JR高田馬場駅前の老舗ロシア料理店チャイカさん。大きなビルの2階ながら、ひときわ目を引く可愛らしい店構え。まるでロシアの田舎のお宅に招かれたようなあたたかな気持ちになり、このドアの向こうに広がるロシアに期待が高まります。
素敵なお店のロゴマークは、チェーホフ戯曲『かもめ』初演で有名なモスクワ芸術座を思い出しました。
咲き誇る花のように優美で堂々たる存在感のシャンデリアは、なんとオーナーがロシアから持ち帰ったものだそう!
ハルビン学院の学生時代に出逢ったロシア料理の味が忘れられず日本でロシア料理店を開いたそう。「日本のロシア料理の老舗は、スンガリーもロゴスキーもうち(チャイカ)も、ハルビンでロシア料理に出逢い、その懐かしい味を守りつづけてきたんですよ。」
調理場とホールを挟む壁には、1972年に新宿歌舞伎町で開店した当時の店内や、ハルビンでロシア料理を伝授してくれたという恩人が、実際に日本に食べにきてくれたときの記念写真も飾られていました。この美しい店内は、『男はつらいよ~柴又より愛をこめて~』で、バラライカの音色をBGMに、マドンナ栗原小巻さんが寅さんにプロポーズされるシーンでも登場していたと記憶しております。
壁には小さなスペースにも日本でも『3びきのくま』が愛されている素朴であたたかなバスネツォフの絵がたくさん飾られていたり、
なによりも壁際にも飾り窓をつくってロシアの風景が見えるように演出するなど、ロシアの森のなかの木のおうち感を上手に盛り上げてくれます。
本物の窓からは電車がみえます。駅からもシルエットが楽しめるマトリョーシカやサモワール(紅茶を楽しむロシアの湯沸かし器)はソ連時代の年代物。カーテンの向こう、店内奥の席は半個室のようにすこしフロアが区切られています。
△大きめの野菜や牛肉がほろほろと口のなかでほどけるボルシチ。
△熱々クリーミーなキノコと鶏肉のシチューをパン生地でふたをしたつぼ焼きと、スメタナでいただくロシア風の水餃子ペリメニ。
△日本人好みにライスと青物が添えられ見た目にも綺麗なビーフストロガノフ
△揚げピロシキで中身がお肉という極東ロシアの定番スタイル(モスクワなどでは、焼きピロシキで中身もキャベツなどのスタイルも多い)。ロシアンティーはベリージャムをそえて。
△ちょうどマースレニッツアの期間でしたので、ブリヌイもいただきました。
ウオッカやグルジアワインを楽しみつつ、メインが選べるチャイカ、カリンカ、サラファンなどコース料理も人気だそう。また近年は伝統の味を守り続けるだけではなく、キャビア入りのロシア風おせちなども考案・販売していらっしゃるそうで、予約で満席の店内は老若男女で賑わっていました。インテリアに合わせた木目調のピアノでは不定期でコンサートも開かれたりするそうです。