『 SLAVA’S SNOWSHOWスラバのスノーショー』スラバ・ポルニン氏インタビュー

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世界最高の道化師と称されるロシア出身のスラバ・ポルニン氏が来日!この夏、日本のファン待望の『SLAVA’S SNOWSHOWスラバのスノーショー』を上演しています。

 

これまで世界30カ国以上で500万人を動員してきた人気公演について、主催する吉本興業プロデューサー坪井大輔氏は、「客席中に、信じられないくらい大量の雪や巨大ボールを降らせたり、とにかく大胆で、なおかつお客様の空気次第で演出も微妙に変えていくリベラルでハートフルな演出に惹かれました。それは、今の日本のエンターテインメントに欠けている部分だと個人的に感じており、吉本興業としてもそのマインドをぜひとも学んでいきたいのです」と語り、海外の公演全体を、完全な形で輸入し日本で上演することは、吉本興業の歴史のなかでもこの『スラバのスノーショー』が初めての試みになるとして、大きな期待を寄せていらっしゃいます。

公演を前に、ポルニン氏にお話を伺いました。

 

    【お忍びで日本へ。スラバの10パーセントは日本人!?】

   いちのへ: ようこそ日本へ!2005年愛知万博ロシア館での公演以来、9年ぶり2回目の日本公演になりますね!

   ポルニン: そうだね。しかし実は、愛知万博の前にお忍びで2度、日本を訪れているから、2度目の来日ではないんだ。

   いちのへ: 偵察にいらしたんですか?

   ポルニン: そう、見事に、誰にもスラバだと気づかれずに来て、誰にも気づかれずに帰ったよ。

   いちのへ: どんな笑いが好まれるのか、日本の芸能を御覧になったんでしょうか?

  ポルニン: いやいや、ヨーロッパで既に何度も、歌舞伎や能をはじめ、日本の伝統芸能と言われるものは観ているんだ。自宅の本棚には、歌舞伎等に関する書籍や資料、DVDもたくさん持っているよ。そういったものにも、良い刺激をもらっているが、来日のときには全く観ないね。ただ、日本の空気を吸って、日本の食べ物を食べて、日本を散策して日本人とふれあって……身体全体で日本を感じられるように。

    いちのへ: 子供みたいに日本で遊んだ、という感じでしょうか。

    ポルニン: その通り!そのとき買った盆栽は、今も自宅の庭にあるよ。そうそう、家では着物を着たりもするし、私には日本人的な部分もあると言えるね。

    いちのへ: 何パーセントくらい!?

    ポルニン: 今は……10パーセント。ああ、さきほど昼食に和食を食べたから、11パーセントになったかな(一同爆笑)。1ヶ月の日本公演が終わることには20パーセントになっていることを期待しよう。

 

    【時間的に地理的に、笑いは変化するの?】

    いちのへ: さて、スラバのスノーショーは、2005年の公演からどのように進化したのでしょうか。

    ポルニン: 過去から進化したというよりも、毎回毎回、違うステージを作っているような気分になるんだ。とても不思議なショーなんだ。たとえば、ひとつの譜面があったとして、あるときはジャズ風に、またあるときはオーケストラによって…さまざまなジャンルの音楽家たちが演奏することで、全く違う音楽が生まれるようなものかな。

    いちのへ: スノーショーは2013年で20周年を祝いましたが、スラバさんご自身も2010年に60歳というひとつの節目を迎えられました。還暦を記念して、展覧会をはじめさまざまなお祝いイベントも催されましたが、何か変化は訪れましたか。

ポルニン: 60歳といえば、男の子が男性になるくらいの年と言えますよね。でも何にも変わっていないなあ。子供の頃のまんまさ。進歩もなく変化もなく……ここのとこの髪の毛が(と、頭頂部を指差して)ちょっと下へずれたくらいかな(笑)

    いちのへ: ショーは、公演する土地に合わせて変化を加えるのでしょうか。

    ポルニン: こちらが変えるというよりは、その土地によって国によって変えてもらうといったほうが正しいかもしれないね。

    いちのへ: 雪の降る劇場を作って世界中の観客を招くのではなく、雪とともに世界を周るスタイルで公演していらっしゃるのはなぜなんでしょうか。

    ポルニン: 雪が降る国もあれば降らない国もある。季節によって降ったり降らなかったり、あるいは地球温暖化で雪がなくなってしまった地域があったり、何が起こるか分からない世の中さ。それなら、自分で雪を作ってしまい、いつもスーツケースに雪や風や月を詰め込んで旅するほうがいいと考えたんだ。

    いちのへ: 今回は、東京と大阪で公演なさいますね。この2都市ではメンタリティも好まれる笑いも違うといわれたりしますが、ロシアでは広い国土のなかで、笑いに地方性はあるのでしょうか。

    ポルニン: うーん、子供にとって、赤くても緑でも大きくても小さくても、キャンディはキャンディだよね。私も子供だから、私にとっては東京も大阪も、与えられた日本というキャンディでしかないんだ。年齢を重ねて大人になると、「このキャンディは甘いな、大きいな」などと
言うようになってしまうね。もしかして私も5年、いや15年後くらいには、そんな風になってしまうかもしれないが……。広いロシアでも、基本的に友人がいる場所はどこも一緒さ。

    いちのへ: 笑いには国境はない、ということですね。

    ポルニン: そう。家族みんなで世界ツアーをしているからね、今や、この地球が、ひとつの家みたいなものだよ。ラスベガスから息子が電話してきたと思ったら、翌日にはベルリンからかかってきたり、世界が本当に身近に感じられる。日本の寿司もよく食べていたが、今回一緒に来日した息子のヴァーニャ(イワンの愛称)は、特に日本好きで、日本語も勉強しているし、半年に1度くらいのペースで日本を訪れているんじゃないかな。だから私にとっては日本も身近だし、ヴァーニャの存在に助けられているよ。

 

 

    【雪への想い】

   いちのへ: 日本人にとって、はかなく美しい桜は、日本を象徴する特別なもののひとつなんですが、スラバさんにとって雪は、ロシアを想わせるものでしょうか。なぜ、人生を懸けたショーのテーマに、雪を選んだのでしょうか。

ポルニン: 自宅の庭には、日本庭園もあって、そこに実は桜もある。春には桜が咲いて、まるで桜の雪みたいなんだ。雪はたくさんのものを内包していて、だからこそ選んだのだが、何か新しいまっさらなもの、清く純粋で美しいもの、花びらのようでもあり、花嫁の婚礼の衣装に例えられたりもする。一方で、冷たさ、恐怖や死とも結びついている。ショーのなかでも、雪は良いイメージを魅せてくれることもあれば、逆のこともある。もちろん、ロシアを象徴するもののひとつという面もある。ただ、ひとつ間違いないのは、子供にとっては最高の遊び道具、夢中にさせるおもちゃだということ!雪が降った日には、『わーい雪だ!』と子供たちは朝早くから外へ出かけていき、夕方に大人たちが『もういいだろう』と言うまで遊んでいるものだ。遊びすぎて、睫毛や眉毛、顔中につららをつけて、暖炉に直行するのさ(笑)

    いちのへ: 雪国とそうでない国では、観客の反応は違いますか?

    ポルニン: 雪が降らない国からも、お正月などに招かれることがよくあるんだが、子供たちがショーのなかで降る雪をさわって「これが雪なんだ!」と感動している様子に出くわしたりする。東京も大阪も、それほどたくさんの雪が降る都市ではないから、皆様のために、たくさんの雪を持ってきたからね。

 

    【スラバ式夢の叶え方、教えます】

いちのへ: さきほど、子供の心で、スノーショーを創りだすとおっしゃいましたが、それでは演じるとき、演出されるときには、大人になるのでしょうか。

    ポルニン: まずは自分のなかの半分、つまり賢い部分が考えて、それから、もう半分の子供の部分がすべて壊してしまうんだ。そうやってステージが出来上がるんだ。

    いちのへ: 子供のままで大人になり、子供の頃の夢を大人としての仕事に出来たのですね。

    ポルニン: いつも夢を叶えるようにと生きてきたし、そうでない生き方は分からない。どうしたら私みたいに夢を叶えられるかって?そう、やっぱり自分の夢に正直になること。夢を見ることから、すべてのプランが生まれる。そうしたらそれを運命だと思って実行すること。

    いちのへ: スラバさんには、芸術一家ともいえる家族がいらっしゃいますね。女優の奥様と息子のヴァーニャさんとは、現在一緒にステージを作り上げ、共に夢を叶えていらっしゃいますし、サンクトペテルブルグで音楽を学んでいるふたりの息子さんがいらっしゃいますね。子供たちそれぞれが夢を叶えられるようにするためには?

ポルニン: 邪魔をしないこと(笑)。これが一番、重要なこと。おもちゃで遊んでいる子供の横に、両親がつきっきりで手や口を出していたとしたら、それは遊びとは言えない。才能は誰にでもあって、人それぞれに違うものだから、それが一体どういうものなのかを自ら探らなければならない。有名なロシアの歌手であるシャリャーピンは『持って生まれた才能は5パーセントで、残りの95パーセントは努力だ』という言葉を残している。才能を発掘すればよいのではなく、やはりそれ以上に努力が必要なのだということ。そして、努力できる秘訣は、何より喜びをもって楽しんでやるということに尽きるでしょう!

    いちのへ: 午前中には、オフィシャルサポーターのプリンセス天功さんらとともに記者会見が行われましたね。日本公演出演のチャンスをかけて、よしもと若手芸人さんによる『夏なのに冬を感じる6秒動画』オーディション結果発表もあったそうですね。

    ポルニン: 特に芸人さんやアーティストに限って集めたわけではないんだよ。 “幸せな人”たちと集まって、お客さんに喜んでもらえるようなステージを創りたいと思っているんだ。そのためには、こちらもハッピーでいなければならないからね。

 

 

    【これからのスラバ・ポルニン】

   いちのへ: スノーショー以外にも、スラバさんは多方面でご活躍されていますね!

   自然や生と芸術との境目をテーマに、アカデミー・オブ・フールズという国際プロジェクトを主宰していらっしゃいますし、声優を務められたアニメ映画の公開も控えています。最後に、これからの夢について教えてください。

    ポルニン: やってみたいことは数えきれないほどあって、いわば夢が行列をなしているような感じかな。この人生で、それを全部こなせるのかどうか自信がないくらいに、アイディアがあるんだ。

   だから……そう、目の前の仕事をつぎつぎと一生懸命にこなすことだね。今年のモスクワの日には、大きなフ

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