前編では、創立100周年を迎えたロシア最大の映画会社モスフィルムの歴史と、スタジオツアーの前半部分である博物館内の様子をお伝えしました。後編では、さらにモスフィルムの魅力を探っていきます。
△広いモスフィルムの敷地内は、映画をモチーフにしたモニュメントや実際に使用されている撮影機材があちらこちらに点在しています。
△また、「レオニード・ガイダイ広場」など監督の名が冠された住所があったりと、楽しくてキョロキョロしてしまいます。
△また、数多くのセットがありますが、ツアーでは実際に映画で使用された巨大な屋外セットのなかを散策することもできます。
この日は、19世紀から20世紀初頭のモスクワの街並みが再現された「古いモスクワの街のセット」と「古いサンクトペテルブルクの街のセット」を見ることができました。
△観光客はタイムスリップしたかのように、当時の都市風景のなかを自由に歩き回り、まるで映画のワンシーンのような写真を撮ることもできます。
モスフィルムが長年にわたって保持している貴重なカメラのコレクションも見応えがありました。
△ソビエト時代の映像機器は貴重なもので、映画技術の進化を実感することができました。初めて見るものも多く、ガイドの説明を聞きながら、これらの機材がどのように使われてきたのかを知ることができるのも、映画ファンにとっては非常に興味深いポイントでした。
△こちらは屋内の教会セット。
△運が良ければ撮影が行われている現場に立ち会うことができます。
△実際にカメラが回り、照明や音響、演出、役者の演技が一体となって、ひとつのシーンが作り上げられていく緊張感!
△モスフィルムのシンボルといえば『労働者とコルホーズの女性』の彫刻です。手に鎌と槌を持った男女はソ連時代の労働者階級と農民の団結を象徴しているそう。1937年パリ万博のソ連パビリオンを飾るために製作されました。
△モスフィルムの映画はいつも、スパスカヤ塔を背景に『労働者とコルホーズの女性』像を映したオープニングから始まります。1947年のグリゴリー・アレクサンドロフ監督『春』から使われているそうです。
△ちいさなお土産屋さんには、モスフィルムのマークが入ったグッズやDVDなども。
こうして、ソビエト・ロシア映画の魅力をたっぷりと味わう盛りだくさんのツアーが終了しました。
△併設のカフェでひとやすみ、映画をテーマにしたメニューもありました。エリダール・リャザノフ監督の映画『職場恋愛』サラダにしようかな?
ツアーを終えて、改めてロシア映画の魅力ってどんなところにあるかしら、と一緒に参加したメンバーでおしゃべりに花が咲きます。
社会的・哲学的なテーマを深く掘り下げ、魂に響く心理描写で訴えかけ、観客に考える余地を与えるような作品づくり。
商業性エンターテインメントよりも思想の深さや芸術性を優先するロシアらしい詩的な映像美学と音楽。
そしてロシアの歴史や文学を背景にした壮大な規模や、ソビエト時代の生活感を描写したストーリーなど。
今、改めて観たい映画がたくさんあります。