新型コロナウイルスのロシアにおける感染者数は、いまだピークを迎えることなく増加しています。当初からかなり厳しい外出制限で早期終息を図ったロシアでしたが、なかなかその効果は表れず、国民からは少しずつ不安とストレスの声も上がり始めています。
2020年3月は、外出制限が始まり、テレワークやオンライン授業に切り替わり、ロシア人が予防のためにマスク&手袋を装着しはじめ・・・と市民生活が大きく変わりましたが(【モスクワの新型コロナウイルス対策】モスクワの日常が非日常になった3月!非日常だったロシア人のマスク姿は日常へ・・・そして手袋も!)、4月はステイホームが続きました。5月連休までのモスクワ生活を振り返ってみます。
△4月13日月曜日から外出制限がより厳しくなり、仕事等で毎日通勤する必要のある人は電子許可書を申請。それ以外の人(14歳までは不要)は、車や公共交通機関での移動が必要な際に許可書を取得の上、週に2回までに制限されました。これまで通り、徒歩で最寄りのスーパーや薬局、ゴミ捨て、ペットの散歩へ出かけることはできますが、導入前の週末は、来週からの一層厳しい外出制限に備えて買い出しに出かけるロシア人も多く「家はどこか?パスポートを所持しているか?」などあちらこちらで職務質問を受けている人を見かけました。
そして許可書が導入された13日朝は、メトロの入り口などで許可書を所持しているかチェックするための大渋滞が発生し、かえって感染拡大を招く可能性が指摘されます。その結果、翌日からは全員対象のチェックはなくなりました・・・
△街では、春夏によく見かける散水車に加え、消毒液を散布する車も。(【モスクワの街角】夏にみかける散水車&清掃車、そして噴水車!?)建物内でもこまめに消毒が実施されているようでいつも消毒液の匂いがします。
△3月は売り切れが続いていた消毒ジェルや使い捨てのマスク&手袋も店頭に並びはじめました(4月20日、マスク1箱50枚入りで2999ルーブル)。
△3月には人が集まるスーパーマーケットなどでソーシャル・ディスタンシングを呼びかけるお知らせが掲示されたり、レジ前にラインが引かれたりしましたが、4月にはあらゆる場所で徹底されるようになり、出入り口のアルコール消毒の設置なども増えてきました。パン屋さんはパンで!?ソーシャル・ディスタンシング!こんな時もユーモアを忘れないロシア人。
△外出制限の続くロシアの状況(放映時、感染者数2万4490人)として、モスクワの日本人学校の様子が日本のニュース(日本テレビ『news every.』)で特集されたりもしました。お友達に会えない寂しさ、また受験生にとっては勉強の悩みも尽きませんね。
△そんななか、4月18日から19日にかけての夜には、キリスト教のイースターにあたるロシア正教のパスハを迎え、信者たちは今年は自宅でこの日を祝いました。☆【ロシアの新型コロナウイルス対策】【ロシア正教】パスハ 2020
△5月初旬は、ロシアも大型連休。1日『春と労働の日』、週末を挟んで4、5日が新年休暇の振替休日、9日『戦勝記念日』、週あけ11日が振替休日。6、7、8日は有給の非労働日になっているため12連休です。外出制限の大型連休なんて生まれて初めて。いつもより車も人も少ないトヴェルスカヤ通り。2、3人の乗客を乗せたバスが時折やってきます。いつもはチームで作業している清掃員さんも一人。
△普段は人気でなかなか乗ることができないマヤコフスカヤ駅前のブランコも、今は誰も乗ることができず寂しく風に揺れています。(【モスクワの街角】マヤコフスカヤ駅前 2017 〜ブランコとマヤーク・スタジオ〜)
△コンサートホールのポスターも”自宅で“楽しむシーズンであることをPR。(モスクワ音楽院やボリショイ劇場をはじめ、公演のオンライン配信は継続中で、美術館や博物館でもHP上での館内ツアーやSNSを利用した新たな取り組みが始まっています(関連☆【ロシアの新型コロナ対策】自宅で楽しめるロシア!〜まとめ〜)
営業している建物は・・・銀行、郵便局、薬局、ガソリンスタンド、携帯電話&PCショップ、スーパーマーケットや食材店、パン屋、チョコレートショップ(【ロシアのチョコレート】ロシアを代表するお土産アリョンカのショップ&カフェ)、ホームセンター(都心のちょっと便利なホームセンター «МОСХОЗТОРГ» モスホズトルク)もは開いていました。
△左は銀行。5月9日戦勝記念日を前にゲオルギーのリボンでデコレーションされていました(【モスクワの街角】スターリン建築・・・風?)。右は郵便局。局内で密集しないように、番号札を持って外で待つ人々。
△レストラン&カフェは宅配のみで営業中。(【モスクワの流行】日本はウーバーイーツ流行中!ロシアは徒歩で!?フードデリバリー)
△店員さんもお客さんもマスクに手袋姿。
△年配の方へ食料品や薬を届けるなどボランティアも。コロナ最前線で激務にあたる医療従事者の方々へ、マクドナルドなど飲食店が無償で食事のデリバリーを始め、ホテルでも近くの病院の医療従事者が休憩出来るようにと部屋を無償で提供。さらに賛同した市民からの寄付も集まっているそうです。医療従事者への感謝とステイホームを呼びかけるコンサートも話題になりました。(【ロシアの新型コロナ対策】【ボリショイ劇場】今晩17時!豪華出演陣によるコンサートМЫ ВМЕСТЕ生中継)
△5月9日戦勝記念日は、大規模な式典&パレードは延期されたものの、航空パレードと夜の花火を見ることができました。
△ロシアの学校ではオンラインへの切り替わりが驚くほどスムーズでした。はじめの1週間は環境を整えたり慣れない作業に時間を取られましたが、子どもたちはあっという間にパソコンを使いこなし、先生たちは工夫した授業でフォローしてくださって頭が下がります。自身のYouTubeチャンネルを開設して授業を進める先生も多く、本の読み聞かせをしている途中で、家族が顔を出したり、飼い猫が横切ったりして・・・自宅ならではのワンシーンには心が和みます。音楽学校でも、Zoomでのレッスンや試験、そしてアンサンブルでは、戦勝記念日やパスハなどテーマに合わせた作品や、正装ver.やパジャマver.などみんなで笑って元気になれる作品が誕生しています。もちろん学校で一緒に勉強したり遊んだり演奏したりする時間にはかえがたいのですが・・・
どうしても必然的にPCの前にいる時間が長くなってしまうので、縄跳び、ストレッチ、YouTubeでダンスや瞑想・・・心と身体の体力維持が課題です。あとは、外出禁止が1ヶ月以上になると、散髪やカラーリングで困っていらっしゃる方も多いようです。
△子ども向けTV番組の合間には、手洗いを呼びかけるエニメーションが流れます。
△11日現在、ロシア最大手検索サイトЯндексのコロナ関連情報では、感染者数221,344人(昨日から+11,656人)。ロシアでは検査は比較的スムーズに受けられるようで、また複数回の検査を受けている患者さんも多いためか検査数は5,636,763となっています。感染者数や検査数が多い一方で、死亡者数は2,009人とかなり少ないのも特徴です。ミシュスチン首相をはじめ閣僚の感染が公表されたり、新しい病院の建設、行列を作っている救急車の映像などがニュースになっていました。
4月24日には「感染症危険情報」でロシアが渡航中止を勧告するレベル3に引き上げられました。5月7日に、日本からロシアへのアエロフロート機チャーター便は、東京からウラジオストク 、サンクトペテルブルク、モスクワと各都市を経由して約1日がかりで到着。一方、ロシアから日本へのJALチャーター便は、5月11日と13日に予定されています。(【モスクワの交通事情】翼をください!飛行機&空港の関連ブログまとめ 2019)
△明日5月12日からは公共交通機関やショッピングセンターなどで手袋とマスクの装着が義務化されていくようです。感染者の集中するモスクワでは、外出制限は31日まで続きますが、ロシア国内では緩和・解除される地域も出てくるようで、今後の経済活動の再開に伴って感染者が急増したり状況の悪化につながらないことを願うばかりです。
△市内数カ所の地下鉄駅構内の自動販売機でも、マスク、手袋、マスク&手袋セットの販売が始まりました。こちらはマヤコフスカヤ駅。日本でも自動販売機で飲み物とセットの“冷やしマスク”が販売されて話題になっているようですね。
△マスク30ルーブル。(キンキンに冷えた飲み物のような冷たさは感じませんでしたが、自販機はチョコレートが溶けない程度の温度に保たれているようです。)
△地下鉄の切符売り場
4月後半になるとモスクワの植物園では早咲きの桜の便りが、明け方には美しい夜鳴き鶯の声も聞こえてきます。5月に入り20度を越す初夏のような暑さにベランダで日向ぼっこしながらビールを飲む人を見かけるかと思うと黒雲が広がり嵐のような夕立があったり、燃えるような夕焼けが広がったり、夜は1桁台まで冷えたり・・・と変わりやすいお天気です。
モスクワの春を感じる関連ブログはこちら
☆【ロシア文化フェスBlog】モスクワ通信『日本庭園の桜、満開!』
☆【ロシアのなかの日本】桜!桜ではない!?春の植物園 2019
☆【ロシアのお菓子】春を味わう!ロシアの桜 Черёмухаのケーキ
ステイホームの毎日でも、街路樹の草木の萌える緑に、日が長く陽射しが強くなっていく空に、季節が巡っていることを感じます。