「この人の作品はすべて読みたい!」
私にとってそんな作家のひとりである武田百合子さん。
どこから読み始めて、どこを読んで、
どこまで読みすすめても大好きな代表作「富士日記」はもちろんですが、
ロシアナ的にはソ連旅行記「犬が星みたーロシア旅行ー」(中央公論社 中公文庫・カバー 鈴木康司)もオススメです。
横浜から船でナホトカへ、鉄道でハバロフスクへ、空路でイルクーツク、
ウズベキスタン、グルジア・・・
諸都市を経てヤルタ、レニングラード、そしてモスクワへという20日間。
初めての海外旅行で、愛する旦那さまである
作家の武田泰淳さんとの最初で最後の旅行。
日常生活のなかで、目に見えるもの、見えないものたちを、
かけがえのない大切なものにしてくれます。
なんといっても素敵な「犬が星見た」というタイトルの秘密は
あとがきの中で出てきます。
もうページも黄ばんで表紙もぼろぼろですがそれもまた愛おしい1冊です。