【ロシア文化フェスBlog】ロシア大使館でNew Year Ballet Gala Consert & Party その2

2015-01-21

(ロシア文化フェスティバルblogより)

さて、ガラコンサートが開催されたロシア大使館大ホールからつづくホワイエでは、バレエに関する特別展示もありました。なかでも目を引くのは、ダンサーとして、そして画家としても素晴らしい才能を持つマラト・シェミウノフさんの粘土作品です。ミハイロフスキー劇場の来日30周年を記念して創られた作品も展示されました。

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△右端上にあるイリーナとマラトのサイン。その横の金色に輝く部分は、マラトの手の指形になっているそうです。

マラト「レニングラード国立バレエ(現在のミハイロフスキー劇場)としての初来日は船でした。ですから、日本を象徴する富士山のところに、ロシアの国旗を掲げた船があしらわれています。この大切な富士山の部分は、実は妻のイリーナ・ペレンが手がけました。周りの部分には、私たちだけでなく、世界的ダンサーで私たちのバレエ団の芸術顧問であるファルフ・ルジマトフ、ミハイロフスキー劇場の仲間や、日本で招聘してくださる光藍社の皆様など、わたしたちの日本の友人たちのサインでいっぱいです。ミハイロフスキー劇場と日本の皆様との30年の交流の歴史そのものなのです。」

ほかにも、『フィギュアスケート』『ひまわり』など独創的な粘土作品が並びます。マラトの芸術家としての知られざるもうひとつの顔にバレエファンは大喜び。

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また、ホワイエのもう一角には、鎌倉に日本初のバレエ・スタジオを設立したエリアナ・パヴロワ関連の貴重な展示を見ることが出来ました。

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そして、ロシアでも使われている干支の未の小物や大使館の子供たちによる歌と踊りのアンサンブル“ロシヤンカ“CDなどを含むロシア雑貨の販売や、

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イリーナとマラトが使用したシューズなどファン垂涎の特別品チャリティオークションもあり、直筆サイン入りで手渡されました。

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さらに中ホールには大使館料理人による豪華なロシア料理が用意され、

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コンサートの後にはイリーナ・ペレン&マラト・シェミウノフをはじめロシアの芸術家たちを囲んでにぎやかなパーティが催されました。

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主催の川島佳子さんにお話を伺いました。

川島「マラトとの出逢いは、実はロシア文化フェスティバルIN JAPANのクロージングパーティーでした。上野の東京文化会館ですらりと背の高い男性が自分の絵の展覧会の案内状をくれたんです。それが、イリーナ・ペレンの夫でもあるマラト・シェミウノフだなんて、そのときは全く知りませんでした。それから少しずつ交流が始まり、来日するたびに絵の展覧会の案内状をもらったりしていたので、もともとは彼の絵の展示会を一緒に出来たらいいねと話していたんです。毎年ロシア文化フェスティバルIN JAPANの企画を練るのですが、昨年2014年夏のプログラムとして、初めて彼のバレエのツアーをオーガナイズすることになりました。群馬、名古屋、東京と20日間にわたるツアー期間は、もちろん大変なこともたくさんありましたが、だからこそその困難をともに乗り越えて、私たちには家族のような絆がうまれました。その公演にはアファナシエフ駐日ロシア大使も来てくださり、年末にミハイロフスキーバレエ公演で再び来日するのにあわせて、ぜひロシア大使館でもお正月らしいスペシャルなコンサートをしましょうということになり、今日に至りました。」

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△イリーナ・ペレンさん(右)と川島佳子さん(左)

「昨年の公演にも“ロシアの芸術美“というタイトルをつけたのですが、今日はなによりも二人の類いまれなるエレガントさが、シャンデリアきらめくゴージャスなロシア大使館ホールに映えていました。二人はどんな公演でも常にエネルギッシュでプロフェッショナルな意識が高いダンサーです。また温かな心の持ち主で、日本の若い世代のダンサーと共演したり、ワークショップを開催してくれました。イリーナは現在、小さな子供を持つ母親でもありますから、マラトは体調面でも非常によく気遣っていて、良き旦那様であり父親であり、そして最高のアーティストです!今日のコンサートと展示でもお分かり頂けると思いますが、バレエはもちろん、これまでのパフォーマンスや絵画、粘土ワークなどすべてが彼の生き方に重なり合って、マラトという魅力ある人間を創りあげているのだと感じています。今年夏にも公演を予定しておりますのでどうぞご期待ください!」

最後に、アファナシエフ駐日ロシア大使のこの言葉で、会場がひとつとなり、高らかに乾杯が行われました。

「ロシアと言えばアグレッシブなイメージをお持ちの方も多いと思いますが、バレエや音楽、素晴らしいロシアの文化芸術は、ロシアの心の軸であり、これなしではロシア人をイメージすることは出来ないともいえるものです。ロシアの心は隣国の日本の皆様にとても親しみをもてるものだ確信しております。交流をつづけ、この関係を一緒に育てたりして、仲良くしてまいりましょう!」

【ロシア文化フェスBlog】ロシア大使館でNew Year Ballet Gala Consert & Party その1

(ロシア文化フェスティバルblogより)

ロシアでは1月1日の新年に加え、ロシア正教のクリスマスを7日に、そして旧暦のお正月を祝います。今年2015年の旧正月にあたる1月14日、ミハイロフスキー劇場プリンシパルダンサーのイリーナ・ペレン&マラト・シェミウノフを迎え新春 チャリティー ガラ コンサートが開催されました。ロシア人と日本人が集まって華やかに新年をお祝いしました。

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会場となったのは、東京タワーを背景にロシア国旗がはためくロシア大使館。

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日本ではクリスマスツリーですが、ロシアでは新年をお祝いするために飾られるもみの木が美しく飾られたエントランス。

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彫刻家ズラフ・ツェレテリ作のステンドグラス『旗』に彩られた大階段を登り、絢爛豪華なシャンデリアがきらめく大レセプションホールへ。正面には同じくツェレテリによるモスクワの街を俯瞰した銅版画『首都モスクワ、我がモスクワ』が圧倒的な存在感で広がっています。

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新しい一年のはじまりに、そして、これからはじまる世にも稀なバレエ公演への期待感に、会場の熱気が最高潮に達したとき、アファナシエフ駐日ロシア大使の挨拶、つづいて主催のちきゅう市民クラブの千代鳥モーミンウッデイン会長と川島佳子副会長からの挨拶でコンサートは幕を開けました。

まずは私たちの未来のスターをご紹介しましょう!と大使に紹介されて登場した大使館の高校生オリガ・ロマノワさんが、ピアノと歌の贈り物を数曲。

つづいて、現在日本を拠点に活躍していらっしゃるロシア人アーティストを代表し、元マリインスキー劇場ピアニストのユーリー・コジェバートフさんと元国立プリモールスキー・フィルハーモニー専属ソリストのメゾ・ソプラノ、ワレンチナ・パンチェンコさんによる演奏で、ドゥナエフスキー『乾杯の歌』『初恋』。今年10回目を迎えるロシア文化フェスティバルIN JAPANでも、これまで数々のステージを披露しているお二人の息はぴったり。

そして、ピアノと歌から流れるように、ミハイロフスキー劇場マリア・シェスタコーヴァのヴァイオリンが加わり、グルック『メロディ』の旋律に誘われ、ホールの客席中央を通ってシャンデリアのなかをぬって泳ぐようにリフトで登場したイリーナ・ペレンとマラト・シェミウノフに、会場は息をのみ、そして歓声が沸き起こります。

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ミハイロフスキー劇場の大舞台で多くのダンサーを率い、また日本公演でもこれまで数えられないほどの感動を与えてきた二人が、同じ空間のなかで、すぐ目の前で、繰り広げる世界に包み込まれてしまうような、そんな世にも贅沢な感覚に観客はうっとりと酔いしれます。

ヴァイオリンピアノによるスヴィリドフ『ロマンス』、チャイコフスキー『ロマンス』につづいては、イリーナ・ペレンによる『白鳥の湖よりロシアの踊り』。赤い民族衣装を身につけ、愛する祖国への想いを重ねてロシア人は惜しみない盛大な拍手を贈り、ロシアの芸術美に涙する日本人も。

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ロシアが世界に誇るトップバレエダンサーの踊りを目の間にするその臨場感といったら・・・!入退出時も拍手する手が届いてしまいそうです。

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かつて宮中で披露されたバレエを鑑賞する皇帝になったかの贅沢さ。今の世の中では、一生に一度あるかないか機会かもしれません。

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ピアノソロでチャイコフスキー『四季より10月、11月、12月』、ピアノと歌でチャイコフスキー『ただ憧れを知る者だけが』ルビンシテイン作曲プーシキン詩『夜』そして再びピアノでラフマニノフ作曲『幻想的小作品集 Op32番 前奏曲 嬰ハ短調』をはさみ、最後のバレエは、ラフマニノフ『春の水』でした。

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〜野原はまだ雪に覆われているが 春の水は もうざわめいている

眠たそうな岸辺を流れて 流れ、きらめき、そして歌う

彼らはあちこちでこんな風に歌っているのだ

「春が来たよ 春が来たよ! ぼくたちは若い春のメッセンジャーなんだ

春がぼくらを先に寄こしたんだ 春が来たよ 春が来たよ!」

そして静かで暖かい5月の日に赤く輝く踊りの中に

春につき従ってみな陽気に群がるのだ〜

パンフレットには詩人であり外交官でもあったチュッチェフの詩『春の水』が添えられていました。長く厳しい冬を過ごし、万感の思いを胸に春を待つロシアの魂が表現され、集まった人々の心に春の水を吸い込んで可憐に力強く雪の下からのぞく待雪草の花が咲いたようでした。こういう瞬間こそが、両国の間にもきっと春の水を注ぎ込んでくれるのだと、ロシア文化フェスティバルIN JAPANのプログラムに足を運ぶと感じるのです。

イリーナ「今日のプログラムをご覧頂いて気づかれた方はいらっしゃるでしょうか?1曲目は白い衣装、2曲目は赤い衣装、3曲目は青い衣装・・・そう、ロシア国旗になっているんです!ロシアバレエを代表して皆様の前で踊ることが出来て本当に光栄ですし幸せに思います。これまで何度も来日公演をしてきましたが、大使館で踊るのは初めての経験でした。高い質のコンサートになり、またお客様が温かく迎えてくださり、お祝いムード満点でした」

(その2につづく)

【今日のロシア】NHKアーカイブス アンコール「よみがえるロシア芸術の輝き」

これまで放送された番組のなかから反響の大きかったものやリクエストの多いものをピックアップして再放送するNHKアーカイブスにて、「よみがえる芸術の輝き」と題して4作品が放送されます。(詳細は公式サイトへ。)

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「ハイビジョンスペシャル サンクトペテルブルク 音楽の都300年の物語~ゲルギエフとたどる栄光と苦難」

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「ハイビジョンスペシャル トルストイの大地 ~辻井喬のロシア・ユートピア巡礼~」

現代はすべてのユートピア思想が力を失ったのではないかと考える作家の辻井喬さんが、国家も教会も、軍隊も戦争も否定したロシアの文豪トルストイの後半生の思想が、これからの未来を描く手がかりになるのではと考え、ロシアを巡ります。トルストイがその生涯のほとんどを過ごしたヤースナヤ・パリャーナ(森のなかにひらけた明るい大地という意)では、農民の子どもに教育をあたえるために書かれたАзбука、“人は何のために生きるのか“を模索しつづけ何度も推敲を重ねたトルストイの自筆原稿とソフィアが清書した原稿、悪に対して憎しみで返しては行けないという無抵抗思想を大切にする『ヤースナヤポリャーナ子どもの家』に小さな楽園をみつけます。また、トルストイのユートピア思想を受け継ぎ実践したトルストイアンたちのコミューン“生活と労働“、トルストイに大きな影響を受けたキリスト教徒“ドゥホボール“たちが作ったトルストイ村。神ではなく自分のうちにある、神父や教会でなく直接自分の言葉で祈る彼らを救うために書かれたという最期の作品『復活』。トレチャコフ美術館でみることが出来るレーピンが描いた『畑を耕すトルストイ』、東の果てにあるというユートピアに夢を馳せたシーシキン『樫林の雨』など手がかりになるモチーフとともに、デカブリストに憧れていたという辻井喬さんの詩『吟遊詩人』も紹介されます。

 

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「ハイビジョンスペシャル 氷上のふたり ~ロシア・フィギュア 愛と挑戦の物語~」

フィギュアスケート大国ロシア。現在もロシアのペア代表として日本人の川口悠子&ロシア人のアレクサンドル・スミルノフ組が活躍していますが、ペアを組むことの難しさやそれを乗り越えて輝くペア競技の素晴らしさが描かれています。

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ハイビジョンスペシャル 知られざるロシア・アバンギャルドの遺産 ~スターリン弾圧を生き延びた名画~

スタジオゲストも務める亀山郁夫先生が、ウズベキスタンの砂漠の果てのオアシスにあるイーゴリ・サヴィツキー記念カラカルパクスタン共和国国立美術館を訪ね、イーゴリ・サヴィツキーが命を懸けて蒐集した1920年代~30年代のロシア・アヴァンギャルド秘蔵コレクションに出逢います。芸術が貴族のものから民衆のものとなり、新しい表現を求めって一気に花開いたアヴァンギャルド期。亡命したシャガールやカンディンスキーが西洋美術史に名を残した一方で、国内にとどまった画家たちは、スターリンによって社会主義リアリズムへ追い込まれ、それに当てはまらないものは危険思想と見なされて粛清の対象となり、世に知られることもなく悲劇的な運命を辿りました。しかし、その作品が、サヴィツキーの芸術を救いたいという情熱によって密かに残されていました。今も、ソ連美術史の空白を埋める作品が眠っています。

キャンバスの裏表に描かれた、いわゆる“二枚舌“の作品や、ヴォロバーヤが強制収容所での生活を描いた作品など、危険な芸術作品がどのように生き延び蒐集されたのか、そして、どのように交渉して資金を得ていたのか。不思議な魅力を持っていたというサヴィツキーと芸術家たちの隠された人脈も明らかになります。

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△指ばかりかこちらの心まで痛々しいほどの青に染めてゆく代表作「染め物職人」のエレーナ・コロヴァイ。詩的情緒に溢れた作品同様、彼女の日記の言葉のなんと美しいこと!娘との貧しい屋根裏部屋暮らしのなかで、母の愛情がつまったユーモラスな仮面、そしてサヴィツキーの最期を看取ったのはコロヴァイの娘でした。

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△クルジンの『資本家』には、なんと収容所での資料から下半分があることが明らかになります!全貌が明らかになり、誰によって何故カットされたのか・・・謎が深まります。芸術の敵と呼んで競い合っていた同世代のライバル、ヴォロコフとの友情も忘れられません、

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△見るものを捉え目をそらすことのできない強い印象を与える『雄牛』を描いたルイセンコは、名前以外何も分かっていません。彼の他の傑作も隠された状態のままこの美術館に残されていますが、たったひとりの修復士では修復が追いつかず、また経営難によって夏50度・冬マイナス30度の過酷な環境では満足に絵を保存管理できない状況にあります。