4月のオープニングに合わせて、今年もロシアから新進気鋭の音楽家たちが来日し、ロシアの新星コンサート2024が開催されます。ロシア文化フェスティバルではこれまでも「ロシア天才少年少女育成コンサート」などロシアの若手音楽家たちを日本に招き、日本の演奏家との競演ステージを実現させるなど、未来につながる交流にも力を注いできました。
今回は、ロシアの子どもたちの音楽教育との出会いをのぞいてみましょう!
ロシア最高峰と称されるのは、チャイコフスキー記念モスクワ国立音楽院付属中央音楽学校とグネーシン記念モスクワ中等特別音楽学校です。ロシア全土から集まった音楽に興味のある子どもたちのなかから選抜が行われ、入学すると音楽を中心に学べる環境のなかで英才教育を受けながら、算数やロシア語など通常の学校のカリキュラムも受けることが出来ます。
△チャイコフスキー記念モスクワ国立音楽院付属中央音楽学校
△グネーシン記念モスクワ中等特別音楽学校
このような神童と呼ばれるような子どもたちへの音楽教育だけでなく、芸術大国ロシアでは、一般の学校に通う子どもたちにも、放課後の“第2の学校”として素晴らしい教育を受けることができる音楽学校がたくさんあります。
△モスクワ南部にある国立の子ども音楽学校でレッスンを待つ子どもたち。各地区にこのような学校があり、充実した教育プログラムが用意されています。
たとえば、こちらの学校では、ピアノやバイオリン、チェロ、フルート、ハープ以外にも、ギターやバラライカ&ドムラなどの民族楽器のなかから、そのお子様にあわせて毎日1〜3時間の時間割が組まれています。専門の楽器の個人レッスン以外に、副科目のピアノや、アンサンブル、ソルフェージュ、合唱、作曲家やその作品などを学ぶ科目などの授業なども。授業の合間には、軽食をとったり、自習室で学校の宿題や練習をしたり、夏には外を散歩して気分転換したり・・・。そのため、ほぼ毎日、放課後はここで過ごしている子たちも多いそうです。
とある日、地下鉄タガンカ駅近くの子ども音楽学校で、弦楽アンサンブルのマスタークラスが開催されると聞いて見学に行ってみました。
△音符やト音記号などが可愛らしくアレンジされた建物から子どもたちの奏でる音楽が聴こえてくる音楽学校の雰囲気がとても素敵です。
△作曲家のポートレートが並び、学校の歴史やここから巣立っていった音楽家の先輩たちの写真が飾られています。掲示板には子ども向けのコンサートやコンクール情報などを見ることができます。
△学校にはホールもあり、伴奏者と合わせる練習のほか、アンサンブルやリハーサル、試験やコンサートに使われています。
△さきほど廊下で会った時には、たわいもないおしゃべりをして笑いあっていた子どもたちですが、ステージに立つ姿は皆プロフェッショナル!素晴らしい演奏に瞬時に魅き込まれます。
△別のある冬の日には、モスクワ中心部の子ども音楽学校で開催されたコンサートへ。ロシアでは偉人の名をつけた地名や通りも多いのですが、学校にも偉大な音楽家の名が冠されていることが多いです。
△こちらも美しい宮殿の広間のようなコンサートホール!
△チャイコフスキーやラフマニノフ、プロコフィエフ・・・たくさんの偉大な音楽家の生まれ育ったこのロシアの地で、幼い頃からこんなに美しい環境でクラシック音楽に触れることができるから、こんなにも豊かな感性が育まれるのでしょう・・・!うらやましい限りです。
△つづいて、こちらの音楽学校では、これからコンクール「魔法の弓」が開催されるところです。ステージには立派なパイプオルガンがあり、ホールの壁にはロシアの作曲家の肖像画が並んでいて、まるでちいさなモスクワ音楽院のような雰囲気。
「私たちは音楽の家族よ」音楽学校の先生の言葉が胸に響きます。ロシアの先生と教え子たちとの絆はとても強く、演奏技術のみならず人生や生活についても、自分の子どものように向き合ってくださるのが印象的です。本気で叱り、心の底から心配し、思いっきり抱きしめて受け止め、キスの雨を降らせて喜びを共にして、熱く指導してくれる先生のもとで、子どもたちは才能を開花させ、それぞれの道へと成長していきます。
今年2024年オープニングでも素晴らしいステージをご期待ください!