アトリエから世界へ ― 芸術家ズラブ・ツェレテリを辿る旅 後編

  • URLをコピーしました!

ジョージアとロシアを代表する芸術家であり、ロシア美術アカデミー総裁を務めたズラブ・ツェレテリを悼んで、前編では彼の作品が彩るモスクワの街並みや、壮麗なアート・ギャラリーをご紹介しました。

IMG_3074

△芸術家ズラブ・ツェレテリをテーマに自ら制作した作品

後編では、ジョージアの名のついた通り(ボリシャヤ・グルジンスカヤ通り)にあるもうひとつのツェレテリ美術館をご紹介。さらに世界各地や日本で出会える作品にも注目していきます。

ズラブ・ツェレテリ スタジオ・ミュージアム

IMG_0742

△ツェレテリのアトリエを改装した美術館は、「もうひとつの顔」に触れることができる場所です。

IMG_0752

△エントランスでは、国民的歌手アーラ・プガチョワが両手を広げて来館者を迎えてくれます。

IMG_0792

IMG_0758

△アート・ギャラリーと同じく圧倒的なスケール感がありながら、どこか実験的で、遊び心を感じさせる空間が広がっています。

IMG_0766

△国際的な活動も盛んだったツェレテリは、“世界中に巨大な彫刻作品を贈る芸術家”としても知られていました。館内には、ツェレテリが参加した国際展の記録や、各国での活動もパネルで紹介されています。

IMG_0879 IMG_0768

△ こちらは、アメリカ同時多発テロ事件の犠牲者を追悼して制作されたモニュメント『悲しみの涙(Слеза скорби/Tear of Grief)』の縮小版。高さ約30メートルの実物は、ニュージャージー州のハドソン川沿いに設置されています。中央には涙を象徴するしずく型のモチーフを配し、悲しみと連帯の想いを表しています。

IMG_0831 IMG_4567

△『善は悪に勝る(Good Defeats Evil)』は、1990年の国連創設45周年を記念し、ソ連からニューヨークの国連本部に贈られた作品です。聖ゲオルギウスがドラゴンを倒す構図で、このドラゴンの部分は実際のミサイルの破片で制作されました。これは、1987年の中距離核戦力全廃条約(INF条約)に基づき廃棄されたソ連とアメリカのミサイルを用いたもので、核軍縮と平和の象徴として位置づけられています。(国連のHPより写真転載)

IMG_3019

△コロンブスが卵の殻の中から現れる姿を表現した『新しい人間の誕生』の縮小版。1995年のアメリカ大陸発見500周年を記念して、モスクワ市からスペイン・セビリア市へ贈られました。

IMG_0862

△ 屋外には、カラフルな彫刻が溢れる彫刻庭園も見どころのひとつ。

IMG_0838

△こんなふうに作品に入り込んで・・・

IMG_0843

△気に入った作品と一緒に写真撮影することもできます。

IMG_0896

△敷地内にはジョージア正教の教会や、

IMG_0888 IMG_0885

△ジョージアの食堂やジョージアのパン屋さんも併殺されており文化を五感で味わうことが出来ます。

ツェレテリと日本

さて、ツェレテリ作品は、日本国内でも鑑賞することができます。

5ab1191702b02a978eefa986782140ec

△東京・港区の在日ロシア連邦大使館の絢爛豪華なシャンデリアがきらめく大レセプションホールには、

スクリーンショット-2015-01-19-22.21.45

△ツェレテリの銅版画『首都モスクワ、我がモスクワ』が圧倒的な存在感で展示されています。式典やコンサートを荘厳に華やかに演出しています。

031f06581f4b94dfe5b7ebe687398bfd

△また、ホールへ続く大階段を鮮やかに彩るステンドグラス作品『旗』もツェレテリの作品です。

84ff446a62ee29c317c6206b3ca773f2-600x465

△こちらは、日ロ国交回復50周年を記念して制作された鳩山一郎元総理の銅像。モスクワ市から鳩山家に寄贈され、東京・文京区の鳩山会館に設置されています。

芸術に国境はない。

そう信じ、情熱と愛にあふれた創作活動をつづけたツェレテリの生涯は、多くの人々に刺激を与えました。

彼の手がけた力強い作品とエネルギーは、モスクワで、東京で、そして世界の街で、これからも生きつづけていくでしょう。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次