【モルス(Морс)】
ロシアは少し郊外へ足を伸ばすと緑豊かな森があり、ベリー摘みを楽しんだり、郊外の菜園つき別荘ダーチャで収穫したりするのはロシアらしい素敵な夏の味わい方です(☆モスクワ通信『郊外の菜園付きの別荘ダーチャでくつろぐ初夏の一日』)。長い冬の間に不足しがちなビタミンを補うかのように、ベリーの種類が豊富です。
△いちご(Клубника)、野いちご(Земляника)、黒いちご(Ежевика)、きいちご(Малина)、ブルーベリー(Черника)、赤すぐり(フサスグリ・レッドカラント Смородина красная)や白すぐり(Смородина белая)、青すぐり(グーズベリー・西洋すぐり Крыжовник)、黒すぐり(ブラックカラント・カシス Смородина чёрная)、シーバックソーン(Облепиха)など・・・宝石みたいにみずみずしく輝いています。そんなさまざまなベリーを配合したジュースのモルスはロシア定番ジュースのひとつです。
△ベリーの種類や組み合わせによってこんなに種類が!
△ちなみに、シーバックソーン(облепиха オブレピーハ)は夏はモルスとしていただきますし、冬はフルーツティーとして大人気!まろやかなコクと酸味があって香りもよく、身体もぽかぽかになります。ロシアでは果実を生でも冷凍でも購入できるのでご自宅でも気軽に作ることができますし、アイスクリームのフレーバーやシャンプーの成分などでも見かける美容の素です。
【クワス(Квас)】
ロシアの夏の風物詩といえば・・・黒パンを発酵させた炭酸飲料クワスでした!
△2007年には、街角でクワス売りのタンクやスタンドをよく見かけました。昼間のビール?ロシア版コカ・コーラ?とも例えられ、とにかくよく飲まれていました。ところが2017年に10年ぶりに訪れたモスクワでは、都心部にはクワス売りをほとんど見かけなくなってしまいました。
△(写真左)スーパーマーケットに並ぶクワスのペットボトル。以前より少し肩身が狭そうに、でもしっかりとした存在感で陳列されています。(写真右)モスクワのお洒落なショッピングモールのなかには、レトロなデザインのクワス自動販売機が登場し、ソ連を味わうドリンクは逆に新しい存在に・・・!?
そして、そんなクワスを使った夏の冷製スープも、ロシアの夏を代表する味です。
△オクローシカは、皮ごと茹でたジャガイモやきゅうり、ゆで卵、ハムなどをすべて細かく切り、そこにクワスをかけて(ときにはケフィールをかけて)お好みでハーブやスメタナとともに頂く伝統的な夏の冷たいスープです。6月に入り、すっかり雪が解けたダーチャ(郊外の菜園つき別荘)へ、ロシア人が週末ごとにいそいそと通いだすと、オクローシカの季節の始まりです。日本の夏のかき氷のように、街中でもスーパーでも『オクローシカ、はじめました』の広告をよく見かけます。ロシア人のダーチャに遊びに行き、菜園で収穫したばかりの新鮮な野菜を刻むお手伝いをしてから頂くオクローシカは格別ですし、昔ながらの味を楽しめる食堂はもちろん、お洒落なレストランでもオクローシカを見かけます。
甘酸っぱくてしゅわしゅわする不思議スープ、クワスを入れたオクローシカも、そしてケフィール(飲むヨーグルトのような乳製品)を入れた少し酸味とコクのあるオクローシカも、夏のロシアでぜひ味わっていただきたい一品です。
【昔懐かしの味キセーリ、コンポート、白樺ジュース】
懐かしの味といえば、コンポート(Компот)やКисель(キセーリ)。Кисель(キセーリ)はデンプン(片栗粉)が入っていて、とろりとした口当たり。冷たい葛湯みたい!手作りする時は、片栗粉の量によって、ゼリー風のデザートにも、ジュース風にもなります。スーパーでも、いくつかのベリーの種類が売られています。
△かき氷のシロップ見たいなジュースは、好きな味を選び炭酸で割ってもらいます。
△緑色のタルフンは、タラゴン(エストラゴン)というロシア〜中央アジアに分布する薬草の風味がついた飲み物。右端のバイカル は、松ぼっくりの風味が感じられます。ロシアでは、松ぼっくりを似たヴァレーニエ(※下記、ロシアンティーの項目を参照)も人気があります。
△白樺ジュースは透明で、うっすらと甘いスポーツドリンクのような味。白樺の美しいロシアの森では、白樺につくきのこチャーガのお茶も免疫を高める効果があるとして、コロナ禍の今、改めて注目されています。(関連ブログ☆【モスクワ通信】新型コロナウイルスで再注目!チャーガ茶で免疫力アップ!?)
【流行!自家製レモネード】
△ソフトドリンクの流行!といえば、自家製レモネード(Лимонад さまざまなフルーツやハーブを混ぜたオリジナルのレモネード)。公園にはレモネードの屋台が並んで、レストランのメニューにも自家製レモネードの種類が充実していて驚きます。ちなみに、ロシアのレモネードはレモンとシロップの入った所謂シンプルなレモネードだけでなく、ストロベリーとバジル、りんごとジンジャー、クランベリーとローズマリー、チェリーとミント・・・さまざまなフルーツとハーブなどがオリジナルで配合されています。
ちなみに、ロシアでジュースをオーダーすると、「普通の?それともフレッシュ?」と尋ねられます。フレッシュジュースは人気で、オレンジやりんご、グレープフルーツ、人参(ミルクつきが多い)やセロリもよく見かけます。スーパーでは、ペットボトルにフレッシュオレンジジュースを入れるマシンも見かけますし、空港にはフレッシュオレンジジュースの自動販売機も。流行のスムージーバーでは、生のビーツが手軽に入手できるロシアらしくビーツのスムージーも人気です。
【あのドリンクのロシア限定味!?】
日本でもお馴染みの清涼飲料にも日本では見かけない珍しい味やロシア限定味を見かけることがあります。
△夏になると登場するスプライトのきゅうり味!さらに夏らしく!?スイカ&きゅうり味も。
△紅茶リプトンのロシア味は、ブルーベリーと、先ほどもご紹介したシーバックソーン!
紅茶の国ロシアにスターバックスコーヒーが登場し、その後ロシアのコーヒーチェーンが増えていった2007〜2009年。今やすっかり紅茶もコーヒーも美味しいロシアに、ロシア発祥のコーヒーができていました。それがラフ・コーヒー(Раф-кофе)!
お店によっても違いますが、エスプレッソコーヒーの上にフォームミルクがのっているカプチーノと比べると、ミルクの代わりにフォーム状の生クリームがのっているのがラフ・コーヒー。そして、さまざまなフレーバー&シロップが用意されているのも特徴で、生クリームのコクと甘み+フレーバー&シロップの風味と甘味で・・・ロシア人の大好きな甘いコーヒー“ラフ・コーヒー(Раф-кофе)”になります。こちらの写真は幸せという名のカフェのラフ・コーヒー。コーヒーがちょっと苦手でも、これなら美味しく飲める!という方も。
なお、ロシア・カフェ業界では、2017年頃から抹茶ラテが一大ブームになり、そしてアイスコーヒー&ティーが登場。ロシアでは飲み物を冷やす習慣がなく、かつてはビールもジュースも室温が当たりまえ。アイス・コーヒーやアイス・ティーはありませんでした。近年は、「冷たいものを」とお願いしなくても冷たいビールが出てきたりもしますし、アイス抹茶ラテを置いているカフェも。(写真左)2017年にカフェに新登場した抹茶ラテを3杯オーダー。茶托で泡だてながら店員さんが一言「初めてなので抹茶の分量を間違えちゃった!」
さて、紅茶大国ロシアの“ロシアン・ティー”といえば、日本では“ジャム入りの紅茶”を思い浮かべる方が多いのですが、実は本場ロシアではちょっと違っていて、ヴァレーニエを食べながら紅茶をいただきます。ジャムは日本でもお馴染みのように、フルーツをお砂糖と一緒に煮こみ、トーストにも塗りやすいペースト(ゲル)状になったもの。ロシアのスーパーでジャムよりもさらに広めのコーナーが割り当てられているのが、ロシア伝統のヴァレーニエ!同じようにフルーツと砂糖を一緒に煮込みますが、より果実の食感が残っています。
珍しいところでは、松ぼっくりのヴァレーニエ や、きゅうりのヴァレーニエなどもありました。一方、ヨーロッパの国の中では、ロシアンティーといえば、柑橘系のフレーバーの紅茶だったり、レモン・ティーをイメージされる方も多いのだそうです。
△ロシアンティーに欠かせないのは、このロシア式湯沸かし器のサモワール。常にお湯が沸いているサモワールがあれば、いつでも美味しい紅茶がいただけます。上に乗せたポットには濃い目に煮出した紅茶が入っており、それを自分のカップに注いだら、あとは下の注ぎ口からのお湯でお好みの濃さに薄めて飲むことができます。ジャム入り紅茶も柑橘系フレーバー紅茶も美味しいのですが、いつでもいつまでも皆でサモワールを囲んでゆっくりおしゃべりを楽しめるスタイルこそ“ロシアンティー“です。(関連☆モスクワ通信『サモワールとプリャニキの街トゥーラ(1)ロシアのお茶文化を訪ねて』☆モスクワ通信『サモワールとプリャニキの町トゥーラ(2)クレムリンと街散策』)
なお、ロシアらしい茶葉としては、「イワン・チャイ(Иван чай)」はいかがでしょう。ロシアの野草でつくる優しいお味のハーブティーで、ロシアのスーパーならさまざまなメーカーから種類豊富に選ぶことができますし、ダーチャで手作りしている方も。ちなみに、ロシアのカフェやレストランのティーメニューのなかには、必ずと言っていいほど「緑茶」がありますが、もうひとつ「ミルク・ウーロン」が定番のひとつになっています。