雪解けの時期にモスクワに留学し、ロシアの詩人たちと親交を深め朗読会を堪能し、美しき気高き東洋のミューズとして、今日まで私たちに薫陶を与えていらしたロシア文学者の安井侑子先生が天国に召されました。3月21日には東京・六本木の国際文化会館で盛大なお別れの会が催されました。
△鎌倉のご自宅でのお餅つき大会に呼んでくださったときの1枚。侑子先生を囲んで、先生を慕う教え子の皆様と。
いつも「貴方の声が聞きたくて・・・」とお電話をくださった侑子先生。突然の訃報が届いたとき、私は、モスクワのちいさなコンサートホールにおりました。フィナーレを前にヴァイオリンのソリストが一言“愛する母に捧げます”と述べ、ゆっくりと大好きなスヴィリドフのロマンスが流れました。
△Г.Свиридов “Романс” (“Метель”)
その美しいメロディーとともに、母のように深く温かな愛で私たちを包み込んでくださった侑子先生を思い出しました。お別れの会には残念ながら伺うことが叶いませんでしたが、侑子先生のご著書を胸に、ロシアでゆかりの地を訪れてみたいと思っております。モスクワから哀悼の意と感謝の気持ちを込めて。