作曲家ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(Вольфганг Амадей Моцарт)は、35年の短い生涯のなかで600曲以上もの美しい音楽を作曲し、今も世界中で愛されています。そんなモーツァルトがロンドンを訪れていたのはご存知でしょうか?モーツァルトを聴きながらモーツァルトゆかりの地を訪ねてみましょう。
4歳から作曲を始め神童と呼ばれたモーツァルトを連れて、その才能を披露してお金を稼ぐために父親レオポルトは世界ツアーを企画します。ザルツブルグ、ウィーン、ミュンヘン、ブリュッセル、パリ、ロンドン・・・17都市を巡ったそうです。ロンドンはそのツアーの最後を飾った都市で、1764年4月から約15ヶ月暮らしました。モーツァルト8歳の時のことでした。
△ロンドンを訪れた当初、1764年4月から8月まで、BarbarのJohn Couzin の屋敷で暮らしていました(☆【英国のお気に入り】ロンドンのなかのモーツァルト 2)9 Cecil Court, WC2N 4EZ(注:息子が読んだ伝記では、Cecil Courtにある宮廷音楽師アーベルの屋敷に暮らしていたとありました)。しかし、都会の空気が合わなかった父親は、田舎の雰囲気の残るPimlicoへ移りました。
Victoria Railway Stationから徒歩数分の場所にあるOrange Squareは、かつてマーケットとして開かれた場所だったようですが、現在も毎週土曜朝にはthe farmers marketが開かれています。ここに可愛らしいモーツァルトの銅像があります。
△銅像の近くには、モーツァルトが暮らしていた家もあります。1764年にここでモーツァルトが最初の交響曲を作曲したことが記されています。(関連☆【英国のお気に入り】ロンドンのなかのモーツァルト 1)180 Ebury Street
△1764−5年にここに住み、ピアノを弾き、作曲をしたことが記されています。20 Frith Street W1
当時のこのエリアの様子、そしてここでどんな曲を作曲したのか、詳しく調べてみたら面白そうです。
△ロックダウン中にモーツァルトの伝記を読んだ息子によると、ロンドンではヨハン・クリスティアン・バッハ(Johann Christian Bach)と出会っています。大バッハと呼ばれるヨハン・セバスチャン・バッハの末息子(11番目!)で、たくさんのバッハの子孫は区別するために活躍した地名がつけられていますが、“ロンドンのバッハ(the London Bach)”と呼ばれています。モーツァルトの2年前1762年に26歳でロンドンへ。the King’s theatreで2つのオペラを作曲するために招かれました。
バッキンガム宮殿に招かれた神童モーツァルトは、国王ジョージ3世(George III)の前で、初見でバッハやヘンデルの曲を弾いたのだそう!このことがきっかけでモーツァルトとバッハは、20歳の年齢をこえて親しい友人となります。バッハとこの時代のロンドンは、モーツァルトのその後の音楽人生にたくさんのインスピレーションを与えました。同時代の音楽家たちに対してあまり良い評価を与えることがなかったというモーツァルトも、バッハのことは“I love him with all my heart, and I have the highest regard for him”と書き残しているのだそう。
また、イタリアのカストラート歌手ジョヴァンニ・マンツォーリ(Giovanni Manzuoli)の歌声と劇場で観たオペラ(バッハ作曲の『Adriano in Siria』)に感激し、いつか自分もオペラを作曲したいと夢見るシーンもありました。
ロンドン滞在中には、世界最古のロンドン動物園で象やロバなどの珍しい動物を見て楽しんだり、美味しい英国の紅茶&スコーンも楽しむシーンもありました。(現在のロンドン動物園(ZSL LONDON ZOO)は1828年開園なので、もし伝記のエピソードが本当だとすれば、モーツァルトが訪れたのは動物たちがロンドン塔にいた頃でしょうか・・・!?☆くまのプーさんに会える!ハリーポッターの爬虫類館がある!ロンドン動物園)☆世界遺産ロンドン塔を満喫!おすすめレストランと夜の鍵のセレモニー)
さて、残念ながらワールドツアーのなかでロシアを訪れることはなかったモーツァルトですが、ロシアの作曲家たちにも大きな影響を与えました。例えば、チャイコフスキーの家の本棚にもモーツァルト!(☆【モスクワ郊外クリン】 チャイコフスキーの家博物館)
モスクワで聴いたモーツァルトのなかでは、チャイコフスキー・コンクールで受賞した藤田真央さんの名演奏は記憶に新しいところです。(☆藤田真央&ゲルギエフ!チャイコフスキー・コンクールの感動ふたたび!!【コンサートホール】【新名所ザリャージエ】)
参考文献
☆The London Bach finally gets his London revival
☆子どもの伝記『モーツァルト』