日本を拠点に歌手活動をしていたロシア人歌手ORIGAさんが他界されました。いつかお話を伺ってみたいと思っていたおひとりで、つい昨年も世界コスプレサミットのロシア大会であるフェスティバルХИНОДЭ(日の出)ゲスト出演のニュースを目にしたばかりでしたので、あまりにも突然のお別れでした。
誰もがPCで世界と自由に繋がり、スマートフォン片手に好きな音楽を聴くことができるのが当たり前の時代になりましたが、ほんの少し前には、音楽はCDやレコードを購入したりラジオやTVの音楽番組で耳にしたり、もっと手を伸ばさなければ届かない、聴こうとしなければならない特別な存在でした。
そんな時代に日本の人気TVドラマで主題歌を歌ったロシア人アーティストがいました。しかも、ロシア民謡や民族楽器ジャンルを扱う番組ではなく、いわゆる”珍しい外国人アーティスト”としてでもなく、ひとりの歌手によるひとつの優れた歌として、『Полюшко-поле ポーリュシュカ・ポーレ』が選曲されました。
もともとは軍歌だったというこの歌がオリガさんによってカヴァーされ、kinkikids堂本剛さん主演のドラマ『青の時代』ヒットとともに街中で美しいロシア語の歌声が流れるようになりました。クラシック音楽以外で、私が初めて買ったCDもたぶんこれだったのではないでしょうか。
Полюшко-поле,
Полюшко, широко поле.
Едут по полю герои,
Эх, да Красной Армии герои!
Девушки плачут,
Девушкам сегодня грустно,
Милый надолго уехал,
Эх, да милый в армию уехал…
△赤軍合唱団による『ポーリュシュカ・ポーレ』
ノヴォシビルスク出身のORIGAさんの歌声はシベリアの白樺林や豊かな水をたたえるオビ川のように深く爽やかな清涼感があります。NHKEテレTVロシア語会話「シベリア四都市紀行」シリーズでも、урок1(レッスン1)でオリガさんが登場し「Украя неба(空の端で)」を熱唱しました。