台風が接近中とのこと。こんな日はお家でDVD鑑賞なんていかがでしょう?
本日のおすすめは、ロシアのアニメーション作家ユーリー・ノルシュテインの作品集です。
世界がドキドキワクワクに満ちている子供心に一瞬にして引き込んでくれる
『霧のなかのハリネズミ』や、幼い頃の記憶の断片が深く語りかけてくる
『話の話』、ロシア式暖炉ペーチカや民族楽器バラライカなど、
あったかなロシアの雰囲気たっぷりの『うさぎときつね』
小粋で繊細なラブストーリー『あおさぎとつる』など、
どれもこれも傑作揃いです。
日本でノルシュテインといえば、杉並区阿佐ヶ谷にある映画館ラピュタさん。ロシアでもなかなかスクリーンでは観る機会のないノルシュテイン作品を上映してくださったり、『ラピュタアニメーションフェスティバル』を開催し、ロシアを含む東ヨーロッパなどまだ日本であまり紹介されていない世界中の優れたアニメーション作家の作品を特集したり、実際にノルシュテイン氏を招いてワークショップ等を実施するなどしていらっしゃいました。
公式サイトには、ユーリー・ノルシュテイン情報サイト「ユーリー・ノルシュテインの仕事」も開設されています。ノルシュテイン関連の出版物もとても魅力的で、たとえばノルシュテイン氏の助手 兼 スタジオの買い物係であるターニャ・ウスヴァイスカヤさんが、巨匠の知られざる日常をコミカルにイラストで綴った『ノルシュテイン氏の優雅な生活』は素敵な一冊です。
親日家としても知られ何度も来日しているノルシュテイン氏が、2003年には松尾芭蕉の連句を作品にした『冬の日』は私ももちろん見に行きました!映像の詩人と言われるノルシュテインと、和の詩である俳句はとても相性がよく、しみじみとした季節の美しさや色や表情で紡がれるリズムのようなものが感じられました。そういえば、あの『霧の中のはりねずみ』でも、葉が舞うシーンでロシア語でЕжик!と言う場面があるのですが、これが絶妙な音感で感動したのを思い出しました。現在は、晩年をかけて挑む超大作ゴーゴリ作『外套』のアニメーションを製作中でいらっしゃいます。
ラピュタ入り口を入ったロビーの壁面には、ノルシュテイン氏が2001年に来日した際に、ささっと描いたという絵とサインが残されています。“また会う日まで!“