【英国のお気に入り】映画『ロンドン、人生はじめます』ロケ地とハムステッド散策 〜1〜

2021-09-22

(2021.06)緑豊かなハムステッド・ヒースの隣にイギリスらしい煉瓦造りの閑静な住宅街が広がり、迷い込みたくなる素敵な路地裏を抜けると、雰囲気の良い隠れ家レストランに出会えるハムステッド。映画『ロンドン、人生はじめます(英:Hampstead 露:Хэмпстед )』の舞台にもなっています。

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△ダイアン・キートン(Diane Keaton)&ブレンダン・グリーソン(Brendan Gleeson)主演の大人のラブ・ストーリー!実際にハムステッド・ヒースの小屋で暮らし、その土地を裁判で勝ち取って一夜にして億万長者となったHenry Harry Hallowsの実話に基づく物語で、主人公エミリーは、ハムステッド・ヒースの自然のなかで創造力を働かせて自給自足の生活を送るドナルドと出逢い、自分にとって豊かに生きるととはどういうことか考えはじめます。

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△オープニングに登場するケンウッド・ハウス。見晴らしのよいParliament Hillでは、凧揚げしたりサッカーしたり、お誕生会したり・・・。☆【英国のなかのロシア】奴隷制廃止のきっかけは褐色の肌の伯爵令嬢!?プーシキンの孫も暮らしたケンウッド・ハウス

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△ハイゲート墓地、東園のマルクスのお墓で初めて会話するふたり。マルクスとドナルド、少し似てますね。西園でピクニックするシーンが大好き!ロセッティの妻の話には、驚きました・・・☆【英国のなかのロシア】西にマルクス、東にリトビネンコ!彫刻庭園のようなハイゲート墓地

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△エミリーがコーヒーを買う赤い電話ボックスのコーヒースタンドや、ボランティアで働いているチャリティ・ショップOXFAM。通勤途中の風景も・・・

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△路地裏の素敵なレストランVilla Biancaでお食事するシーンがありました。

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△パブThe Holly Bushをはじめ、ハムステッドの街角が・・・

 

△ハムステッド

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△エミリーの自宅。イギリスでは昔ながらの古い邸宅をお手入れしながら大切に使っています。突然のスコールのような大雨で雨漏りする屋根も含めて・・・イギリス生活!エミリーはこの家の屋根裏からバー&ストラウド(Barr&Stroud)の双眼鏡で覗いた美しいハムステッド・ヒースの緑の森のなかに、偶然ドナルドの家を見つけたのでした。

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△映画のように、道路を渡ってすぐヒースへの小道が。都会の公園・・・と思って足を踏み入れると、こんなふうにあっという間に森のなかへ。Googleマップを、と思っても電波も届かない!?なんて場所もありますから、御用心!

誘われればそれなりのレストランへ足を運び、なんとなくチャリティショップでのボランティアで活動して時間をつかい、周りと価値観を合わせながらマンションの奥様方と集まって、空虚感を感じながら周りが望むような姿を演じつつ都会で生活してきたエミリーと、ヒースの池で水浴びし、魚を釣って、林檎や木の実を拾い、きのこやベリーを採って、家庭菜園で野菜を育て、一人で読書を楽しみ、自分はこうでなければと自らを律しながら生きてきたドナルド。すぐ隣で真逆の生活をおくる二人が出逢い、それぞれの人生のなかで怖くて目を背け避けてしまっていたことを見つめ直して、支え合いながら少しずつ前に進んでいきます。

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その一歩として赤い二階建てバスに乗り、ロンドン中心部を歩く二人のシーンも楽しいです。美術を学んでいたエミリーに連れられて大英博物館へも。☆【イギリスの博物館】世界中からコレクションした宝箱!大英博物館

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そして、再び、ハムステッド・ヒース行きバスに乗って・・・今日もこのハムステッドの街のどこかでこんなラブストーリーが紡がれているのかも、手を繋いで歩く素敵な二人に出逢うたびに、そんな風に感じてしまう映画です。

【英国のなかのロシア】奴隷制廃止のきっかけは褐色の肌の伯爵令嬢!?プーシキンの孫も暮らしたケンウッド・ハウス

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(2021.06)ロンドン北部、都会のなかの緑豊かな森ハムステッド・ヒースのなかにある美しい白亜の邸宅ケンウッド・ハウス(Kenwood House)。この美しい邸宅から物語がはじまり、この邸宅を舞台に繰り広げられる映画『Belle(邦題:ベル〜ある伯爵令嬢の恋〜』を見てから、どうしてもここを訪れてこの絵を見てみたかったのです・・・!そしてまたここで、ロシアとの繋がりを見つけることになります。

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1779年にケンウッドハウスで描かれたこの肖像画に描かれている2人の美しい女性は、エリザベス(Lady Elizabeth Murray )と褐色の肌を持つダイド(Dido Elizabeth Belle)です。18世紀後半、まだ英国において奴隷貿易が行われていた時代に、二人はまるで姉妹のように育てられました。英国の、そして世界の奴隷制を廃止するきっかけとなった人物のひとりが、このダイドなのです。

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△ケンウッド・ハウスは、18世紀に英国において大きな影響力を持っていた判事の初代マンスフィールド伯爵ウィリアム・マレー(William Murray, 1st Earl of Mansfield)がここに土地を購入したことからはじまりました。子供に恵まれなかったマンスフィールド伯爵夫妻は、幼くして母親を亡くした甥娘エリザベスを引き取り育てていました。そこに甥のリンジー卿(Sir John Lindsay)が黒人の少女を連れて現れ、ここでこの子を育てて欲しいと頼みます。突然、血がつながっているとはいえ見も知らぬ女の子を、しかも奴隷の血を継ぐ黒人の少女をこの屋敷に迎える!?しかも法を司る主席判事(Lord Chief Justice of England)である自分が・・・!?

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イギリス海軍の軍艦の艦長だったリンジー卿は、奴隷の娘と恋に落ち、生まれた娘にダイド・ベル・リンジーと名付けました。母親を亡くしたダイドを連れてイギリスへ帰任したリンジー卿は、愛する娘を自分の代わりに愛情をかけて育て、“ふさわしい暮らし”ができる場所として、マンスフィールド伯爵のもとに預け、ふたたび戦地へと船を出したのでした。 

【The Music Room】

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血縁関係にあるのだから養育する義務がある、けれども晩餐会など公式の場ではたとえ家族であっても黒人を同席させるわけにはいかない、しかし食後の談話タイムなら大丈夫だろうか・・・法を犯さないよう細心の注意を払いつつ幾度も心の中で自問自答を繰り返しながらも、大切に育てられたダイドは、美しく賢く成長していきます。はじめはエリザペスの遊び相手として、成長したら侍女として考えていたマンスフィールド伯爵夫妻も、いつしかエリザベスとダイドをどちらも実の娘のように愛するようになります。

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【The Dining Room 名画コレクション】実は、英国を代表する画家ターナーやコンスタブル、そしてレンブラントの晩年の『自画像』やフェルメールなどの傑作を見ることができる美術館でもあるケンウッド・ハウス。

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△ターナー(Turner『The Iveagh Seapiece』または『Coast Scene of Fishermen Hauling a Boat Ashore』)関連☆海を描くイギリスのターナーとロシアのアイヴァゾフスキー!テート・ブリテン(Tate Britain)の『Tuner’s Modern World』へ

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△フェルメール『ギターを弾く女』(Vermeer『The Guitar Player』)

【The Library】この邸宅の改装を手掛けた建築家ロバート・アダムの傑作と誉れ高い部屋です。

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△マンスフィールド伯爵

そんな奴隷貿易のなかで起こったゾング号事件は、奴隷売買のために輸送していた黒人奴隷を不慮の事故を装って海へ、代わりに保険金を受け取ろうという企みの悲惨な事件でした。担当したマンスフィールド卿は、長い時間をかけて奴隷制廃止に向けて一石を投じる勇気ある判決を下しました。その心のなかに、黒人の奴隷の血をひく愛娘ダイドの存在があったことは言うまでもありません。

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事実に基づくラブストーリーとして展開する映画のなかで、ダイドは牧師の家に生まれ、奴隷の人権を守運動の矢面に立って活動し、英国を良くするために未来の法律家を目指す白人の男性と恋に落ちて結婚します。良縁に恵まれることが女性の最高の幸せだった時代に、奴隷の血を受け継ぐ黒人女性であったダイドが、自らの力で人生を切り開いていきます。

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さて、ダイドだけではなく愛する人とともに波乱万丈な人生を歩んだロシア人も、このケンウッド・ハウスで生活していました。6代目のマンスフィールド伯爵は1910年から1917年にかけてこの屋敷を、ロシア皇帝ニコライ1世の孫にあたる人物ミハイル・ミハイロヴィッチМихаил Михайлович(詳しくは、ニコライ1世の四男ミハイル・ニコラエヴィチМихаил Николаевичの次男)に貸していました。

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7人兄弟姉妹のなかでも、美男子だったミハイルは、社交界でのパーティに明け暮れ、花嫁捜しも難航。ついには、詩人アレクサンドル・プーシキンの孫ゾフィーと無断で貴賤結婚(当時、許されていなかった身分違いの恋)をし、ロシアを追放されてしまいます(写真左)。ドイツやフランスを転々としたのち、1900年頃にイギリスへ。はじめはStaffordshireにあるKeele Hallに滞在していましたが、ケンウッドハウスに居を移します。2人の娘はそれぞれ良家へ嫁ぎ(次女ナジェジダは、ヴィクトリア女王の曾孫の1人であるドイツ系貴族のLouis Alexander Mountbattenの長男ジョージと結婚。)ロシア革命後は、資産を失いケンウッド・ハスを離れて、娘たちからの援助で暮らし、イギリスでなくなりました。(Wikipediaより写真右:ミハイル・ミハイロヴィッチと子供たち)

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△素敵なカフェで、紅茶とソーセージロール、ヴィクトリア・スポンジケーキやスコーンなどを購入して、ピクニックはいかが?(☆【英国のお気に入り】ソーセージ・ロール

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△ドアから一歩足を踏み出すと、そこは初夏のハムステッド・ヒース!この景色はそう、もうひとつイギリスの人気映画『ノッティングヒルの恋人』でも登場します。

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△池は、男女にわかれた遊泳スペースもあり、ひんやり冷たい水のなかを水着姿の方が気持ちよさそうに泳いでいました。

ちょうど、初夏の西洋つつじも満開!

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【英国のお気に入り】The WOLSELEYのオムレツ・アーノルド・ベネット

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△訪れたのはThe WOLSELEYです。かつて英国最大の自動車メーカーだった1901年創業のWolseley Motors Limitedのショールームだった建物で、1975年にその歴史に幕を閉じた後は、バークレー銀行などが置かれていましたが、現在はグランド・ヨーロピアン・トラディショナル・スタイルのカフェレストランになっています。

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△石造りの店内は、黒と金が印象的なインテリア。個性的なシャンデリアと東洋風の家具デコレーションがなんとも独創的な空間を演出しています。

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△作家・劇作家・批評家のアーノルド・ベネットEnoch Arnold Bennett)の名前がついたオムレツ・アーノルド・ベネット(Omelette Arnold Bennett)は、薫製のタラ(コダラのHaddock)を玉ねぎ、生クリームや卵といっしょにとろりとまぜあわせてオーブンで焼いたもの。中は半熟でクリーミー、しっかりとした魚の旨味とコクがあります(レシピはこちら)。もともとは定宿にしていたロンドンのサヴォイ・ホテルのシェフが考案したメニューで、アーノルド・ベネットの大のお気に入りだったそう。

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△アーノルド・ベネット(右)と代表作(左)(お写真はWikipediaより)ジョージ・ムア(George Moore)に影響を受けていると言われていますが、ロシアの作家ドストエフスキーやトルストイの影響も感じられるといわれています。この主人公ANNAの佇まいはどこかアンナ・カレーニナを彷彿とさせませんか・・・!?もちろん、ストーリーは全く異なりますが、何か共通点を見つけながら読んでみるのも面白そうです。

ロシアでも、珍しいオムレツをいただけるお店がありました。24時間ユニークな世界の朝食が食べられるお店Cook’ karekuです。

 ☆24時間、世界の朝食を!Cook’ kareku

 ☆【モスクワのレストラン】夏はテラス!24時間世界の朝食がテーマのCook’ kareku

そして、ロシア人の名前のついたメニューといえば・・・日本に面白いものがあります。ロシアの俳優シャリャーピンの名前がついたシャリャーピン・ステーキ!帝国ホテルのシェフが考案しました。

 ☆【モスクワで出逢う偉人シリーズ】歌手シャリャーピン

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△ザ・ウースリー特製The Wolseley Battenberg。イギリス名物、華やかな色合いと優しいお味のバッテンバーグ・ケーキ(☆【英国のお気に入り】バッテンバーグ・ケーキ)です。

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イギリス伝統の味やウースリーのスペシャリテがまだまだ沢山ありそうなので、またぜひ訪れたいです。

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