“クリミアの天使“フローレンス・ナイチンゲール博物館ともうひとりの天使マリア・シーコール

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新型コロナウイルスの犠牲者に捧げる手描きのハートで埋め尽くされたメモリアル・ウォール(☆【新型コロナ】ハートで埋め尽くされた犠牲者に捧げるメモリアル・ウォール)。テムズ川にかかるウエストミンスター橋から眺めるとそのメモリアル・ウォールの奥には、ボリス・ジョンソン首相が新型コロナウイルスに感染した際に入院したSt Thomas’ Hospital(セント・トーマス病院)が見えます。この病院の敷地内にあるのがフローレンス・ナイチンゲール博物館。ちょうど息子も歴史の授業でナイチンゲールについてのエッセイが夏休み前の試験範囲になっていました。

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フローレンス・ナイチンゲール(Florence Nightingale)は裕福な家庭に生まれ何不自由ない暮らしを送っていましたが、とても敬虔なキリスト教徒で神の声に導かれ、看護の道を目指すようになります。ドイツ留学を経て、クリミア戦争では自ら志願して38名の看護婦を率いて従軍看護婦として従軍しました。女性が職業を持つことはもちろん、職業に生涯を捧げることも珍しかった時代に、不衛生だった病院を抜本的に改革し、戦争後も聖トーマス病院内にナイチンゲール看護学校を作ったり、看護についての本を執筆するなど尽くし女性として初めて勲章を授与されました。

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△クリミアで摘んで押し花にした野花、ロシア兵の残したイコン入れなど。クリミア戦争は、ロシアとオスマン帝国が、バルカン半島の支配をめぐって対立したことをきっかけに、1853年から1856年、クリミア半島を舞台にして、トルコ、フランス、イギリスを中心とした同盟軍とロシアが戦いました。

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△夜間もランプを手に、傷病兵たちを見回ったというナイチンゲールは“ランプの貴婦人”とも呼ばれました。ナイチンゲールが近づいてくるだけで、安らかに眠ることが出来たと言われています。

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△ナイチンゲールがアテネのパルテノン神殿を訪問した際にフクロウの雛を助け、“アテナ”と名付けてペットとして飼うようになり、よくなついてそれはかわいがっていたのだそう。クリミア戦争従軍のために出発する直前に不幸にも亡くなってしまい、悲しみに暮れたナイチンゲールはアテナを剥製にして生涯そばに置いていたのだそう。

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ナイチンゲールの伝記は世界中で読まれておりその名はよく知られています。看護についての著書も世界各国に翻訳されており、ちろん日本語もありました。

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△ナイチンゲールが晩年を過ごした最後の寝室が再現されていました。ベッドサイドの美しい屏風は和風に見えます。

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△現存するナイチンゲールの写真のなかで最後の1枚と考えられているものも、この寝室で撮影されました。愛する小物に囲まれた穏やかな空間・・・

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△蓄音器からナイチンゲールの肉声を聞くことができたり、小箱をあけて好きだったというホワイトローズとジャスミンの香水を嗅いだり・・・

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△クリミア戦争の間にスクタリ病院の傷病兵たちのためにナイチンゲールがロンドンのF&Mにオーダーしたというbeef teaは、スプーン1杯にお湯を加えるだけでビーフブイヨンのスープに。今でもお店で購入できるそうです。

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△時間制でお芝居も楽しむことができます。この日はタイムスリップしてメアリー・シーコール(Mary Seacole)というもうひとりの看護婦の生涯が紹介されました。カリブ海の島国ジャマイカで、スコットランド人の父とジャマイカ人の母のもとに生まれたメアリーは、幼い頃から薬草やスパイスを用いた伝統療法を母から受け継ぎ、当時大流行していた恐ろしい死の病コレラに効く薬で多くの人を救いました。クリミア戦争へ向かうナイチンゲール率いる看護団に応募するも叶わず、資金を集めて自らの病院を設立して(ナイチンゲールのスクタリ病院よりも川を挟んでさらに前線近くにあったそう)多くの軍人のケアにあたったそうです。客席をまきこんでの楽しいお芝居で、陽気で意思が強く皆に好かれたというメアリーらしく芯があって温かく包み込むような歌声にもすっかり惹きこまれました!

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△ミニコーナーでは、メアリーの愛用していたハーブも紹介されていました。木箱をひらくたびにスパイシーな香りが漂います。

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△博物館を出ると、中庭に大きなメアリー・シーコールの銅像がありました。(病院内にはナイチンゲールの銅像があるそうです。)コロナに立ち向かう今の私たちにとって、コレラに蝕まれた世界に希望を与えたメアリーの存在を知ることができて新しい力をもらったような気分でした。

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△ギフトショップには、ロシア・アヴァンギャルド風デザインも!?「本よ!」と呼びかけている吹き出し部分がよくパロディにも使われるアレクサンドル・ロトチェンコのポスター(Александр Родченко. Плакат «Ленгиз: книги по всем отраслям знания»)。

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△さて、博物館にはナイチンゲールが暮らしていた家のドアもあり、メイフェアにあった家の建物にブループラークが残されていると聞いて、後日訪れました。(10 South St, W1K 1DF)

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ロンドン市内には、ナイチンゲールの銅像もあります。

お墓は、セント・ポール大聖堂にあります。(☆鳩に餌を・・・♪桜満開のセント・ポール大聖堂

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