【英国のなかの日本】“画鬼”河鍋暁斎展@ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツと都会のオアシス

2022-06-14

(2022.06)ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ(RA)では、幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師・日本画家の河鍋暁斎の展覧会「Kyōsai: The Israel Goldman Collection」が開かれました。

△初代会長のジョシュア・レイノルズの銅像。

1768年に国王ジョージ3世によって設立され、会員数とジャンルごとの構成人数(画家、彫刻家、建築家、版画家など)が決まっているため、新会員に選出されるのはとても狭き門・・・!J.M.ターナーが20歳で会員になった一方、同時代のジョン・コンスタブルが40代まで準会員、50代でようやく正会員になりました。

今回は、世界屈指の暁斎コレクターとして知られるロンドンの美術商イスラエル・ゴールドマン氏のコレクションより。河鍋暁斎は現在の茨城県に生まれ、はじめは浮世絵師の歌川国芳のもとで、その後は狩野派に弟子入りして絵を学びました。絵に対してある種の常軌を逸するほどの情熱と卓越した技術をもち、師匠から“画鬼”と呼ばれて可愛がられたそうです。浮世絵や風刺画、春画まで、多岐にわたる分野で独特の世界感で圧倒しました。

△鋭くかつユーモラスなコントラストで強い印象を残すガイコツたちのロックな世界感!

△「三味線を弾く洋装の骸骨と踊る妖怪(Skeleton Shamisen Player in Top Hat with Dancing Monster)」

暁斎の描くカエルやすずめなど身近なちいさな生き物たちの表情の豊かさ、生き生きと画面から飛び出してきそうな動き、構図と配色の斬新さ・・・!

 
 

△生涯描き続けたという絵日記。描かずにはいられない、そんな瞬間が日常にはたくさんありますよね。

△妻の亡骸を描いたとされる「幽霊図(Ghost)」

イギリスとの共通点といえば、三菱一号館美術館、旧岩崎邸庭園、鹿鳴館や神田のニコライ堂などで知られる建築家ジョサイア・コンドルが、この河鍋暁斎に弟子入りし、「暁英」という名を与えられて、1889年に暁斎が亡くなるまでそばにいたこと。(関連☆【今日のロシア】ニコライ堂(東京復活大聖堂)へ

△「百鬼夜行図屏風」日常に潜む妖怪たちの世界・・・!イギリスの妖精絵画に通じる魅力(☆妖精をさがして英国絵画の殿堂テート・ブリテンへ

さて、ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツは、美術館であり博物館でもあるため、建物のなかには“都会のオアシス”とよびたくなるような落ち着ける空間がたくさん。

 

【Poster Cafe】バスクチーズケーキ&コーヒーでほっと一息もよし、

【RA Cafe】ホットミールもあるので、お友達とのちょっとしたランチにも

 

あるいは中庭で本を片手に寛ぐもよし・・・

もちろん、レストランもあります。

【英国のお気に入り】見えるものが違う私たち

2022-06-13

(2022.01)大好きなバスが見えて走り出したら危ないので手を繋いでお散歩していた息子もすっかり大きくなり、まもなく背も並びそうな息子と街歩きしていると、全く違うものを見ていることによく驚きます。

たとえば、英国絵画の殿堂テート・ブリテンへ向かう途中、

△「あ、ペンギン・ブックス!ここがオフィスなんだね。」息子がよく読んでいる本の出版社で、ペンギンのマークが目印。親友宅へスリープ・オーバーに行くと、寝るまでの時間にこのペンギン・ブックスのオーディオ・ブックをかけてくださるそうで、それ以来オーディオ・ブックも愛用中。何度も通っている大好きなテート・ブリテンへの道ですが、私には見えていませんでした。

また別のある日。奈良美智さんの展覧会へ向かう道すがら、アップル・ストアを通りすぎて角を曲がると・・・

 

△「あ、ここ、Not Apple Storeのあった場所だ」え!?アップル・ストアでなくノット・アップル・ストアとは・・・!?友達と観ていたYouTubeで、フェイクのアップル・ストアをオープンしたらどうなる?という企画ものでここを利用していたよう。

△I Opened A FAKE Apple Store(Niko Omilana channnel)

生まれた時からスマホやPC、SNSの利用が当たり前のZ世代がよく話題にあがりますが、本やノート、カレンダー、辞書の感覚も紙が基本だった私とは全く違っていて、学校の連絡事項もPC上でやりとりし、iPadとノートパソコンを同時に触りながら今日はパワーポイントで資料を作るのが宿題、なんていう様子を見て驚いてしまいます。ついつい、スクリーンタイムが・・・なんて、自分の物差しで測ってしまいそうになりますが、いつも息子の持つ物差しで試してみる軽やかさを持っていたいなと思います。

一緒にテート・ブリテンへターナーを見に行き、一緒にギャラリーへ奈良美智さんの作品を見に行く私たちですが、そこまでに見えるものも全く違い、そこで見る作品も全く違っていて、本当に面白いです。

【夏の自由研究】息子がiPhoneでターナーの筆に挑む!

☆(ターナー企画展)海を描くイギリスのターナーとロシアのアイヴァゾフスキー!テート・ブリテン(Tate Britain)の『Tuner’s Modern World』へ

スクリーンショット 2017-06-23 16.20.06

2007年から2009年までロシアナとしてモスクワに住み、それから再び2017年から2019年までモスクワに滞在しました。同じ景色も息子と一緒だと見えるものが違い、また出会う人も訪れる場所も全く違っていて、新しいロシアを沢山発見することができました。

ロシアの音楽学校や近所のサッカー仲間などロシア人のお友だちも沢山できて、3年間でロシアが大好きな場所のひとつになった息子。多くの日本人を含む外国人が帰国を余儀なくされ、外国人にとっては落ち着いて学校に通うことも許されない環境になってしまい、もし今だったら、もう息子を連れてロシアに住むことはできないだろうと思うと、本当に悲しくなります。

 

【英国のお気に入り】妖精をさがして・・・!英国絵画の殿堂テート・ブリテンへ

(2022.02)イギリス絵画の殿堂テート・ブリテンのなかのお気に入りの展示室『FAIRY ROUND』。

△リチャード・ダッド(Richard Dadd )の『お伽の樵の入神の一撃(The Fairy Feller’s Master-Stroke)1855−64』もあります。

△イギリス・ロンドン出身のロックバンドQueenの曲『 The Fairy Feller’s Master-Stroke(邦題:「フェアリー・フェラーの神技」)は、なんとフレディ・マーキュリーが、このダッドの絵をみてインスピレーションを得て作った曲なのだとか!

ヴィクトリア時代のイギリスではシェイクスピア(William Shakespeare)の『真夏の夜の夢( A Midsummer Night’s Dream)』のシーンをはじめ、多くの画家たちが妖精がどんなふうに見えるのか、想像力をふくらませて妖精の世界を描きました。

△『パック(Puck)1841』

△『バッカス祭の情景(Bacchanalian Scene)1862』

リチャード・ダッド(1817-1886)は幼い頃から絵の才能に恵まれ画家として活躍しましたが、精神を病んで父親を殺してしまい、精神病院へ。死ぬまで約42年間もの間、精神病院で絵を描き続けました。

ヴィクトリア時代には私が好きなものが詰まっていて、このヴィクトリアン・フェアリー・ペインティングもそのひとつ。産業革命の波のなかで、原始的なものやあるがままの自然の美しさ、摩訶不思議な未知のものへの想いがフェアリーに形をかえて絵画のなかでどこまでも自由に羽を広げていったのかもしれません。

△コティングリー妖精事件の写真!イギリスのコティングリーに住む16歳のエルシー(Elsie)と9歳の従姉妹フランシス(Frances)が撮影した写真になんと妖精が・・・!後に、5枚のうちの4枚は捏造だったと白状した2人ですが、5枚目だけは本物だと話しているそう。真相はいかに!?

△『シャーロック・ホームズ』シリーズの作者であるサー・アーサー・コナンドイルもこれを信じていたとか。(☆【英国のなかのロシア】シャーロック・ホームズ博物館の名探偵マトリョーシカ

△山田五郎さんのYouTubeチャンネル『オトナの教養講座』【父殺し】妖精を描く殺人画家!?リチャード・ダッドとは?【イギリス妖精文化】でも取り上げられていましたが、イギリスのケルトの伝統のなかの妖精と、日本の岩手の河童を比較していてユニーク!日本には「うつのみや妖精ミュージアム」と福島の「妖精美術館」があるそうで、ぜひ訪れてみたいです。

妖精絵画の大ブームが起こるまでのイギリスの流れや画家たちも興味深かったですが、何より面白かったのは、スコットランドの画家ジョセフ・ノエル・ペイトンの『オーベロンとティターニアの諍い』のなかに何人妖精がいるのか・・・この絵が大好きだった『不思議の国のアリス』の作者ルイス・キャロルが数えたというエピソード。

関連ブログ

☆ケルト民族のフェアリーたちが登場する今年のストーリー”The Hooley”が素敵だったイギリスのサーカス 伝統的なイギリスのサーカスGIFFORDSへ!イギリスとロシアのサーカスあれこれ

☆妖精たちの森!【英国のお気に入り】妖精が現れるブルーベルの森へ・・・!Highgate Wood

さて、ロシアでも超自然的な世界はとても人気があり、日本にいるときよりもずっと、そういう不思議なものや科学では証明できない現象が信じられている国民性である気がします。森のなかを歩いていると私はそういう力を感じることが多くて、モスクワでも少し歩けば森がありましたし、イギリスにも。もしかして森との近さが、妖精との近さと通じるものがあるのかしら?とふと思いました。

ロシアで妖精といったらこの妖精を思い出しました。

【ロシアの伝統】乳歯が抜けたら現れる?歯の妖精!