【宇宙飛行士の星の街】 ガガーリン宇宙へ!ソユーズ誕生

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モスクワ北東およそ25kmの場所には、星の街(Звёздный городок)と呼ばれる、宇宙飛行士を訓練するための広大な敷地が広がっています。かつては、星の街そのものが軍事施設で、宇宙飛行士を含めその訓練を行う教官なども軍人で、1960年代までは閉鎖都市でした。その後、退役した宇宙飛行士が家族とともに暮らすようになり、住居エリアの周りには学校や公園、ショッピングセンターやスーパーマーケットなどの店舗、映画館やスポーツ施設などもある自然豊かな小さな町となって日常生活が営まれています。現在も、星の街へ入るためには申請が必要ですし、さらにその敷地の中でも宇宙飛行士訓練施設を含むエリアは区別されていますが、こちらも事前申請をすると見学ツアーに参加できます。

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△モスクワ中心部からは車で約1時間。星の街のゲートを通過してからも、さらに車で数分ほど森の中の一本道が続きます。

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△建物入り口では、かの有名なユーリー・ガガーリン飛行士がお出迎え!

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戦後ソ連ではアメリカと競うように宇宙計画が行われ、“ソ連の宇宙飛行の父”と呼ばれる研究者ツィオルコフスキー(Константин Эдуардович Циолковский)や“ソ連のロケット開発の父”設計士コロリョフ(Сергей Павлович Королёв)の貢献もあり、ソ連独自のロケット開発が進められます。1957年10月には人工衛星スプートニク1号の打ち上げに成功します。

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△施設にもツィオルコフスキー(左)とコロリョフ(右)の写真が飾られていました。

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△チカーロフスキー飛行場の隣に位置する星の街に、初めてロシア空軍による宇宙飛行士訓練センターが設立されたのは1960年1月11日で、宇宙飛行士候補として選抜された精鋭20名にさまざまな適性検査や厳しい訓練が行われました。現在この訓練センターには、ユーリー・ガガーリンの名が冠されています。

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△そして1961年4月12日午前9時7分(モスクワ時間)、ソ連が世界初の有人宇宙飛行としてヴォストーク1号の打ち上げに成功します。その宇宙船に搭乗したのは、先ほど玄関で私たちを迎えてくれたユーリー・ガガーリン飛行士でした。

△ガガーリンの生涯や、切磋琢磨しつつ訓練で優秀な成績を修め、ガガーリンの初飛行時にはバックアップ要員を務め、史上二人目の宇宙飛行士となったゲルマン・チトフ飛行士をはじめ、訓練の日々、そして臨場感あふれる108分間の宇宙飛行の様子は、ロスコスモスの公式YouTubeチャンネル(上)や、ロシア映画『Гагарин. Первый в космосе(邦題:ガガーリン 世界を変えた108分)』でも見ることができます。 

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△ソユーズ宇宙船のシミュレーター

ソ連では、ガガーリンの初飛行の成功後もつぎつぎとボストーク宇宙船が打ち上げられ、ヴォストーク6号では女性初の宇宙飛行士ワレンチナ・テレシコワが乗船して話題になりました。続くヴォスホートはこれまでの単身飛行でなく複数人の飛行士が乗船できるようになり、1965年のヴォスホート2号ではレオノフ飛行士が人類初の船外活動を成功させます。

ガガーリンがヴォストーク宇宙船で初飛行後の1962年には、ソユーズ宇宙船の開発が始められていました。もともとは月を周回して地球に帰還することを目的としていましたが(有人月周回は革命50周年にあたる1967年後半を、月面着陸は1970年第4四半期を予定していたと言われています)、その後、旧ソ連の宇宙計画の変更により、地上と国際宇宙ステーションの間で宇宙飛行士を輸送することが目的となりました。

1967年にはいよいよ新型のソユーズ宇宙船の初の有人飛行が行われましたが、悲劇的な結末を迎えてしまいました。しかし、その後の改良により、ソユーズは今日まで世界で最も安全な宇宙船のひとつとして活躍しつづけています。

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△ソユーズは3つの部分で構成されています。球体の軌道モジュール、 釣鐘型の帰還モジュール、そして翼のように太陽光パネルが付いている機器・推進モジュールです。打ち上げや帰還の時には帰還モジュールに乗り込みます。その後、宇宙に到達してから国際宇宙ステーションに着くまでの間は無重力状態で軌道モジュールで過ごします。機器・推進モジュールにはエンジンやさまざまな機器が搭載されています。訓練では、ソユーズの構造や構成を学び、実際の飛行と同様に訓練を行うことが出来ます。

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△三人乗りで、中央がコマンダー(船長)、その両脇がフライトエンジニアです。コマンダーの席は少し後方に設置されているため、なんと棒を使ってコントロールパネルを操作します。

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△座席は宇宙飛行士の身体に合わせて作られ、宇宙服とセットで身体を保護してくれます。身体にぴったりの座席を作るために、宇宙飛行士たちは型の中で膝を抱えて丸くなり、その周りに石膏を流し込みます。船内はとても狭いため、身長体重など身体の大きさにも厳しい制限があります。この狭い空間で、飛行士たちは乗り込んでから打ち上げまでの約2時間を過ごさなければならないのですが、ガガーリン飛行士の時代から宇宙船内では音楽を聴くことが出来るのだそうで、ガガーリンは「祖国は聞いている«Родина слышит»」(エヴゲーニー・ドルマトフスキー作詞、ドミートリイ・ショスタコーヴィチ作曲)を聞いたそうです。

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△70年代後半には、ソユーズ宇宙船をベースに、補給船プログレスも開発されました(写真右)。また、ガガーリンが乗車していた車(ソ連車ヴォルガ)とバイコヌール発車基地へ向かう宇宙飛行士たちをのせたバスも展示されていました(写真左)。ガガーリンは発射台へ向かう途中にこのバスを降りて用を足したそうで、それ以来発射台に向かう飛行士たちは縁起を担いで途中でトイレへ行くのだそうです。

ソユーズ宇宙船は打ち上げから約10分で宇宙空間へ到達します。宇宙船のなかに吊るされていたマスコットが浮かび始めたら無重力になった証拠です。例えば、ロシアで初のサッカーワールドカップが開催された2018年に打ち上げられたソユーズのなかには、大会マスコットのザビワカ君が。その後、国際宇宙ステーション(ISS)の軌道に入り、国際宇宙ステーションにドッキングします。

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アメリカのスペースシャトルが退役してからはロシアのソユーズ宇宙船が宇宙飛行士たちを宇宙へ運んできました。これから宇宙大国ロシアのソユーズ宇宙船は伝統を受け継ぎながらどのように進化していくのか・・・目が離せません!

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