モスクワ通信『ポジャルスキー・カツレツ発祥の地で伝統レシピのお料理教室』

2020-04-26

ロシア文化フェスティバルblogより)

ロシア料理のメイン料理で人気のカツレツ!よく知られているのは、カリカリの衣とジューシーなチキンのなかから、とろーりとバターが溶け出してくる“キエフ風カツレツ”です。日本ではカツレツといえば、パン粉の衣をつけて揚げているものを想像しますが、ロシアでは、ハンバーグのように丸めて油で焼いているものもカツレツと呼んでいます。でも、もうひとつ、私の大好きなカツレツは・・・ “ポジャルスキー・カツレツ”!

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△右がシンプルな“カツレツ”、左が“ポジャルスキー・カツレツ”です。

カリカリの衣の中には、ミンチしてバターと混ぜたふわふわトロトロの鶏肉が入っているカツレツです。多くのお店では、キエフ風カツレツと見た目でも区別するために、“キエフ風カツレツ”は目の細かいパン粉で、“ポジャルスキー・カツレツ”は、衣がわりにクルトンをつけて揚げたりしています。

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そんな“ポジャルスキー・カツレツ”の発祥の地をご存知でしょうか?モスクワとサンクトペテルブルクの間にある美しい町トルジョクのある宿屋で誕生したと言われています。かつては馬車で行き来していた二大都市の間に位置し、ここで馬を休ませたのです。現在はモスクワ都心部から車で約2時間半〜3時間です。ここで名物“ポジャルスキー・カツレツ”の楽しいお料理教室があると聞いてやってきました。

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△待ち合わせの場所カフェ・リラ(КАФЕ «ЛИРА»)へ到着すると、美しい民族衣装姿の女性が“パンと塩”で迎えてくださいました。

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ロシアでは伝統的に、大切なお客様をお迎えする際にはこの“パンと塩”の儀式を行います。カラバイと呼ばれる飾りをつけたふわふわの白いパンの真ん中には塩をのせた小皿があり、お客様は順番にパンをちぎって塩につけていただきます。

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△美しい飾りパンを食べてしまうのが惜しいような気がして、恐る恐るパンをとろうとすると「もっと大きくたっぷりお取り!出会えた幸せを喜ぶ儀式なんだから、たっぷりとね!!」一口頬張るとふんわりとしてまだ焼きたて!(最後にはお土産に持たせてくれます。)横にいる女性は「こちらもどうぞ!」と、ロシアの夏の風物詩クワス(黒パンを発酵させて作った炭酸飲料)を差し出してくれました。

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パンと塩の儀式が終わると建物のなかへ。続けて女性は自己紹介をはじめます。「皆様ようこそ!私の名前はダリヤ・ポジャルスカヤ。ここトルジョクにあった宿屋の女主人よ。」そう、この女性がかつてポジャルスキー・カツレツを考案した人物になりきって、私たちにこの宿場町や宿屋の歴史、ポジャルスキーカツレツが誕生するまでのストーリーを語ってくれる劇場風お料理教室なのです。

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一角にクッキング・スペースが作られており、ダリヤさんの説明に合わせてもう一人の女性が調理を始めました。レシピは1853年当時のまま。まずは丸ごとの鶏肉から骨を丁寧に取り除きます。それから包丁でトントンと挽肉状になるまで細かくしていきます。

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△「細かくすればするほど、おいしくなるのよ!そして、ここが大事なポイント!お肉が1キロなら、バターは500g入れるの。そう、恐れずにお肉の半分の量のバターを入れること!」

細かくしたお肉と溶かしたバターしっかりとよく混ぜ合わせたら塩胡椒で味付けをします。(ロシアのバターは無塩バターが主流なので、塩を加えます)お肉の準備ができたら今度はパン粉作り。

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△各面に違う用途のおろし金が付いているチョルカでパンを削っていきます。野菜をスライスしたり細切りにするのにも便利で、ボルシチに使うビーツなどお野菜を細くするときなどもよく使われるロシアではポピュラーなキッチン用品です。

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ここで私もお肉を丸めて成形してみることに。ちゃんとコック帽とナイロン手袋も用意されていました。お肉を丸めて、溶き卵を水で薄めた液に浸し、最後にパン粉をふんわりとつけていきます。「なんて上手なのかしら!あなた才能あるわ」優しいダリヤさんが優しく太鼓判を押してくれます。

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あとはこんがりときつね色になるまで油(バターも少し)で揚げて出来上がり!

さっそく揚げたてを試食しながら、ランチの始まりです。

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△サラダとボルシチ、そしてメインはもちろん、котлеты «Пожарские» ポジャルスキー・カツレツ!デザートのリンゴケーキも優しいお味で気に入りました。

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△ポジャルスキーの宿屋の評判を聞きつけて国内外の著名人が宿泊し、なかでも詩人プーシキンはポジャルスキー・カツレツが大好物だったとか。ニコライ1世もその味を称賛し、ペテルブルクの都へ呼んでカツレツを作らせたという説も。

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△こちらが本物のダリヤ・ポジャルスカヤさんの肖像画。お衣装だけでなく顔の雰囲気も、ちょっぴり今日のダリヤさんに似ていますね。

さて、ポジャルスキーの宿屋の建物は現在も残っていると聞いて、こちらも訪れました。

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△ミュージアム複合施設『ポジャルスキーの宿』Музейный комплекс «Гостиница Пожарских»

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△現在は宿屋ではなく素敵なカフェになっていました。

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そして、なんとこちらのカフェの名物は・・・

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△ポジャルスキー・カツレツ!いえ、ポジャルスキー・カツレツそっくりのケーキ!(150ルーブル)

カフェの奥は、ギャラリーとコンサートも出来そうなホールがあり、一角が小さなトルジョク陶器ミュージアムになっていました。

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△ポジャルスキーの宿屋を描いたお土産用の陶器がカフェ店内にも飾られていました。

ポジャルスキー・カツレツのお料理教室に参加したカフェ・リラや、かつてポジャルスキーの宿屋だった建物でポジャルスキー・カツレツ・ケーキが食べられるカフェ以外にも、トルジョクの街はどのレストランも食堂もその店自慢のポジャルスキー・カツレツがあるようです。

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△例えばこちらユルベスは、1992年にユーラとヴェーラとサーシャの3人で創業。3人の頭文字が店名になっています。こちらのレシピは革命前の料理本をベースにしており、変わらぬ味を提供しているのだそう。

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△自慢のポジャルスキー・カツレツ2種!油で揚げるかわりにオーブンで焼いているので、カリッとヘルシーな衣です。

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△ナイフを入れると熱々の肉汁とバターがとろ〜り!

他にも、トルジョク駅のビュッフェでも・・・

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△もちろんあります“ポジャルスキー・カツレツ”!

伝統レシピの“ポジャルスキー・カツレツ”を伝授していただいたので、ぜひお家で再現してみたいと思います。

 

モスクワ通信『北極圏ムルマンスクでシベリアン・ハスキー犬ぞり体験!』

2020-03-10

ロシア文化フェスティバルblogより】

モスクワから北へ約1500km、北極圏の都と称されるムルマンスク州の州都ムルマンスク。

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夜は美しいオーロラに出会える場所として人気がありますが、さて昼間のおススメの過ごし方は?

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まずはこちら、冬のロシアならでは!?シベリアン・ハスキーの犬ぞり体験はいかがでしょうか。

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シベリアン・ハスキーにアラスカン・ハスキー、みんなとっても人懐っこくて可愛い!遊ぼう遊ぼうと尻尾を振って元気に飛び跳ねる子、ワンワン吠えていたのに近寄るとハウスから首だけ出して様子を伺う恥ずかしがり屋の子、落とした手袋をこっそり隠してしまう子も・・・!

たっぷり積もったふかふかの雪の中で、童心に帰っての雪遊びは最高です。ハスキーたちと思う存分遊んだら、トナカイの毛皮の敷物と立派な角のコート掛けがあるログハウスの中へ。ロシア伝統の湯沸かし器サモワールを囲んであったかい紅茶とお菓子をいただきながら、犬ぞりの大会の様子をビデオで見せてもらいました。準備が出来たらスノーモービルに乗り、いざ犬ぞりの待つツンドラの雪原へ。

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約10頭の犬が引くソリに乗って、どこまでもつづく白樺林を眺めながら進みます。先頭の犬がリーダーとなってチームをまとめています。大満足の犬ぞり体験でした!

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北極海(バレンツ海)に臨むムルマンスクですが、暖流の影響で不凍港となっており、ソ連時代には軍事的にも重要な役割を果たし英雄都市となりました。周辺には今も閉鎖都市が点在しています。港には、世界初の原子力砕氷船レーニンが係留しており、2008年から博物館として公開されています。

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△北極航路はムルマンスクからチュコト半島のペヴェス。1957〜1989年まで活躍しました。

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△目抜き通りのレーニン大通りを北へ行くと、緑の岬には巨大なアリョーシャ像が建っています。第二次世界大戦で亡くなった兵士たちの功績を称えて1972年に完成しました。

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△海のロシア正教会(Морской православный храм《СПАС НА ВОДАХ》)はシャンデリアも船の形。

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△港町らしく灯台や錨のモチーフ、ライトアップもあちらこちらで見かけました。

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△こちらはロシア帝国時代に建立された砕氷船イェルマーク号の記念碑。

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△さて市内には最近、お洒落なレストランが増えてきて、ロシア料理はもちろん、トナカイ肉のステーキやスープなどご当地ならではの味、そしてカニやエビ、帆立、サーモンにタラなど新鮮なシーフードも大人気!

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△海の駅のなかでは、ロシアでは珍しく、採れたてのウニを割って食べる姿も。

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△ショッピングモールВолна(ヴァルナー、波)1階に2013年に開店したファーストフード店マクドナルドには世界最北端の記念プレートもあり観光名所のひとつになっていますし、隣の憲法広場に設置された氷の滑り台も大人気でした。

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冬だからこそ北へ、極寒のロシアを満喫できるムルマンスクなのです。

モスクワ通信『北極圏ムルマンスクで奇跡のオーロラ・ハンティング!』

2020-03-09

ロシア文化フェスティバルblogより】

広いロシアのなかでも、北極圏に位置するムルマンスクは知られざるオーロラ・スポットとして人気があります。

今年は暖冬で雪も少なく、なんだかちょっぴり物足りない冬のモスクワから飛行機で約2時間半・・・ムルマンスクにはワクワクするような銀世界が広がって位ました。これぞロシアの冬!

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オーロラは自然の奇跡。天候に左右されます。冬に鑑賞するイメージがありますが、実はムルマンスクでは早くも9月から見ることができるそう。9〜11月は屋外でオーロラの出るタイミングを待つ間も凍える心配がないうえ観光客も少ない穴場の時期なのだそうです。

現地では、オーロラ・ハンティングの達人であるガイドさんとご一緒することをお勧めします。オーロラの強度指数を測るものなどたくさんの携帯アプリを併用して、天候の変化、特に風の向きと強さ、雲の動きをチェック。滞在期間のなかで最も見える可能性の高い時間帯と場所を予測してくれます。現地情報から穴場スポットまで熟知し、豊富な経験とノウハウを生かして最適な場所を探してくれます。

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私の滞在した2日間はオーロラ強度も弱く(KP2)、また天候に恵まれず、1日目は雪で中止。期待の2日目も朝からどんよりとした曇り空とにわか雨が続きました。しかし「可能性がある限り出かけよう!」ガイドさんからの連絡で夜21時にホテルを出発し、市街地から車でハンティングへ。仲間のガイドさんとも常時連絡を取り合い、まずはノルウェーとの国境へ続くハイウェイ沿いの道でストップ。三脚に高感度カメラを設置して待っていると、厚い雲に覆われた空の向こうに雲の切れ間が現れ、そこから澄み切った夜空と吸い込まれそうな美しい星空、そして手が届きそうなほどのスーパームーンが見えました。

 

「いい兆候だ!さらに大きな窓(雲の切れ間)を探そう!」再び車に乗り込みます。次に移動した先は、よくオーロラが現れるという人気スポットで、すでに2、3台の車が停車していました。再び雲が垂れ込める空の下、みんなで音楽を聴きながら踊ったり、空を見上げながらおしゃべりしたり、月明かりのなか雪遊びをしてみたり、そうして身体が冷えてくると車内に戻って熱い紅茶とお菓子で暖をとったりして過ごしました。その間にも天候はどんどん変化していきます。ここでは残念ながら大きな雲の切れ間は現れず、雲の動きを追いながらさらに移動していきます。やっぱり今日は無理かな?車内にほんの少し諦めムードが漂ったそのときです。突然、運転席から「すぐ車をおりて!閃光だ!!」ガイドさんの声に慌てて車から飛び出すと、空には見たことのない薄緑色の輝きが!!

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天の川のように白くふんわりと見えたり、キャンバスに絵の具を落としたように濃く点在したり、カーテンが風に揺られて踊っているように現れたり・・・つぎつぎと形を変えながら夜空に浮かび上がっては消えていきます。頭上で繰り広げられる感動的な光景にさっきまでの寒さも疲れも一気に吹き飛びます。夢中になってシャッターを押しましたが、普通のカメラではオーロラと人物の両方を綺麗に撮るのは難しいため、記念写真をお考えなら撮影つきのツアーがお勧めです。オーロラ強度指数が低い日でも、幸運にもこの奇跡のような閃光に出逢える可能性があり、オーロラを捕まえられるかどうかはまさにハンティング!このとき時刻はすでに深夜1時半、ホテルに到着したのは3時20分でした。

 

さて、冬場はマイナス20度にもなるムルマンスクでは、夜間はさらに冷え込むため、安全に楽しむためにも上下スキーウェアや厚手コートにしっかりとした雪用の防水ブーツと手袋、そして帽子は必須アイテムです。ロシアの冬に適した厚手の防寒具は、ムルマンスクのショッピングモール内をはじめロシアのスポーツ用品店でも購入できますし、またロシアの伝統的な雪用フェルトブーツのワレンキや伝統的なショールのプラトークは実用的でお土産にもお勧めです。

ロシアでの宝物のような経験がまた一つ増えました。