好奇心旺盛なあなたと一緒に『不思議の国のアリス』の世界へ・・・@V&A

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大好きなV&Aで『不思議の国のアリス』をテーマにした展覧会『Alice: Curiouser and Curiouser』開催中!イギリスとロシア、このふたつの不思議の国を探検して発信したルイス・キャロルは、わたしにとって特別な存在です。

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△いつものエントランスからぐるりと回って、建物の後ろからThe Sainsbury Galleryへ。チケットは大人20ポンド、会期は12月31日までです。

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△懐中時計を手に慌てている白うさぎを追いかけて暗い穴のなかに落ちていくアリスのよう!下へ下へ・・・

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△オックスフォード大学の数学の教授だったCharles Lutwidge Dodgson チャールズ・ドジソン(ペンネーム:Lewis Caroll ルイス・キャロル 1832−1898)。ロマンティックで物憂げな美しい横顔で本に目を落とす大好きなセルフ・ポートレートです(1857)。

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△会場にはところどころに白ウサギが隠れていて、不思議の国へと誘ってくれます。パンフレットも白ウサギの折り紙になっていました。

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△オックスフォード大学の同僚Henry Liddellの娘たち3姉妹(Alice, Edith and Lorina Liddell)と共にボートでテムズ川下り(Oxford→Godstowを楽しんでいたときに、面白いお話をせがまれて誕生したおはなしが『不思議の国のアリス』のもとになっています。The Golden Afternoon 1862年7月、初夏の午後のことでした。

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△写真愛好家でもあったキャロルが、アリスを撮影した一枚。

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△キャロルの自筆。1862年8月6日の日記の1ページで、大英図書館所蔵。

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好奇心を満たしてくれる素晴らしい展示室!今から150年以上も前、『不思議の国のアリス』が誕生した時代のイギリスについて(A Victorian Wonderland)、そしてキャロルの歩んだ人生について自筆の日記や絵、愛用品などの充実のコレクションは、さすがはこの作品が生まれたイギリス!!!

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△今は絶滅してしまったドードーがまだ存在していた「不思議の国のアリス」の世界。16世紀末にマダガスカル沖モーリシャスで発見された鳥ドードー。世界中の未知の動植物への興味が広がり、後に動物園や植物園の基礎となるような珍しい動植物を集めたコレクションや図鑑なども注目されていたようです。そんな流行を敏感に取り入れたキャロルの作品は、生きたドードーが登場する貴重な物語でもあります。

そして1865年に『不思議の国のアリス』初版本が出版されるまでの流れや、アリスが当時のカルチャーのアイコン的存在になり、人気に火がついてイギリスから世界に広まっていき、その国ならではアリスが現在まで私たちを魅了しつづけ愛されてつづけていることが、V&Aならではの五感に響く演出と切り口で展開していきます。

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大家族の長男だったルイス・キャロルは、自身の子供時代にも幼い兄弟姉妹たちを楽しませることが好きだったそうです。面白いお話を作って聞かせるのはもちろん、13歳のときにはこんな手作りのカード遊びWays and Meansも。なんて才能ある少年だったんでしょう・・・!『不思議の国のアリス』のモチーフとして代表的な、白うさぎがが持っている懐中時計ですが、ドジソン自身も兄弟姉妹の子どもたち、つまり姪や甥へのお祝いに懐中時計を贈る優しいおじさまだったそうです。

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△好奇心旺盛だったキャロルは、当時を反映したモチーフを物語に登場させています。1816年にスコットランドのDavid Brewsterによって発明されたカレイドスコープ(万華鏡)、キャロルも使用していた当時のカメラ、1851年第1回ロンドン万博の会場は、ロンドンのハイドパークに建てられ、クリスタルパレス(水晶宮)と呼ばれました。 1830年代にThe Duchess of Bedfordがイギリス伝統の“アフタヌーンティー”のスタイルをもたらしました。『不思議の国のアリス』にもMad Tea-Partyのシーンに取り入れられていますね。

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△1863年、これまでアリスのために個人的にまとめていたこのお話と絵を出版することを決意。ルイス・キャロルというペンネームをつくり(ファーストネームとミドルネームのラテン語バージョンからもじったようです。Charles→ Carulus、 Lutwidge→Ludovic)。キャロル自身による挿絵のイメージを描いた絵。出版社のAlexander MacmillanとイラストレーターのJphn Tenniel、木版画家 the Dalziel Brithersとともに、子どもから大人まで魅了するような完璧な世界感を表現する1冊を目指しました。

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△John Tennielによる挿絵。この絵の素晴らしさも、『不思議の国のアリス』の世界に欠かせない要素のひとつです。

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△鏡を抜けていく大好きなシーン!少女時代に何度も繰り返し読んだ本にも、この挿絵がありました。

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△テニエルの挿絵が付いたチェスボード!

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△1890年、キャロルによって幼い子どもたち用に書かれた『不思議の国のアリス』カラー印刷用に、テニエルもいくつか改めて描いたようですアリスのドレスが黄色ですね!

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少女アリスは美しい女性へと成長していき、キャロルとも文通をしたりと連絡を取り続けていました。アリスとロイタルファミリーとの縁を願っていたふしのあるアリスの母を、キャロルはThe King-fisherなんて呼んでいたようですが、実際ヴィクトリア女王の一番末っ子の息子レオポルド王子(Prince Leopold, Duke of Albany)はオックスフォード大時代にアリスに好意を抱いていたと噂されています。

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真意のほどは今も謎のままですが、親しかった二人を示すエピソードとして、1883年にアリスはレオポルド王子に手紙を書いて、愛する息子のレオポルド(!)のゴッドファーザーになって欲しいと依頼し、王子がそれを承諾しています。

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△1933年日本版の『不思議の国のアリス』も。実に170か国語以上に翻訳され、現在まで読み継がれています。

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△1983年日本アニメ版の『不思議の国のアリス』。2011年日本アニメや、ソ連版Ефрем Аврамович Пружанскийによるアニメ作品なども紹介されていました。(動画はこちら☆BIRD FESTA ON LIVE 2021!今年のテーマは鳥の羽ばたき

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△『不思議の国のアリス』といえばディズニーアニメ版を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。テニエル挿絵の小説も、ディズニーアニメも少女時代に何度も楽しんだ思い出の作品です。国ごとに顔や表情、雰囲気が異なって、とっても楽しい!

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さまざまなアーティストが描いた『不思議の国のアリス』の世界・・・なかでも今回の展覧会で初めてみたのが、サルヴァドール・ダリの『不思議の国のアリス』!!

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△味わう『不思議の国のアリス』本のなかのワンシーンに飛び込んで、たとえばハートの女王とのクロッケーみたいにはりねずみを遠くに投げたり、お花に色付けをしたり・・・最近、展覧会で増えましたね!

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△ロシアの演劇での『不思議の国のアリス』は、タガンカ劇場よりセルゲイ・フォーミン『Run, Alice, Run』。アリスのドレスはさまざまな色で描かれていますが、ここでは赤!衣装デザインは、Maria Tregubova。

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△日本のゴスロリファッションのなかの『不思議の国のアリス』

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△『不思議の国のアリス』にインスパイアされた日本の漫画も紹介されていました。

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△素敵なクリスマスカードや来年2022年カレンダーもたくさん!V&Aの日本モチーフはとても人気があります。

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さて、ルイス・キャロルは、『不思議の国のアリス』を出版後、人生で初めて、そして唯一、外国を旅します。その国とはどこだったでしょうか?正解は、ロシア、なんです。キャロルはその旅行記もまとめています(☆【ロシアナの本棚】不思議の国ルイス・キャロルのロシア旅行記)。イギリスとロシア、このふたつの国を探検して発信したキャロルと、好奇心いっぱいに不思議の国を歩くアリスは、いつも私の心のなかにいる特別な存在です。

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