデミーの一部として運営され、ツェレテリの絵画や彫刻、ステンドグラスなどが展示されています。

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△この美術館のシンボルともいえる巨大なブロンズ製の『りんご Apple/Яблоко』は、アダムとイヴのりんごをテーマにした作品で、なかに入ることもできます。

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△壁一面のモザイクやレリーフ、所狭しと並ぶ彫刻の数々…!この空間に一歩足を踏み入れると、まるでツェレテリの思考の中に迷い込んだかのような不思議な感覚に包まれます。

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△人気の展示のひとつが「私の同時代人たち」シリーズ。ロシアの著名人のブロンズ肖像やレリーフがずらりと並びます。柔道着姿のプーチン大統領や、

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△伝説的なバス歌手シャリャーピン、吟遊詩人オクジャワ、詩人エセーニン、宇宙飛行士、作家、俳優、バレエダンサー、演出家、音楽家・・・その鋭い観察眼と温かなまなざしで個性を捉えた作品群は見応えがあります。巨匠でありながら、常に「今」と向き合っていた彼の姿勢が、空間全体から感じられます。

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△宗教や歴史、民族神話などをテーマにした作品も多く、ツェレテリらしい力強い色彩と圧倒的スケールで展開されています。

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△ツェレテリがこよなく愛した人物チャーリー・チャップリンをテーマにした作品が数多く展示されています。チャップリンのユーモア、哀愁、正義への姿勢、そしてその表現力と人間性は、ツェレテリの芸術感に重なります。

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△ピョートル大帝像をはじめ巨大モニュメントの縮小版も。

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△そして見逃せないのが、館内に併設されたレストラン「アーティスト・ギャラリー」。

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△ハチャプリと呼ばれるチーズのパンやくるみペーストを巻いたナスの前菜、独特のスパイス香る煮込み料理など、本格的なジョージア料理を楽しめます。

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△どこもかしこも見渡す限り、ツェレテリ作品で埋め尽くされた店内の装飾!パレットをイメージしたメニューも味わいがあります。

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後編では、モスクワにあるもうひとつのツェレテリ美術館と、世界各地や日本で出会える作品に焦点を当てていきます。どうぞお楽しみに!