モスクワ通信『チャイコフスキーの家博物館』

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ロシア文化フェスティバルblog より)

いよいよ今年2019年6月、世界三大音楽コンクールのひとつに数えられるチャイコフスキー国際コンクールが開催されます。ロシアを代表する作曲家ピョートル・チャイコフスキー(Пётр Ильич Чайковский 1840-1893)の晩年の家は、モスクワ郊外クリンに国立の博物館として残っています。

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チケット売り場やお土産屋さん、企画展の展示室やコンサートホールなど各種施設の入った大きな建物の奥の敷地内に、チャイコフスキーが1892年5月から1893年10月まで過ごした家があります。

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△まずは2006年に作られた大きなチャイコフスキー像がお出迎え!夏には銅像の周りに、このミュージアムを訪れた著名人によって植樹された木を見ることができます。自然を愛したチャイコフスキーは最晩年をここクリンで過ごし、

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豊かな自然からインスピレーションを得て精力的に作曲を続けていました。作曲の合間には、こんな風に楽譜を手にベンチに腰かけたりして過ごしたのでしょうか・・・。

雪解けの時期・・・澄み渡る青空、白樺林に降り注ぐ春の陽光。鳥のさえずりが聞こえ、足元には若草が萌えています。そこにチャイコフスキーが暮らしていた頃のの雰囲気を残した区画があります。

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△1階の桃色の客間には、チャイコフスキーの大きなポートレートとともに記念の品が展示されています。階段を登ると、コートや杖を掛けておく玄関廊下があり、居間へとつづきます。

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△部屋の中央に置かれたБеккер(ベッカー)社のグランドピアノは、今もチャイコフスキーの命日や誕生日に演奏されています。チャイコフスキー国際コンクールの受賞者だけがこのチャイコフスキーの愛用していたピアノ鍵盤を奏でることができます。チャイコフスキーの音楽とともに楽しめるオーディオ・ガイドでは、イーゴリ・グリーシン演奏の『ノクターン』を聴くことができます。

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△読書は最高の祝福と考えていた読書家のチャイコフスキーの本棚。プーシキンやゴーゴリ、ツルゲーネフ、トルストイ、チェーホフなど文学作品から歴史や哲学、聖書、外国語の本など幅広い興味が伺えます。本のなかにはチャイコフスキーによる書き込みもそのまま残っているそう。モーツァルトやロシア正教の合唱曲集など楽譜の棚もありました。

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△部屋のなかは、家具の配置や写真の位置にいたるまですべてチャイコフスキーによるもので、生前と変わらぬ姿で残っているそうです。生涯独身で、このクリンのお屋敷にひとりで暮らしていたチャイコフスキーですが、愛する家族や親戚、友人や教え子たちの写真がたくさん飾られており、いつも家族に囲まれて過ごしていました。また、4000通もの手紙のコピーも保管されています。

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鏡台にかけられているミハイロフスキー・レースで縁取られた布は、チャイコフスキーの才能のファンだったフランス人女性エマ・ジェントンが作ったもので、チャイコフスキーはこの御礼に『センチメンタル・ワルツ』を作曲したのだそうです。名付け親から贈られたイコン『カザンの聖母』も飾られていました。

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△窓から美しいクリンの庭を臨むこの机で、交響曲第6番『悲愴』が完成しました。たった今、書き上げたばかりかのように楽譜が置かれていました。頭に浮かんだメロディーを書き写すのが難しいくらいだったと言われるチャイコフスキーですが、規則正しい生活を好み、毎日同じ時間に机に向かっていたそうです。「インスピレーションは、怠け者を尋ねるのは嫌いだ」という言葉も残されています。

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△手作りの麻のカーテンがかけられた食堂

建物は増築部分へと繋がっています。チャイコフスキーの死後、博物館として開館するために、モデストや甥のダヴィドフがこの部屋を使っていました。

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△劇作家だった弟モデストのこだわりの部屋

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△甥のダヴィドフの部屋。さまざまな絵や自分で描いた水彩画がかざられています。この甥はチャイコフスキーの大のお気に入りで、幼い彼に捧げる『子どものアルバム』という可愛らしい作品も作っています。

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△企画展では、チャイコフスキーの愛用の品とともにその人生の軌跡をたどることができました。

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△文通していたフォン・メック夫人やモスクワでの仕事ぶりなど

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△1891年1月にモスクワで友人たちと当時まだ目新しかった録音機に吹き込んで楽しむひとときが録音された音声も

「幸福の条件は、たくさんいい空気を吸い自然のなかを散歩して過ごすこと」そう考えていたチャイコフスキーにとって、偉大な作曲家として多忙なスケジュールをこなしていたモスクワから少し離れたここクリンは理想の場所だったのでしょう。

Музей П.И.Чайковского

https://tchaikovsky.house/

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