【今日のロシア】松谷みよ子さんとイワン

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「モモちゃんアカネちゃん」シリーズや赤ちゃん絵本「いないいないばあ」など日本を代表する児童文学作家のおひとりであり、ライフワークとして日本全国の民話を採集し、民話研究者としても活躍し、「龍の子太郎」など民話をもとにした太郎シリーズも世界的に評価されている松谷みよ子さんが逝去されました。

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『松谷みよ子全エッセイ3 出会いのとき』(筑摩書房)には、「北欧からソビエトをめぐる」「モスクワでの出来事」で、国際アンデルセン賞受賞式に出席するために夫の瀬川氏とともにソビエトを訪れ社会主義の生活やそこで暮らす人々について感じたこと、また宿泊したモスクワのウクライナ・ホテルへ女優でありモスクワ放送(ロシアの声→ラジオ・スプートニク)日本語課アナウンサーの岡田嘉子さんと逢ったときのエピソードが綴られています。同じくソビエトを旅した経験を持ついわさきちひろさんとともに『おふろでちゃぷちゃぷ』『もしもしおでんわ』『あかちゃんのうた』『おはなしアンデルセン』(童心社)『つるのおんがえし』『うらしまたろう』など(偕成社)の日本むかし話シリーズといった数々の傑作を残していらっしゃいます。

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△今も息子のお気に入り!

このエッセイ集のなかでなんといっても私が忘れられないのは「イワンと私と太郎と」というエッセイで、戦争の終わり頃、戦火を逃れて縁故のない信州へと疎開することになり、荷物を運ぶために往復する列車のなかで、ポケットに忍ばせた1冊の本、トルストイ『アンナ・カレーニナ』(岩波文庫)を読み耽るシーンです。その後、焼け野原の東京で『せむしの仔馬』に出逢い、また同じ頃に公開された日本初のカラー映画『石の花』がどれほど敗戦後の日本の若者たちの心をとらえたかについても、興奮とともに語られています。そしてそんな出逢いから、ロシア民話の主人公としてたびたび描かれる”イワン”のような、日本の農民の主人公、そう、”太郎”を探そう!と松谷さんが決意するまでの経緯も知ることが出来ます。

 

松谷さんの人生を大きく左右した運命の1冊が、ロシアと深く関わっていたといっても過言ではありません。

 

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4月4日のお別れ会などの詳細は公式ページに記載されています。ご冥福を心よりお祈り申し上げます。

 

 

 

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