ある古いロシア民話では、美しいお姫様が、求婚してきた男性たちに「鳥のミルクを持ってきてくれたらあなたの妻になりましょう」と難題を出して困らせたとか・・・。
ロシアには、この世には存在しない“鳥のミルク”ほど美味しいというスイーツがあります。
メレンゲとコンデンスミルクで作られた白くふんわりしたスフレとチョコレートが層になり、口に入れると舌のうえで、スフレとチョコレートがとろりとひとつになって、どこまでも甘さが広がっていきます。
考案したのは、モスクワの有名レストラン“プラハ”のパティシエであるウラジーミル・グラルニク氏。
ケーキ状の大きなサイズと、それを1人分にカットしたサイズを、その日に作ったものだけ販売してきました。
今では、スフレの周りを薄くチョコレートでコーティングしたひとくちサイズの手軽なお菓子として“鳥のミルク”は、スーパーやお土産やさんでも売られています。外国からのさまざまな輸入菓子も増えたロシアですが、それでもやっぱり特別な日のレストラン“プラハ”製 鳥のミルク!は、ロシア人の笑顔までとろけさせます。
かつては高級品だったお砂糖を、たっぷりと気前よく贅沢に使用して作ったからこそ、なお一層特別だったこのスイーツ。
ときに、ずいぶんと甘さ控えめに慣れてしまった現代の日本人の舌には、この世には存在しないほど甘く感じられることも・・・。