6月12日ロシアの日、数多くのロシアの著名人が眠るノヴォデヴィチ墓地(Новодевичье кладбище)を訪れました。ソ連とロシアの時代に名を残し、今も人々に敬愛されている偉人たちのパンテオン。世界遺産にもなっているノヴォデヴィチ修道院とは壁で仕切られていて入り口が異なります。
△門の手前左にはお花屋さんです。ロシアではお祝いのお花は奇数と決まっていますが、故人には偶数のお花を捧げます。門をくぐって右手側のドアを入り切符売り場でチケットを(2009年は無料でしたが、2020年現在は親族のお墓参り以外は大人1枚300ルーブル)
△売店で地図(200ルーブル)を購入します。重複していたり地図の場所に存在しないお墓もあったりしますが、これがなければ広い敷地内に26,000以上あるお墓の中から目的地へ向かうのは至難の技!見つけたお墓に印をつけて訪問の記念にも。
△美しい緑に包まれた墓地には、ロシアの著名人が数多く眠っています。お花を手にのんびりとお散歩を楽しむ人々の姿も・・・
多くの人が献花に訪れる著名人の墓は、それぞれの区画の外側(通路沿い)に位置していたり、横にベンチが置いてあったりします。ロシアは土葬が多いのですが、葬儀の際には生花を、そしてその後は、生花でも造花でも好きなお花を捧げます。長い間美しく飾ることができる造花の花輪もお墓ではよく見かけます。リボンとお花で出来た花輪には、誰から捧げられたかが記されています。
△白く幻想的に浮かび上がるバレリーナのガリーナ・ウラノワ(Галина Сергеевна Уланова) のお墓。スターリン建築の高層アパートには、ウラノワの部屋博物館が残されています。
△トウシューズがついたバレリーナのエカテリーナ・マクシモワのお墓
△女優タチヤナ・サモイロワ(Татьяна Евгеньевна Самойлова)のお墓。『アンナ・カレーニナ«Анна Каренина»』や『鶴は飛んでいく«Летят журавли» 』など名演で魅了しました。
△サーカスの顔!伝説の道化師ユーリー・ニクーリン(Юрий Владимирович Никулин)今でも彼の名を冠したニクーリン・サーカスは大人気!(これぞ古き良き!ニクーリン・サーカス!【ロシアのサーカス】【子どもと楽しい!】)
△2007年に101歳で逝去されたイーゴリ・モイセーエフ(Игорь Александрович Моисеев)のお墓。今年2020年の目玉プログラムとして、ロシアではもちろん世界中で愛されているイーゴリ・モイセーエフ記念国立アカデミー民族舞踊アンサンブル公演があります。ロシアを訪れたら誰もが一度は観たいと願い、1度観たらぜひまた観たくなる!と声を揃えて絶賛します。
△劇作家・小説家アントン・チェーホフ(Антон Павлович Чехов 1860ー1904)のお墓。周りには同じカモメのマークのついたモスクワ芸術座の俳優や関係者のお墓が並びます。
△はためく巨大なロシア国旗は、ロシアのボリス・エリツィン初代大統領(Борис Николаевич Ельцин)のお墓
△文豪ニコライ・ゴーゴリ(Николай Васильевич Гоголь)のお墓が以前のものとは変わっており、驚きました!実はゴーゴリは、ゴルゴダの丘に立つ十字架のような何の変哲もない石の上に十字架を立てた墓にしてほしいと遺言していたそうです。ゴーゴリは1852年に聖ダニーロフスキー修道院の墓地に葬られましたが、その際には、遺言通りに石と十字架、そして大理石の石棺が置かれていました。1932年、お墓と亡骸はこのノヴォデヴィチ墓地へ移され、ゴーゴリが天に召されてから100年の節目を記念して胸像が建てられました。そこには文豪ゴーゴリへソビエト政府から捧げられたことが記されていたそうです(それが、写真左の胸像です)。しかし、その後新生ロシアとなり、2009年には改めて、ゴーゴリの遺言の通りの墓に戻ったのだそうです(写真右が現在の墓)。(【ロシアナ映画館】『魔界探偵ゴーゴリ』シリーズとゴーゴリのお墓の謎・・・!)
△サッツ記念子ども音楽劇場のナタリや・サッツ(Наталия Ильинична Сац)のお墓(【モスクワ噴水さんぽ】サッツ記念子ども音楽劇場)
△△ヴラジーミル・ネミロヴィチ=ダンチェンコ(Владимир Иванович Немирович-Данченко)のお墓。スタニスラフスキー及びネミローヴィチ・ダンチェンコ記念 モスクワ・アカデミー音楽劇場は来日公演も多く日本でも人気があります(スタニスラフスキー・ネミローヴィチ=ダンチェンコ記念国立モスクワ音楽劇場バレエ『白鳥の湖』)
△作曲家ドミトリー・ショスタコーヴィチ(Дмитрий Дмитриевич Шостакович)のお墓
△トレチャコフ美術館で知られているパーヴェル・トレチャコフ(Павел Михайлович Третьяков)のお墓
△フョードル・フョードロヴィチ・フェドロフスキーのお墓・・・ロシア人の名前は同じものが多いので、お墓を見て同姓同名!と思っても違う方のものだったり。これも探すのが大変な理由です。例えば・・・
△ウラジーミル・ドゥロフ(Владимир Леонидович Дуров)のお墓(【ロシアのサーカス】ゾウ登場に大歓声!ドゥロフ記念動物劇場)を見た後で、
△またまた人々が集まるドゥロフさんのお墓。こちらは俳優のレフ・ドゥロフさんのお墓でした。
△メゾ・ソプラノ歌手エレーナ・オブラスツォワ(Елена Васильевна Образцова)のお墓
△チェロ奏者ムスティスラフ・ロストロポーヴィ(Мстислав Леопольдович Ростропович)のお墓。2007年4月に天に召され、約10年前にここを訪れたときには、まだ盛土に十字架を立てたものでした。(末尾の過去関連ブログ参照)
△『巨匠とマルガリータ』などで知られる作家ミハイル・ブルガーコフ(Михаил Афанасьевич Булгаков)のお墓
△詩人ヴラジミル・マヤコフスキー(Владимир Владимирович Маяковский)のお墓(【モスクワで出逢う偉人シリーズ】マヤコフスキー)
△作曲家アレクサンドル・スクリャービン(Александр Николаевич Скрябин)のお墓
△モスクワ音楽院創設者ニコライ・ルビンシュテイン(Николай Григорьевич Рубинштейн)のお墓
△バス歌手フョードル・シャリャーピン(Фёдор Иванович Шаляпин 1873~1938)のお墓(【モスクワで出逢う偉人シリーズ】歌手シャリャーピン)
△2017年に亡くなったバリトン歌手ドミトリー・フヴォロストフスキー(Дмитрий Александрович Хворостовский)のお墓。チケット売り場ではたくさんのCDがあり、この日一番多くのお花が捧げられていました。人気の高さが伺えます。
△作曲家ドミトリー・カバレフスキー(Дмитрий Борисович Кабалевский)のお墓。息子の憧れのヴァイオリン協奏曲を作曲した人物で、この日一番印象に残ったそうです。ショスタコーヴィチ、ドゥナエフスキー、スヴィリドフ・・・ロシアで演奏する機会に恵まれた作曲家たちのお墓を探しました。こんな風に、逢いたい人物のお墓を訪ねることもできますし、お墓を見て歩きながら新たな出会いや発見もあります。
△航空機設計者アンドレイ・ツポレフ(Андрей Николаевич Туполев)のお墓
△最近スターリン建築のロシア外務省の建物前に銅像も完成した外務大臣エヴゲニー・プリマコフのお墓
△日ソ国交回復への道を開いた松本・マリク会談のソ連側全権代表ヤコフ・マリク(Яков Александрович Малик)のお墓(写真左)
△壁にも棚が設置され、骨壺や記念碑、お花で飾られています。
△ガイドツアーも人気です。
墓地の近くには世界遺産にも指定されているノボデヴィチ修道院。そして作曲家チャイコフスキーが『白鳥の湖』のインスピレーションを得たといわれている美しい池があります。
△池の反対側からは、現代ロシアを象徴するモスクワ・シティの摩天楼も綺麗に見えていました。
Новодевичье кладбище http://novodevichye.com
Адрес: Лужнецкий пр-д, 2, Москва
関連