【ロシア文化フェスBlog】「モスクワわが愛」がスクリーンに甦る!

2014-12-24

(ロシア文化フェスティバルblogより)

ロシア文化フェスティバル IN JAPAN日本組織委員会副委員長としても欠かせない存在である大女優、栗原小巻さん。

ロシアで最も有名な日本人女優といっても過言ではありません。1968年にチェーホフ作の『三人姉妹』で人気を集め、81年には日本ではじめてソ連の演出家を招いた舞台『桜の園』に主演。70年代に日ソ合作映画『モスクワわが愛』『白夜の調べ』に連続主演し、続く『未来への伝言』では企画にも参加。そのすべてがロシアで大ヒットを遂げました。

今年2014年の文化フェスティバルは、映画関連プログラムもかなり充実していましたが、12月にはヨーロッパ最大の映画スタジオとして1923年に設立されたモスフィルムの創立90周年記念映画祭が開催され、『モスクワわが愛』が公開40周年を記念してスクリーンに甦りました。

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バレエを通してロシアと出逢ったという小巻さんにとって、ボリショイ劇場でプリマを夢見るバレリーナ役のヒロインはまさに適役でした。日本に残してきた恋人とロシアで出逢った彫刻家ヴァロージャとの間で揺れ動きながら、バレエに身を捧げ一身に舞い続けるヒロイン百合子は、ついに夢が叶いプリマとしてジゼルを踊る前日に白血病で倒れてしまいます。可憐に情熱的にこの悲劇のヒロインを演じきった栗原小巻さんにお話を伺いました。

ーー栗原小巻さんの女優人生において『モスクワわが愛』はどのような作品でしたか?

栗原ーー私にとってバレエは青春でしたので、ボリショイの方々とレッスンをさせて頂いたり、ボリショイ劇場で大好きなジゼルを踊ることが出来るなんて、それはもう大変な喜びでした。まさに夢が叶ったようでした。私のバレエの師であるアレクセイ・ヴァルラモフ先生が当時ちょうどボリショイにいらっしゃったので、バレエの撮影もとてもスムーズでしたし、先生ご自身も映画に出演してくださったり!まるでバレエ留学に来たのかと思うくらいに、温かく親しみを持って迎えてくださいました。言葉の壁を乗り越えて、日ソ両国のスタッフ&キャストが心を通わせて、アレクサンドル・ミッタ監督を中心に心ひとつに作品を作りあげるという、かけがえのない経験でした。クランクインの日、今はなきロシアホテルのちょうど北側になるかしら・・・そこで撮影が始まったんですけれども、1カット目が終わりましたところで、みんなでお皿を割って、その破片を持ち合って、映画の成功を願ったんです。日本ではそういう習慣はありませんでしょう?ですからとても印象に残っておりますし、ほかにも本当にたくさん、たくさんのことが忘れられませんが・・・『モスクワわが愛』という作品は、その後の合作映画や海外ロケ、海外公演などこれまで俳優として恵まれたたくさんの作品において、すべてが喜びになり、たとえ困難なことがあったとしてもどんなことも乗り越えられるという、女優としての自信になった特別に大切な作品です。

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△Москва, любовь моя(モスクワ、わが愛)

ーー日ソ合作映画第2弾『白夜の調べ』では、白夜の季節の美しいレニングラード(現在のサンクトペテルブルグ)の音楽院で、ソ連の作曲家イリヤと出逢うピアニストの悠子役を演じられました。実現から撮影まで、日本とソ連でスタイルが異なって苦労したというような点はありましたか?

栗原ーー合作映画第1作目実現まではとても長い歳月がかかったんです。けれどもその大ヒットによって、第2作目は「また作りましょう!」という感じで大変スムーズにすすんだんですの(笑)。改めてプロデューサーの皆様のご苦労があってのことだったと思いますが、とても嬉しいことでした。作曲家のシュワルツさんが現場についてくださって、その場で音楽が生まれるというような素晴らしい環境のなかで、ソロヴィヨフ監督やイリヤ役のソローミンさんなど皆で話しあいながら作品が作り出されていきました。映画人の皆様はスタッフもキャストもそれぞれに個性的でいらっしゃるから、“この国だから異なる“ということでひとくくりには出来ません。日本で撮影していても、それぞれの方のキャラクターによって異なりますものね。日本もソ連も、どこの国でも、良い作品をつくりあげようという思いのもとでは皆同じだと感じております。

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△Мелодии белой ночи (白夜の調べ)

第3弾『未来への伝言』では1960年頃に世界中で猛威を振るったポリオ(小児麻痺)で長男を失い、同じ病にかかってしまった次男を救うため、そして日本の子供たちの命を救うために、厚生省にも働きかけて航空協定も結ばれていないソ連から生ワクチンを運ぼうと奮闘する母親圭子役を演じ、またこの作品では企画にも参加されました。

今年は創立95周年を迎えた全ロシア国立映画大学の卒業記念映画祭も開催され、代表団の一員として、同大学の教授も務めるソロヴィヨフ監督が来日し、日本映画大学で講演しました。栗原小巻さんと再会し抱き合うソロヴィヨフ監督の笑顔が忘れられません!