(ロシア文化フェスティバルblogより)
早稲田大学で開催されるマイヤ・コバヒゼさんの講演会の前に、構内にある坪内博士記念演劇博物館を訪れました。
洋館巡りツアーでも人気の建物は、1928(昭和3)年10月、坪内逍遙が古稀の齢(70歳)に達したのと、その半生を捧げて翻訳された「シェークスピヤ全集」全40巻の完成を記念して設立されたもの。
▲梅雨空の演劇博物館。
16世紀イギリスの劇場「フォーチュン座」を模して今井兼次らにより設計されており、建物自体も細部まで見どころが一杯!天井に羊がそぞろあるく「逍遥記念室」は特に素敵で、未年の逍遥博士の愛蔵品コーナーには可愛らしいひつじコレクションがずらり。なんとペンネームの“しょうよう“も小さい羊という響きからきているそうです。残念ながら撮影禁止ですが、公式サイトの動画でたっぷりとご覧頂けます。
▲エントランス上には「人生は劇場なり」の文字が!
さて、館内展示は・・・中国の影響を受けてはじまる古代にはじまり、能や歌舞伎の母体となった中世~近世では能面を実際に装着出来るコーナーも(写真撮影ができたらいいのに!)、そして近代では、明治44年に日本初の帝国劇場の復元模型が。ロシアの伝説的なバレリーナ、アンナ・パブロワもこの舞台で踊りました。
この日はちょうど劇作家小山内薫がヨーロッパに滞在した当時の資料が公開されており、ロシア滞在期間中に通い詰めたというモスクワ芸術座の資料や、妻にあてた白樺林の絵葉書、帰国後に演出したゴーリキー『夜の宿(どん底)』ポスター等が展示されていました。このように歩くだけで日本の演劇の歴史を辿ることができる圧巻の常設展示に加え、魅力的な企画展も。
▲ 1930 年代初頭ソ連に渡り、演出家メイエルホリドの助手としてその演劇的手法を学んだ『佐野碩と世界演劇~日本・ロシア・メキシコ“芸術は民衆のものだ“~』展(~5月22日)パンフレットも頂きました。
▲逍遥先生の銅像、その手はピカピカに輝いていました!演劇への情熱とたゆまぬ努力で偉業を成し遂げた先生の手に触れると願いが叶うといわれており、もちろん私もしっかり握手してまいりました!
新刊『ロシアの演劇~起源、歴史、ソ連崩壊後の展開、21世紀の新しい演劇の探求』をより深く理解するために、足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。