【英国のなかのロシア】はじまりはロシア人のコレクション!英国が誇る西洋絵画の殿堂ナショナル・ギャラリー

2021-09-05

ヴァン・ゴッホを味わう2つの展覧会へ足を運ぶ前に(☆2日連続!夏のヴァン・ゴッホ展 その1 『Van Gogh: The Immersive Experience』 ☆2日連続!夏のヴァン・ゴッホ展 その2『Van Gogh Alive』(ケンジントン・ガーデンズ))、英国が誇る西洋絵画の殿堂ナショナル・ギャラリー(National Gallery)で本物のヴァン・ゴッホ作品も観に行ってきました。そしてここでも、ロシアに出会うことになります。

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△Sunflowers ちょうど2020年から2021年にかけて、日本の東京と大阪にて、日本初公開の作品を含めて、『ロンドン・ナショナル・ギャラリー展』が開催されたばかり。ヴァン・ゴッホの『ひまわり』もその目玉となる作品のひとつでした。

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△Van Gogh’s Chair

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△Long Grass with Butterflies

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△A Wheatfield, with Cypresses

今日はRoom 43のヴァン・ゴッホ作品を中心に・・・そんな贅沢な鑑賞スタイルが可能なのも、イギリスでは国立の美術館&博物館が無料だからです。英国でまずはじめに感動したことのひとつです。

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△同じ部屋にはゴーギャンやマティス、ルソー、ドガ、ピカソ、スーラなど。さらに同じフロアには、セザンヌ、マネ、モネ、ルノワール、シスレー・・・観るべき作品があまりにも多くて!

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△The Thames below Westminster モネは1870年にロンドンを訪れ、このナショナル・ギャラリーでターナーの絵画を見て感銘を受けたといわれています。テムズ川沿いのサヴォイ・ホテル6階の部屋を常宿にして、その後も何度もロンドンを訪れ、特に冬のテムズ川を好んで描いたそうです。当時は、暖房のために石炭が使われていたため、その煙がたなびくテムズ川はうっすらと靄がかかり、光と靄のハーモニーが生み出す光景の美しさに魅了されたのだと言われています。日本での“霧のロンドン ”のイメージはここからきているのかもしれませんね。

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△ヨーロッパ絵画の歴史を辿ることが出来ます。

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△The Cornfield ジョン・コンスタブル(John Constable)をはじめ、Room 34のイギリスを代表する画家たちの作品も見逃せません。

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△Dutch Boats in a Gale (‘The Bridgewater Sea Piece’) コンスタブルといつも並べられているターナー(Joseph Mallord William Turner)の作品はこの夏休みの私の“自由研究”です。(☆海を描くイギリスのターナーとロシアのアイヴァゾフスキー!テート・ブリテン(Tate Britain)の『Tuner’s Modern World』へ

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△Whistlejacket 馬を描かせたら右に出るものはない!?ジョージ・スタブズ(George Stubbs)。英国を象徴する動物といえば、馬!もしくはユニコーン、そしてライオンです。(ロシアはやっぱり熊!もしくはチェブラーシカでしょうか⁉︎)

さて、なぜこのナショナル・ギャラリーがロシアと縁があるのか・・・。実は世界有数の美術館、たとえばイタリアのウフィツィ美術館、フランスのルーブル美術館、スペインのプラド美術館、ロシアのエルミタージュ 美術館などは、王室や貴族のコレクションから国立美術館に発展していますが、なんとこのナショナル・ギャラリーは個人のコレクションから始まっているのだそう。ロシア・サンクトペテルブルク出身のジョン・ジュリウス・アンゲルシュテイン氏(英:John Julius Angerstein 露:Джон Джулиус Ангерштейн)の収集した約38点の絵画作品を、彼の死後に国家が買い取ったものなのだそう。この興味深い人物については、また改めて調べてみたいなと思います。

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△この日はちょうどEURO2020決勝戦前だったので、ギャラリー前のトラファルガー広場はFAN FESTAが設置されてお祭り騒ぎ!(チューブの行き先は・・・優勝!?イングランド代表、EURO2020決勝進出!

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△トラファルガー・スクエアから見る冬の美しいナショナル・ギャラリー(関連☆トラファルガー広場のクリスマスツリーと赤の広場のもみの木

ロシアで西洋絵画の殿堂といえば、モスクワのプーシキン美術館とサンクト・ペテルブルクのエルミタージュ 美術館です。

【英国のなかのロシア】夢のプロムス(Proms)でロシア!

2021年夏、今年はついに、ロイヤル・アルバート・ホールで、クラシックの祭典プロムス(Proms)が開催されています。

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△メイン会場となるロイヤルアルバートホール

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エントランスを入ると両脇で、ヴィクトリア女王とアルバート公の大きな肖像画が迎えてくれます。

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建物内には、ホールの歴史のなかで記念すべき瞬間が紹介されています。

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△アインシュタインが演説

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△ジョン・レノンとオノ・ヨーコのこのよく知られた1枚も、アルバートホールでのものだったんですね。

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△ピカソがプログラムを手掛けたもの

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名物のマッシュルーム!

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会場はクラシックの祭典とのことで、クラシック音楽を楽しもうと集まってきたたくさんの人々で賑わっていました。コンサートやコンクールとはまた違い、素敵なクラシック音楽で夏の宵を満喫!というムード。この夜は、せっかくなのでロシアなプログラムを選びました。セミョン・ブィチコフ(英:Semyon Buchkov 露:Семён Маевич Бычков)指揮のBBC交響楽団によるベートーヴェン (Overture ”Coriolan”)ではじまり、ロシアのヴォロネジ出身ピアニストのキリル・ゲルシュテイン(英:Kirill Gerstein 露:Кирилл Леонидович Герштейн)をソリストに迎えて、シューマンのピアノコンチェルト(Piano Concerto in A minor)、休憩を挟んで、メンデルスゾーンのシンフォニー“スコティッシュ“です。英国であの美しいスコティッシュのメロディーを聴けるなんて感激・・・!

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キリル・ゲルシュテインは、ジャズミュージシャンとの出会いが大きなきっかけとなってアメリカでジャズとクラシックのピアノを学んだピアニストだけに、場の空気をつかんで、ステージと会場の中心でピアノを演奏しながら全体の空気感をミックスするのがとても上手。まるでジャズのセッションのように、見せ場ではスポットライトが当たっているように感じましたし、なんだかその場で即興で楽しんで生み出したメロディーであるかのように、内側から溢れ出てくる音楽に感じました。アンコールまで大盛り上がり!

そしてメンデルスゾーンがイギリスを訪れ、友人と旅したスコットランドの大地からインスピレーションを得て作曲された交響曲、通称スコティッシュは、その荒涼とした大地に吹き荒ぶ風、そこにしっかりと根を張る力強い緑と透き通る水・・・メンデルスゾーンのまろやかな旋律に誘われて自然豊かなスコットランドへますます行ってみたくなりました。

ロンドン交響楽団の指揮者を務めるセミョン・ブィチコフは、ソ連時代のレニングラード(サンクト・ペテルブルク)出身で、レニングラード音楽院で学び、20歳ではじめて、音楽院のホールで音楽院のオーケストラとともに指揮者として舞台に立ちました(作品は『エヴゲーニー・オネーギン』だったそう)。1973年ラフマニノフ記念指揮者コンクールで受賞し、レニングラード交響楽団の指揮者として声がかかりますが、その後アメリカへ亡命して現在まで活動を続けています。BBC交響楽団では2013年からthe Günter Wand Conducting Chairを務めています。ぜひラフマニノフなどロシア音楽などを指揮するステージも聴いてみたいです。

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ロシアだから聴ける演奏もありますし、ロシア以外の国で聴くことが出来るロシアゆかりの演奏家やロシアの音楽もありますね。イギリスで夏のプロムスを聴きに行ってみたい!というのは夢のひとつでした。ロシアでも、4年に1度のチャイコフスキーコンクールを聴きに行ってみたいというのは夢でした。ちょうど前回は開催年にモスクワにいることができて予選を聴くことが出来ましたが・・・なんと決勝とガラコンサートの日が日露交流年の閉会式と重なってしまい・・・G7開催中の大阪へ行くことになってしまいました。(【日露交流年】閉会式記念コンサート&クロージング・レセプション)こういう大事なイベントって、なぜか重なってしまうものですよね。

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チャイコフスキー・コンクール関連

 ☆藤田真央&ゲルギエフ!チャイコフスキー・コンクールの感動ふたたび!!【コンサートホール】【新名所ザリャージエ】

 ☆【第16回チャイコフスキー国際音楽コンクール】ピアニスト藤田真央さん第2位!

 ☆【モスクワの街角】並木道でチャイコフスキー・コンクール写真展!

チャイコフスキー関連

 ☆【モスクワで出逢う偉人シリーズ】作曲家チャイコフスキー

 ☆【モスクワ郊外クリン】 チャイコフスキーの家博物館

日露交流年関連

 ☆【日露交流年】〜まとめ〜

【英国のなかのロシア】永遠に白鳥を舞う・・・アンナ・パヴロワの骨壺がある火葬場

ロンドンデビューを飾った劇場にあるアンナ・パヴロワ像と(☆【英国のなかのロシア】劇場で踊りつづけるバレリーナ!黄金のアンナ・パヴロワ像)、晩年を過ごした家を訪れましたが(☆【英国のなかのロシア】アンナ・パヴロワの暮らした家 Ivy House in Golders Green)、その家の近くにある火葬場には、50歳の若さで亡くなったパヴロワは火葬されて骨壺が置かれています。

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広い敷地内は庭園になっていて、桜の花も咲いていました。愛する故人の名前をつけてたくさんのバラの花が植えられており、バラの花が満開になる時期には本当に美しいことでしょう・・・!

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△あ!こまどり!

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△ぐるりと一周すると、ユダヤ教の墓地もありました。ゴルダーズ・グリーン付近はユダヤ人が多く暮らすエリアで、学校や食材店なども多くあります。

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骨壺が収められている建物に入ってみると、ロシア人の名前もたくさんありましたが、パヴロワのお墓は見つけられず。

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インフォメーションで尋ねてみると、残念ながら現在はコロナウイルスの影響で入ることができないとのことでした。

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△お写真はWikipediaより。バレリーナと白鳥の陶器のお人形が置かれています。かつては、ピンク色のトウシューズも置かれていたそうですが盗まれてしまったようです。

パヴロワの遺灰は、長い間パヴロワが愛する夫と暮らした家のそばで静かに眠るべきか、あるいは故国ロシアへ移すべきか(ロシアのなかでも、生まれ故郷で母の眠るサンクトペテルブルクのお墓なのか、あるいは多くの偉人が眠る首都モスクワのお墓なのか)、そして夫の遺灰を共に移すべきなのか・・・長いこと話し合われていたそうです。2001年にはいよいよ故国ロシアのモスクワのノヴォデヴィチ墓地に改葬されることになり、輸送の手配からお墓の用意、記念式典まで予定されていたそうですが、予定日の数日前に計画は中止となったのだそうです。

さて、パヴロワ本人の願いはどうだったのでしょうか。早すぎる突然の死でしたから、オランダ公演の合間のことで、最後の言葉は”Prepare me my swan costume!”(白鳥の衣装を用意して頂戴!)だったとさえ言われています。

ロンドンのなかにはパヴロワにまつわる場所もまだまだたくさん眠っていそうです。

(米追記)2021年7月29日、バラの季節の再訪しましたが、まだ入ることはできませんでした。

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