毎年更新されるナショナル・トラストのハンドブックですが、2020年版がお気に入り(☆【英国のお気に入り】敬称と郵便番号が英国流!? ナショナルトラスト 2020 ハンドブック)!通常の索引(アルファベット・インデクス)以外に、テーマごとのインデクスがついていて、テレビや映画のロケ地インデクスもワクワクしますが、英国の著名人(Notable people)検索が面白いんです。2020年コロナ禍で初めて手にしたハンドブックで目に飛び込んできてから、ずっと行きたかった場所『作曲家エルガーの生誕地の博物館(The Firs: Elgar Birthplace Museum)』へ。
豊かな自然のなかの可愛らしいおうちは、なんだかロシアの作曲家チャイコフスキーの家を訪れた日のことを思い出します。(関連☆モスクワ通信『チャイコフスキーの家博物館』)
△庭のベンチで一緒に記念写真が撮れるのも、チャイコフスキーの家博物館と同じ!
△違うのは、コンサートや特別なツアーでなくても、エルガーの使っていたピアノを弾くことが出来ること!
調律されていないため音程はあっていないのですが、味わいのある音色がぽろんぽろん・・・と響きます。こうやって鍵盤の前に座ってエルガーが作曲したのかと思うと胸がいっぱいになります。
△エルガーはこの部屋で生まれました。おもちゃのドラムは、楽器店を営んでいた父から幼いエルガー少年へ贈られたはじめての楽器です。
△そしてこちらが、エルガーのヴァイオリン!
△ウスターの街にあった楽器店The Elgar Brother’s Music Shop(関連☆)
△サイエンスにも興味があったエルガーは、少年時代さまざまな実験を試みていたそう。実験中にはちいさな爆発が起きて庭の納屋が壊れてしまったこともあったのだとか。
△自転車好きとしても知られるエルガー。自転車にのって大好きなサッカーチームの試合を観にスタジアムまで往復していたのだとか。エルガーにまつわる場所をめぐるエルガー・ルートも用意されていました。
△庭には自然の音を楽しむ仕掛けもいっぱい!
△併設のミュージアムでは、エルガーの人生を時代別に暮らした家の写真とともに振り返ります。
エルガー夫妻がロンドンで暮らしていた時代に、愛娘が生まれた家にはブループラークがあります。デザイン・ミュージアムから徒歩数分の場所(☆【英国のなかのロシア】デザイン・ミュージアムへの社会見学と高級デザイナーズ・マンション)
△偶然にわが家のご近所だったロンドン時代のエルガーの家Severn House(☆【英国のお気に入り】映画『ロンドン、人生はじめます』ロケ地とハムステッド散策 〜2〜)。新婚時代のエルガーとアリスはロンドンで居を転々とし、ケンジントンの家で長女のキャリスが生まれます。
△博物館スペースには、エルガーの書斎にあったゆかりの品がたくさん。
△晩年、ベッドの中でも作曲していたというエルガー。ベッドで横になりながら使う特製の譜面台。
△楽譜を書くためのペン類。五線譜を書くための熊手のようなペン、初めてみました!
△『愛の挨拶(Salut d’amour)』の楽譜・・・!もともとは音楽教師をしていたエルガーは、ピアノを教えていた女性キャロライン・アリス(Caroline Alice)と恋に落ちます。8歳も年下で当時は貧しい音楽教師だったエルガーとの身分の差から周囲に反対されながらも婚約することにになった際に、この曲を贈ったと言われています。お返しに、アリスはエルガーへ自作の詩のなかから『The Wind at Dawn』を贈りました。
世界中で愛されているエルガーの作品のなかでもよく知られている『愛の挨拶』。ヴァイオリンをはじめたばかりでまだきらきら星くらいしか弾くことができなかった息子が、ラジオから流れてきたメロディーを聞いてとても気に入り、耳だけで音を探して弾いたのがこの曲でした。音は間違いだらけで、でも一丁前のヴァイオリニストみたいな顔をして、一生懸命に『愛の挨拶』を弾いているビデオは私の宝物です。
・・・そんな思い出話をしていたら、受付のスタッフの方が息子にと『愛の挨拶』の楽譜をプレゼントしてくださいました。カルテット用なので、もしかして、いつか、愛する仲間たちとこの楽譜を使って演奏する日がくるかしら?なんて想像してしまいました。「10歳のときに暮らしていたイギリスで、エルガーの家博物館を訪れた際にいただいた大切な楽譜なんだよ」って、ここだけはちょっぴり自慢しちゃっても許してもらえるのではないでしょうか。
ちなみに、古い楽譜が山積みになっていて、ロシアの作曲家たちの楽譜もありました。
ウスターの街にも、エルガーゆかりの場所があると聞いて、足を伸ばしてみることに。