日が長くなり、生き生きと緑が生い茂って夜鳴きウグイスの声が響き始める初夏。どこからともなく妖しく甘やかな香りが漂ってきます。白色から紫色へのグラデーションが美しいライラック(Сирень)の花がモスクワの街を彩り、そよ風に吹かれて輝く白樺の葉と爽やかに踊ったり、宵闇に溶けて幻想的に映えたり・・・モスクワの最も美しい季節のひとつです。
△ボリショイ劇場前もライラック満開!
△ラフマニノフ作曲『ライラック(Сирень)』は、ロシア文化フェスティバルのコンサートでも人気のある曲。こちらは貴重なラフマニノフ自身の演奏です。
ラフマニノフの故郷イワノヴォの家の周りもライラックの美しい場所で、ラフマニノフの人生を描いたパーヴェル・ルンギン監督の映画『ラフマニノフ ある愛の調べ(原題はВетка сирени(ライラックの枝)』でもライラックの花は重要なモチーフになっていました。
△こちらはラフマニノフ作曲エカテリーナ・ベケトワ作詞のロシア歌曲『ライラック(Сирень)』エレーナ・オブラスツォワの歌声でどうぞ。
ロシアの芸術家たちを魅了するライラックは、音楽だけでなく絵画にも描かれています。
△ボリス・クストージエフ『ライラック』
△ミハイル・ヴルーベリ『ライラック』
△この季節にぴったり!ライラックが描かれたショップバックやポスター。
△ロシアの老舗香水専門店ノーヴァヤ・ザリャー(Новая Заря 新しい夜明け)のライラックの香りシリーズ
△スーパーマーケットの5月号冊子の特集は、卒業式。9月に入学式&新学期がはじまるロシアの学校では、ちょうど年度末を迎えています。入学式では最初の鐘を鳴らす儀式があるのですが、卒業式なので最後の鐘の音と書かれています。卒業式を祝うおすすめのケーキと一緒に満開のライラック。
ところでライラックの花びらは4枚ですが、“もし5枚の花びらを見つけたらその花を食べると幸せになれる”という言い伝えがロシアににはあるそうです。「え!?食べるの!?」と驚く私に友人が一言「幸せのためならね。」・・・四葉のクローバー伝説にもすこし似ていますね。
ライラックの花びらを味わってみたいというあなたにはこちら。
△ロシアの昔ながらのお菓子パスチラのお店では、この時期限定!ライラックの花の砂糖漬けが飾られたパスチラも購入できます。( 過去関連ブログ☆モスクワ通信『乙女心をくすぐる町コロムナ ドストエフスキーも愛したお菓子!パスチラ博物館』)
△春の花いっぱいのマトリョーシカのように、ライラックの花束を抱えている方も見かけます。
見て聴いて、香りや味で、手で触れて心で感じて・・・まさに五感で楽しめるロシアのライラック!5枚目の花びらを探しながら初夏のライラック散歩に出かけたいものです。